ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

サンクチュアリ(2)「すべてあんた達の戦いだ!!」

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ほんっとにこのマンガは(ていうよりは史村翔×池上遼一コンビ)は設定・展開ともにトンデモなんだけど、それを補って余りある名シーン、名言が多いんだよなあ。

 

 

 

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参加の組長を差し置いて2代目に成り上がった北條。兄貴分・渡海によって手荒くはねつけられた参加組長の自宅にいち早く挨拶し、妻や娘たちへも既に取り入って、贈り物なんかをしていた。

 

 

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クレイジー渡海が、北條を嗅ぎ回る東大卒美人警視・石原杏子に挨拶がわりの挿入をしようとしていると、スーツからポロリ落ちるパスケースには北條の写真が...。

「そんなもん見ちゃ、こっちが立ったたねえぜ」と渡海。このとんでもかつベタ過ぎる人物要素の積み重ねが、わかっちゃいるけど魅せられるシーンを作り上げていく。

 

 

 

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んでその後のシャワーを浴びながら、東大卒、できる女の女の内省と身悶え。

「なんで女なんかに生まれてきたの」ってかー。

 

 

 

 

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ま、これは皆さん日本史の教科書でご存知の名シーン。戦後政治の名シーンのオマージュですな。

 選挙演説中に知名度のない候補が刺される!単独犯の犯行ということになったが、誰の差し金であるとかは問題ではない。選挙中に最高の形で"目立つ"ってことがミソだったわけで...。

 

 

f:id:design_your_life:20171105161624j:plainそんで、民衆を奮い立たせる本音と「君たちはどう生きるか」的な逆に聴衆に問う演説。日本民自党幹事長・伊佐岡も、敵ながらアッパレ感。こいつはトップ当選する、と。

 

 

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で、キッチリお色気シーンも満載。

熱い男の、正義と夢が作るまっすぐなエロスだ。

 

 

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そ、そこ吸うかあ。ド変態め。。。

 

俺には夢がある!

って言ってる男が本当にカタギじゃないから、どんな男勝りな女も、女にさせてしまうんだこの北條って男は。

 

 

 

3巻へ 続く。

 

雨の衆院選の週末の前に

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雨の衆院選週末を前に。

 

多くの自民党支持者たちは大体共通して共産党を嫌っている。

感情的に嫌悪している。

きっと彼らは、街中で中国人観光客を見ると嫌そうな顔をする。

排他的で、狭量な、島国日本人の典型的な姿だ。

 

この人たちの家の本棚を、少しのぞいてみたいものだ。

きっとマンガか、そういう本しか置いてっこない。

 

狭い歩道に、自転車ななめに停めてしまう人たちだ、きっと。

 

文芸趣味のある10個も上の先輩におもむろに、

「○○さんは、選挙どこ入れるんですか?」と聞くと、

「立憲に決まってんだろー」と返ってきた。

 

世の中は意外と、そうではなくて、そういうものかもしれない。

 

 

 

『往復書簡:初恋と不倫 (坂元裕二)』

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不帰の初恋、海老名SA。カラシニコフ不倫海峡。

 

 

不帰の初恋、海老名SA

どうして三崎さんには僕が見えるのですか。不思議です。

 

そういうことに旅のしおりを作る人はいません。

 

豆生田にはチャーハンをおかずにしてご飯を食べる特技がありました。

 

悲しみを伝えることって、暴力のひとつだと思います。わざわざ人に話すことじゃなかった。

 

その人の前を通り過ぎるという暴力。それは多分金槌で頭を叩くこととそう変わらないことなのだと思います。

 

 三崎さん。君に借りがありました。あの時君が助けてくれたこと。君が手紙にして靴箱に届けてくれたこと。あれ、返したいです。君の力になりたいです。

 

君がいてもいなくても、日常の中でいつも君が好きでした。

 

 

カラシニコフ不倫海峡

ボウリング場に行って、朝まで他人のボウリングを眺めていました。

 

 

待田さんは人と会う約束をして、その相手もボーダーだったときのことはお考えにならないのでしょうか。飲み会に行ったら全員ボーダーだった時のことは考えないのでしょうか。

 

 豆生田はサザエさんの髪型は何らかの伏線だと信じておりました。いつかあの伏線が回収されるに違いないと信じて、サザエさんを欠かさず見続けていたのです。

 

 そんな男と結婚するなんて、罰ゲームのようなものだ。そりゃ浮気ぐらいするさ。そりゃもう定置網で魚をとるようにばんばん浮気するさ。 

 

待田健一

出したくない元気は出さなくていいと思いますよ。人生は竹内まりやさんが思うよりは悪いものです。

 

田中史子

竹内まりやさんってどなたですか。

 

 また来ましょうね。はい、せっかくカードもらったし、スタンプ貯めましょう。何かもらえるんですか。十個貯まると、無料券がもらえるみたいです。十個ですか。セックスを一個、二個、三個って数えるみたいですね。彼女が口元に手をあてて笑いました。

 

 

 すべり台が四十五万円、ジャングルジムが六十万円、ブランコはひとり用十六万円、余人用二十八万円、鉄棒が三つで十一万円。大体そんな感じです。

 

 

 

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『ある日うっかりPTA(杉江松恋)』

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娘はまだ1歳2箇月だが、少し気になるPTA。

ドタバタ奮闘ルポを拝見したろがいっ。

 

PTA会合の九割は、日中開かれるのである。

学校がこうしてくださいと言えば、九割方要求は通る。学校の要求を一般会員に説明して通すのが巧い役員はいい役員なのである。

 

PTAの役員は圧倒的に女性が多いが、なぜか会長だけは男性が多い。

 

 

三人旅は一人乞食なんてことお言いますが...

 

 

何で役員の任期って三月で終るのかな...って

 

 

とりあえず時限立法しましょう。

 

 

 

一つは、自分を愛すること。

次に、家族を愛すること。

最後に、自分を愛するのと同じだけの力をもって、他人を愛することです。

 

 

 

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『総選挙 日本の岐路(中村文則 2017年10月6日付 朝日新聞)』

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中村文則

 その件で関係者達が国会で「記憶にない」を連発しても支持してくれる。だからそういった層には、元々説明する必要性は薄い。

 

 そして政権を批判している人たちに対しては、首相が都議選で野次のコールをした人々に対し「こんな人達に負けるわけにはいかないんです」と言ったあの言葉が浮かぶ一国のトップである首相が、国民の間に線を引いた瞬間だった。

「こんな人達」はつまり「敵」として線を引いているので、そもそも説明する必要を感じていない。 

 

 政権批判=売国奴(非国民)の幼稚な構図が出来上がったのは、小泉政権でその萌芽はあったが、安倍政権で本格化したと僕は感じる。

 

 時代の空気と政治は、往々にしてリンクしてしまうことがある。論が感情にかき消されていく。

 

 支持する人達は感情で支持してくれるし、あとは北朝鮮の名前を連呼して突破する。

 

 人間は善の殻に覆われる時、躊躇なく内面の攻撃性を解放することは覚えておいた方がいい。結果改憲のために戦争となれば本末転倒だ。 

 →改憲しようとして戦争を招いた首相として、歴史の教科書に載ることになる。

 

 

 

 

『それでも 愚直に選ぶ(2017年10月5日付 朝日新聞)』

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池澤夏樹

この数年間、安倍晋三という人の印象はただただ喋るということだった。

枯れ草の山に火を点けたかのようにぺらぺらと途切れなく軽い言葉が出てくる。対話ではなく、議論でもなく、一方的な流出。機械工学で言えばバルブの開固着であり、最近の言い回しを借りればダダ漏れだ。

 

 これは現代の政治にまつわる矛盾の体現かもしれない。資本主義と民主主義という二つの原理の間にどうしようもない矛盾がある。民主主義は権利や富が万民に行き渡ることを目指す。資本主義は富の集中と蓄積を旨とする。ベクトルが逆なのだ。

 

 現政権の面々はほとんどが富裕層の出身である。有権者の九割九分は富裕層でないのに、なぜ彼らに票を入れるのだろう。

 

 

 

 

 

『「安倍的」なるもの(2017年10月4日付 朝日新聞)』

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幸田真音

ストレートで、細工や計算をしない人だと思います。

 

メルケル独首相に「ウラジミールはシンゾーに任せる」と言われたほどの関係をロシアのプーチン大統領との間で築くなど、外交力は高く評価すべきです。

 

 

青木理

 神戸製鋼社員時代の上司らに話を聞くと、みな「彼が政治的なことを語ったのを聞いたことがない」「いい子だったが、あまり印象に残っていない」と口をそろえるのでした。

 

 おそらく安倍首相には、もともと強固な右派思想などなかった。根本にあるのは岸信介への憧れと敬愛、そして岸を批判した左派への反発といった程度の感情でしょう。

 

 若いころを知る元上司は「子犬がオオカミの群れと交わり、オオカミになってしまった」と表現する。正解に入り右翼政治家やイデオローグと付き合い、強い影響を受けたのでしょう。

 

 大きな志もなく稼業を継いだ単なる世襲政治家横軸には中国や韓国を敵視し、時に軽蔑し、「強い日本」の復活を夢見る、社会の薄っぺらな風潮があり、相互に共鳴もしている。

 

 

 

 

 

 

『ドイツ 安定の理由(2017年9月20日付朝日新聞)』

 

 

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彼女のライフスタイルはいたって質素です。

ぜいたくなシェフを雇うことなく、今でも自分でジャガイモのスープを作っている。お店に並んで買い物もする。思慮深さに加えて、こうした生活ぶりも私たちプロテスタントの価値観を反映し、人気につながっているように思います。

 

 彼女が愛読する英国の哲学者カール・ポパーの考え方にあります。自由と民主主義をとても大切に考えていますが、その社会では、すべての価値観は相対化されうる。

 

 

 どちらも「なぜ」「どうして」という意味ですが、ドイツ人が一番好きな単語じゃないかな。

 

たとえば遅刻。謝る謝らないかより、理由を説明できない方が怒られます

 理由を求めて、理解して、だからどうすると言えないとダメ。日本人からすると理屈っぽいんですが、なぜをあいまにすると責任がはっきりしないし、進歩しません。

 

メルケルさんが支持されるのは、政策の「なぜ」が分かりやすいからでは。

 

 

 

 

 

 

 

『同盟 どう向き合うか(2017年9月7日付)』

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丹羽宇一郎

 最近、北朝鮮や中国への強硬論がまかり通っています。危ないことを恰好いいことだと思っている。戦争の真実を知るべきです

 

戦争の真実とは何か。それは、「狂う」ということです。

 普通、人は人を殺しません。だから狂うしかない。また、実際には飢えと病気で死んだ人も大勢いました。

 

過去に米国はぎりぎりのところでソ連との戦争を回避しました。それこそ政治家の役割です。

 →逆にこれをやらなければ、これをやろうとしなければ何のために彼らはいるのか。

 

 

 

 

 

『「壁」超えつながるには(2017年9月6日付 朝日新聞)』

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東浩紀 偶然の出会い 観光のよさ

今は、世界中の人々が「他者とつきあるのは疲れた」「仲間だけでいい」と叫びはじめている。ナショナリズムの存在感が増しています。

 

 観光客は評判の悪い存在です。余暇の活動なので無責任だし、他者とつながろうと思っているわけではない。そんなこと考えるのは疲れる。つまり観光客であることは、人間というより動物に近い。

 

 ところが人間は下卑た存在なので、観光に行けば自分の頭で作った壁が好奇心や偶然の出会いから崩れ、寛容になれることもある。それは何かの原理にはならないけれど、どんな原理も持つ排除性を壊していく。