ここがパンチライン!(本とか映画、そんでときどき新聞の)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『男はつらいよ 〜寅次郎相合い傘〜』

この「男はつらいよ」と超絶バッドエンド系のハリウッド作品を交互にみて、ブログアップしてる辺りが文科系ブログのダイナミクス。世界観が違い過ぎてクラクラします。 ちょうど、映画終って劇場から出てきたらまだ昼間で、渋谷の雑踏を行き交うにどうしよう…

『レボリューショナリーロード(2008 サム=メンデス)』

人生にとって、退屈って最大の驚異。 誰もがみんなそんな状態からは逃げたくてしょうがない。 さらに、それが夫婦関係であったならば。夫婦それぞれが人生において「退屈。」と感じるようになったならば。 これは、そんな「人間の退屈」という意識と空間に差…

『男はつらいよ 〜下町慕情篇〜』

貸し部屋の札を見て、怒った寅さん。 家を出て、不動産屋に紹介してもらった部屋がとらやだった。 「バカ野郎!ここは俺んちでいっ」 歌子さん(吉永小百合)たち、女の三人連れが金沢旅行で。 別れ際に写真撮るとき、「ハイ、チーズ」ではなく、「ハイ、バ…

『無意識の構造(河合隼雄)』

彼女は耳が聞こえないので、筆談をするわけだが、筆談をかわしながら、こちらはそこに書く質問などを声に出していいながら書いてゆく。そして、彼女はだんだんと筆談の中にひきこまれてきたと感じたとき、それに関連したことを紙に書かずに口頭で質問する。…

『もものかんづめ(さくらももこ)』

ちびまる子ちゃんの作者、さくらももこのエッセイのセンス。ワーディングの絶妙さ。視線のシニカルさやユニークな文章には定評がある。 「健康食品三昧」 ケーキ屋の試食品をばくばく食べている女がいる。それが正午の人であった。 彼女は花柄のブラウスにパ…

『僕らが毎日やっている最強の読み方(池上彰・佐藤優)』

日本人の精神が内向きになっていることの裏返しの現象。 海外ニュースになったとたんにがくんと数字が下がる。 p56 ゼロ戦は、海軍からの矛盾だらけの要望に応え、あらゆる性能を満たそうとした結果、一発弾が当たったら火だるまになるような飛行機になっ…

『ゲンロン0 観光客の哲学』

上半身は思考の場所、下半身は欲望の場所である。 p121 観光客とはなにか。それはまずは、帝国の体制と国民国家の体制のあいだを往復し、私的な生の実感を私的なまま公的な政治につなげる存在の名称である。 p155 「郵便」は、存在しえないものは端的…

『ファミリーレス(奥田亜希子)』

朝井リョウだか誰だかが薦めていた若手作家ということで手に取った。 いろんな家族の形、六篇からなる。 物語の進行のために登場人物にわざわざ言われている台詞があったり、無理に小説(風の表現、あるいは文語的紋切りと言おうか)にしようとしている不自…

『忍ぶ川(三浦哲郎)』

60年、芥川賞受賞作。 二人の姉は自死、兄が失踪、下の兄は信頼されていたが家族親戚から金を借り後逐電、などつらい経験を持つ学生が料亭で働く自分にとっての100%の女性に思い詰め、心通わす。 村上春樹作品(やたら人が死ぬという点でノルウェイ限定か…

『百人一首がよくわかる(橋本治)』

固ッ苦しくない解説で百首読ませる橋本治式。 日本人として、覚えておくべき○首を任意で抽出しました。 秋の田の かりほの庵の とまをあらみ わが衣手は 露にぬれつつ 天智天皇 (刈り入れ小屋は ぼろぼろで) 春すぎて 夏来にけらし 白妙の 衣ほすてふ 天の…

『すーちゃん(益田ミリ)』

女の子とのなんとなく思うこと、感じたこと、しちゃったこと。 を言葉にしている漫画(というよりエッセイ)だな。 こういうことを最近仲良くしているコピーライターの子とかと酒飲みながら話したい。 「一冊読み終えたあとなんとなく.表紙をながめます いい…

『書く力 -私たちはこうして文章を磨いた-(池上彰・竹内政明)』

確かに、読んでいて「あまり面白くないな」と感じてしまう文章は、ほとんどの場合、厳しい言い方のようですが、構成に工夫が足りないとか、表現力が足りないとかいう以前に作者自身が「自分はこれから何を書くか」をはっきりとわかっていない。だから工夫の…

『すべての男は消耗品である(村上龍)』

誰かの批評本で、村上龍の著作で読むならこれ、みたいなスタンスで書いてあった。 「限りなく透明にちかいブルー」の発表前タイトルである「クリトリスにバターを」よろしく、このひとはコピーライティング的センスがあるようだ。 タイトルからして、ほとん…

『この人の閾(保坂和志)』

小田原での人との約束時間まで少し時間があったので、大学時代のサークルの友だちと久しぶりに会おうという話。その、きまぐれ感、なんとなくな設定はこの人の小説そのものだ。 「ふうん。 三沢君って、昔からけっこうヒューマニスト的なところがあったわよ…

『伸予(高橋揆一郎)』

83年6月が一刷である。 第79回芥川賞受賞作品。 「芥川賞に偏差値をつける」という書籍で知った。 高橋揆一郎。カッコイイ名前。 伸予。元女教師。たって戦前は、って話。 30年ぶりに、惚れた教え子と会う。自ら自宅に招いて。 積極的な女である。 今だっ…

『「都市主義」の限界(養老孟司)』

会社の図書館で見つけた、養老翁の各種コラムや講演原稿を編み直したもの。 最近、深夜のテレビで養老翁が加藤浩二の質問に答える番組やってて、急いで録画した。この人の話していることは、先達の経験と知恵として胸に留めておくべきことが多いような印象が…

『死んでしまう系のぼくらに(最果タヒ)』

思春期に読んだらやばい系だったわー 30過ぎても、ぐっとくる言葉たち。 詩の批評ってほんとに難しい(もちろん短歌よりも)。 共通理解や前提が少ないからだろうか。 個々が描いた風景について、おそるおそる語るしかないのだ。 意識される、死と他人の目。…

『細雪(下)』

幸子の心情描写が多い巻。 姉妹の何気ない会話が醍醐味だろう。 女とは、仕事もせずに家にいると、細かいところまで言葉を交わしているのか、と感心するほどである。 ちなみに、作中トピック箇条書きという野暮なことをするとすると、 ◆ 帝国ホテルにアメリ…

『細雪(中)』

こいさん(末の妹 妙子)をメインにした巻ですね。 奥畑の啓坊の花柳界遊びの噂。妙子洋行の目論み。 大水で九死に一生。英雄板倉の妙子救出。 啓坊への不信と板倉への気持ち。 男の入院、脱疽、死。 と要点書き出すと、なんのことはないつまらなさですが。 …

『異論のススメ(朝日新聞 2017年2月3日付)』

佐伯啓思。ここ数年、この人の言ってることは一環している。 グローバリズムの速度を落とせ、保護主義もバランス良く取られい。そんなこと。 なにせ、先日のスイスでのダボス会議では、あろうことか、中国の習近平主席が、自由貿易とグローバリズムを守らね…

『フラニーとズーイ』

村上春樹訳。 フラニー編がすごい好きだ。 世の中の、自分の回りの何もかもがクソばっかに思えて、気に入らないときってのは確かにある。 それは、彼氏や恋人であっても、当然その例外じゃない(何なら、恋人なんて分かり合えない存在の最たるモンだ) ここ…

『細雪(上)』

谷崎である。細雪である。 この歳になって、日本の小説、否、近代文学の素晴らしさがよく分かるようになってきた。日常や生活に垣間みる、心情と風雅の機微(言語化)。 新しいものではなく、古くて今でも残っているものを繰り返し読むべきだ、そう思うよう…

『分断の行方(2017年1月21日付朝日新聞朝刊)』

水島治郎さん 千葉大学教授 既成政治かポピュリズムか、右か左かという2本の軸で分けると、「既成で左」がクリントン氏、「既成で右」がジェフ・ブッシュ氏ら共和党主流派、「ポピュリズムで左」がサンダース氏、「ポピュリズムで右」がトランプ氏を支持し…

「しんせかい(山下澄人)」

第156回芥川賞が、山下澄人氏の「しんせかい」に決まった。 我々「勝手に芥川賞選考会」では、二番目に評価の低い作品だった。 「これが受賞したら抗議文送ろうぜ」とまで言っていた作品だ。 正直、驚いている。 今回の候補五作は前回と比べても意欲作が…

『ザ・フォール 警視ステラ・ギブソン』

妙齢スカリー(ジリアン・アンダーソン)が警視役。 Xファイル世代にドンピシャな設定だ。 ネトフリで一気見した。 ロンドンからやってきたステラは、現場に居合わせたマッチョでイケメンな男性警官に泊まっている部屋番号を告げる。なにっ!あのスカリーに…

『ザ・ファイター』

2010年、デヴィッド・0・ラッセル監督。 クリスチャン・ベイル。実話に基づく。 マサチューセッツ州ローウェルのボクサー ミッキー・ウォード。 本作を貫く問いは、「家族は本当にあなたの味方か」かな。 兄のディッキーは街で有名人。誰もが知っている。 か…

『続男はつらいよ』

69年、松竹、山田洋次。 続男はつらいよ。つまり第二話だ。 散々引き止められるが、トンボ帰りでまた旅に出る寅。 (「じゃあ何でわざわざ戻ってくんだ」ってのは野暮って話) 「引き止められるうちが花よ」 「おめえたちには分かるめえが、これが渡世人の…

『男はつらいよ(第一話)』

昭和の名作回顧月間。 男はつらいよ第一作目だ! フーテンやってる寅次郎が、大人になったさくらに会いに来るところから始まるんだ。 わたくし生まれも育ちも葛飾柴又でございます。 帝釈天で産湯を使い、姓を車、名を寅次郎、 人呼んでフーテンの寅と発しま…

『まいっちんぐマチコ先生』

81年〜83年。えびはら武史原作。 小生がちょうど生まれた頃のアニメだったのか。。 キャッチーなタイトリングの記憶ばかりあったので、Amazonプライムでタイトルをみかけて一話だけ見てみる。 あちゃ〜、こりゃあPTAも大騒ぎだわ、という描写と精神性。 …

『アナーキズム(浅羽通明)』

幸徳秋水、石川三四郎、大杉栄という三大アナキスト 1910年 大逆事件 (幸徳秋水ほか24名が天皇暗殺謀議のかどで逮捕、半数が処刑) 1923年 大杉虐殺(甘粕事件) (戒厳令下の不法弾圧事件。憲兵隊によって伊藤野枝、甥の宗一さも虐殺さる) 「い…

『パトレイバー the movie2』

1993年。押井守監督。 宇野常寛がポリティカルフィクションしばしば言及する本作。 9条改正議論が取沙汰される今こそ、再び見返されているという。 西船橋のTSUTAYAで、年末レンタルした。 都心湾岸のベイブリッジが爆破される。 爆撃機に自衛隊が関与か。 …

『ダラスバイヤーズクラブ(2014)』

テキサスはダラス。 ロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)。 掛け金持ってトンズラこいたりする、ロデオ仲間の荒れた生活。 闘牛場の視覚で女を抱く。オカマとか大っ嫌い。 でもHIVポジティブで、余命30日と診断される。 メキシコまで行って、HIVの違…

『見過ごされてきたもの』(2016年11月17日付 朝日新聞)』

社会について語る場面では、真実を口にしていたのはトランプ氏の方でした。 彼は「アメリカはうまくいっていない」と云いました。ほんとうのことです。「米国はもはや世界から尊敬されていない」とも言いました。彼は同盟国がもうついてこなくなっている真実…

『トランプ大統領と世界』イマニュエル・ウォーラーステイン(2016年11月11日付 朝日新聞)』

しかし、世界に目を向けると、トランプ大統領の誕生は決して大きな意味を持ちません。米国のヘゲモニー(覇権)の衰退自体は50年前から進んできた現象ですから、 今の米国は巨大な力を持ってはいても、胸をたたいて騒ぐことしかできなゴリラのような存在なの…

『グローバル化への反乱』ヴォルフガング・シュトレーク(2016年11月22日付 朝日新聞)』

なぜ自分があんなにもヒラリーを応援していたんだろう。 それはトランプに対する、生理的嫌悪でしかなかったことに気付かされる。 ルールを破り、タブーに触れ、汚い言葉を使う嘘つき。 そんな奴に、大国のリーダーは務まらないし、なってはいけない。 じゃ…

『ナニワ金融道 8巻』

名作回との呼び声高い単行本8巻は、 舶来物タイヤを用いたマルチ商法。 府警のダメ刑事 浴田山海。 若きマルチ商法の総代理店 枷木。 社歴と経験を積み、こ慣れてきた灰原に対して協調する(したかに見える)パートナーが現れたときストーリーは躍動してい…

『17歳のカルテ』

99年。原作はスザンナ・ケイセンの自伝『思春期病棟の少女達』。 ウィナノ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー。 レンタルビデオ屋ではしばしば目についたジャケットが、なかなか手に取る機会を失っていた(なぜだろう、女二人の話だろうとタカくくった…

『インターステラー』

2014年、C・ノーラン監督。 マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ。 小麦は疫病で全滅。トウモロコシも灰砂で覆われてろくに収穫出来ない世界。 インド空軍のドローンを追いかけて、ハッキングコントロールする。 インドもアメリカも空軍がなくなっ…

『科学の発見(スティーブン・ワインバーグ)』

新聞各紙の書評でも話題になっていた。 理論物理学者で、79年のノーベル物理学賞受賞者スティーブン・ワインバーグ(量子論の統一理論第一歩)の著書。 私は現代の基準で過去を裁くという危険な領域に踏み込む。 本書は不遜な歴史書だ。過去の方法や理論を、…

『明日の記憶』

2006年、ちょうど新卒で入社した頃か。原作は荻原浩。 広告代理店(電博ではない)の営業部長氏(渡辺謙)。 この映画の怖さは、アルツハイマーという病気の症状の現れ方を描き出すリアリティにある。ごく普通のことが思い出せない。当たり前のことが出来な…

『パッチギ!』

2004年、井筒和幸監督。 日本では差別され、肩身の狭い思いをしている(朝鮮人)側の、 それでもヘコまされないたくましさとか、健気さとか、力強い魅力を描く。 もはや日本人が失ったかもしれない、男の熱さ。 健気ながらたくましく生きる、美しい女子。 役…

『金融腐食列島 呪縛』

97年。原田眞人監督(「ラストサムライ」「日本の一番長い日」)。 原作 高杉良。 後の半沢直樹シリーズにも継承されうるような、 中年ミドルの金融業界痛快勧善懲悪劇。 朝日中央銀行は日比谷公園の東側にあった。 本店企画部の中年ミドルたちが、銀行ト…

『宇宙を織りなすもの(上) ブライアン・グリーン』

喫煙所でタバコ吸ってたら関連会社の兄ちゃんが、この分厚い本読んでた。 文学ばっかりやってる俺たちも、全然気にならないわけじゃない。 宇宙について。 難しい計算やモデルの解説ぬきで、宇宙や量子について分かりやすくアプローチする。 著者の態度は生…

『宴のあと(三島由紀夫)』

1960年、実在の人物をモデルにした小説とされる。 発表後、訴えられる。 初の「プライバシー権」対「表現の自由」の対決だった。 福沢かづ。雪後庵。野口雄賢。永山元亀。選挙参謀山崎。佐伯首相。奉加帳。 (畔上輝井。般若苑。有田八郎。1959年都知事選。…

『ゴーンガール』

2014年。監督:デビット・フィンチャー 原作:ギリアム・フリン ベン・アフレック。オザムンド・パイク。 一回目は劇場で、二回目ネットフリックスで。 ストーリーの骨子だけ見つめると、なんてことはないただの“結婚生活の終焉と破局模様”でしかないのだが…

『ナニワ金融道 2巻(青木雄二)』

ここだけ憶えてれば話のネタになる! ナニワ金融道名シーン10選! 名シーン① 1)キケン運輸の赤名久吉が帝国金融にトラック購入資金に400万つまみたいと 2)400万円の借金で(金利が1年8ヶ月、560万円)の保証人にのれん分けした23歳の若者 背口くん 3)…

『若者の与党びいき』(9月30日付 朝日新聞)

『記憶あるのは自民ばかり』(平野宏学・習院大学法学部教授) 今年7月の参院選では、朝日新聞の出口調査で、比例区での自民への投票率は18、19歳は40%、20代は43%に達し、20代は他のどの世代よりも高くなりました。 彼らが10代の時に民主党政権…

「女性が奪われていたものは、実は『時間』ではなく『尊厳』だったのではないか」(10月27日付 朝日新聞)

この日のオピニオン面は、実り多いわ〜。 メディア(報道)がいかに、事態を定型的な判断と切り口で考えているか。それを無批判、無思考な人たちが垂れ流してしまうか。これはさきの大統領選でも同じことが言えるね。メディアや報道に携わる者たちでさえも、…

論壇時評『世襲化と格差』小熊英二(10月27日付 朝日新聞)』

政治家が劣化しているという、とTVの中で今日も誰かが言った。 やれやれまた言ってるよという印象の反面で、ほんとにそうだと思う。 私のような、物心ついたころは既に90年代も半ばという世代にとっても、(つまり時の政権が村山富市だったり橋下龍太郎だ…

『体制内で見た文革』王輝氏・天津社会科学院名誉院長(10月20日付 朝日新聞)』

【用語解説】..by朝日新聞 「文化大革命」:経済政策の失敗などを受け、毛沢東が1966年、階級闘争の継続などを呼びかけて発動した政治運動。共産党の官僚化や特権化に対する市民の不満を刺激し、紅衛兵や造反労働者らが組織され、各地で政府機関などが襲撃さ…