ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2018-05-04から1日間の記事一覧

『レッド・ドラゴン』

こんなシーンあったかな?くらいに思わせる狂信的殺人犯の一幕 時系列的には、羊たちの沈黙以前のエピソード1。 主役(殺人犯)模はレクターの倣犯ならぬ、レクター博士に憧れている狂ったタイプの犯罪者。本篇は言わば羊たちのスピンオフ作品。 この手の作…

『クロマグロとシロザケ 〜東京夜話〜(いしいしんじ)』

「つらいのはな、速く泳げないことなんだ。自分が泳ぎたい速度で泳げなけりゃ、泳いでるって気にならないだろう」 「なにかやらなくっちゃ、って感じを思い出すね」彼は巨体を上下に揺らした。「ずいぶん長い間、一匹だったんだ。一匹だと、やっぱり自分はわ…

『掏摸(中村文則)』

財布はポストに入れれば、郵便局から警察に行き、免許証の住所に戻る。指紋を拭き取り、ポケットにしまった。ホストは薬でつかまりかもしれないが、それは自分に関係したことではなかった。 この金は昨日の痴漢から取ったものだが、その前の所有者は不明だっ…

『フィッシュストーリー』

伊坂の短編。 嫁が一番好きな話だ、というので再読。 二十数年前と現在、さらに三十数年前とが繋がる。ある音楽で。 息子の正義、ハイジャック、ミュージシャンのレコーディング。 まさに、風が吹けば桶屋がもうかる。 めぐりめぐって「彼らの音楽が、世界を…

『銃(中村文則)』

『銃』を再読。 大学生の抱える退屈と狂気。何かとすぐセックスという男子大学生のメンタリティや、銃を持っていることの落ち着きと狂気。 クライマックスは電車の中で。ラスト2行は現代の狂気そのもの。そんな狂気にもリアリティがある(ような気がする)か…