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ここがパンチライン!(本とか映画、そんでときどき新聞の)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『書く力 -私たちはこうして文章を磨いた-(池上彰・竹内政明)』

確かに、読んでいて「あまり面白くないな」と感じてしまう文章は、ほとんどの場合、厳しい言い方のようですが、構成に工夫が足りないとか、表現力が足りないとかいう以前に作者自身が「自分はこれから何を書くか」をはっきりとわかっていない。だから工夫の…

『すべての男は消耗品である(村上龍)』

誰かの批評本で、村上龍の著作で読むならこれ、みたいなスタンスで書いてあった。 「限りなく透明にちかいブルー」の発表前タイトルである「クリトリスにバターを」よろしく、このひとはコピーライティング的センスがあるようだ。 タイトルからして、ほとん…

『この人の閾(保坂和志)』

小田原での人との約束時間まで少し時間があったので、大学時代のサークルの友だちと久しぶりに会おうという話。その、きまぐれ感、なんとなくな設定はこの人の小説そのものだ。 「ふうん。 三沢君って、昔からけっこうヒューマニスト的なところがあったわよ…

『パトレイバー the movie2』

1993年。押井守監督。 宇野常寛がポリティカルフィクションしばしば言及する本作。 9条改正議論が取沙汰される今こそ、再び見返されているという。 西船橋のTSUTAYAで、年末レンタルした。 都心湾岸のベイブリッジが爆破される。 爆撃機に自衛隊が関与か。 …

『17歳のカルテ』

99年。原作はスザンナ・ケイセンの自伝『思春期病棟の少女達』。 ウィナノ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー。 レンタルビデオ屋ではしばしば目についたジャケットが、なかなか手に取る機会を失っていた(なぜだろう、女二人の話だろうとタカくくった…

『インターステラー』

2014年、C・ノーラン監督。 マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ。 小麦は疫病で全滅。トウモロコシも灰砂で覆われてろくに収穫出来ない世界。 インド空軍のドローンを追いかけて、ハッキングコントロールする。 インドもアメリカも空軍がなくなっ…

『宴のあと(三島由紀夫)』

1960年、実在の人物をモデルにした小説とされる。 発表後、訴えられる。 初の「プライバシー権」対「表現の自由」の対決だった。 福沢かづ。雪後庵。野口雄賢。永山元亀。選挙参謀山崎。佐伯首相。奉加帳。 (畔上輝井。般若苑。有田八郎。1959年都知事選。…

『ゴーンガール』

2014年。監督:デビット・フィンチャー 原作:ギリアム・フリン ベン・アフレック。オザムンド・パイク。 一回目は劇場で、二回目ネットフリックスで。 ストーリーの骨子だけ見つめると、なんてことはないただの“結婚生活の終焉と破局模様”でしかないのだが…

「女性が奪われていたものは、実は『時間』ではなく『尊厳』だったのではないか」(10月27日付 朝日新聞)

この日のオピニオン面は、実り多いわ〜。 メディア(報道)がいかに、事態を定型的な判断と切り口で考えているか。それを無批判、無思考な人たちが垂れ流してしまうか。これはさきの大統領選でも同じことが言えるね。メディアや報道に携わる者たちでさえも、…

『海を感じる時(2014)』

余白が多い日本映画。 土曜朝に読書しながら、視聴する。 パンチな科白のオンパレードだった。 気持ちいいくらい、身体目当ての男。 しかも、シリアスに“女の身体に興味がある”のだと。 女は男に惚れていた。身体で繋ぎ止めるしか、迫るしかない女のギリギリ…

『はっとする1行 出会いたい』井上荒野、角田光代、川上未映子(7月31日付 朝日新聞)』

三人の作家の「読んだ小説の魅力を逃さないために」。 さすが、みな第一線の作家。 言葉が有り体でなく、実感もちゃんとこもったものだ。 角田さんも学生時代の自分と重ねて「20歳くらいの頃は読んでいるものが限られているから、小説とはこんなものだと思っ…

『ダークナイト』

08年、米英共作。クリストファー・ノーラン。 この作品への評価はそのまま、ジョーカーを演じたヒース・レジャーの演技とその迫真性への評価と言ってもいいかもしれない。この映画が好きだという誰もが言う「ジョーカーがすごかった」と。 ジョーカーの狂気…

「欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解くと(小霜和也)」

小霜さんの著作。「欲しい」という感情を、マーケティングの領域から脳科学的見地でもひもといていこうというお話。 渡り鳥がなぜ性格に目的地にたどり着けるかについては、星を見ながら位置を測っているのだ、など諸説ありますが、確信を持って飛んでいるの…

【ラジオ】村上龍が村上春樹について語りき、爆笑問題・太田がアシストする。

www.youtube.com 村上龍「彼がやっている最大公約数みたいなものを掴んで虚構化するのは難しいことですよ。」 太田光「村上龍作品って、現実主義。いま、現実をどうするか!じゃないですか。でも、村上春樹作品って、もうずーっと上に行っちゃって、北欧の方…

おおうこのブログ。まるで吉田 修一の小説を読んでいるようだ。

おおう、すごい。すごい日記だ。 女子の中でよく口にされる常套句を切り口に、ここまで個人の過去の思い出とリアリティをシンクロさせる子の日記。 まるで、吉田 修一の小説を読んでいるようだ。 仲のいい女友達の素性を、そこにいた誰も知らない。 chainomu…

『伯爵夫人(蓮實重彦)』

15上の先輩から、ある日、社内便で新潮 四月号が回ってきた。 巻頭の小説にふせんがしてあり、面白いから読めという。 読むとぶったまげた。間違いなく、今年一番、面白くインパクトがあった。 後日、新聞でこれが三島賞エントリーしたと聞く。 受賞は間違…

『火花@Netflix(6話〜10話)』

ドラマの後半。 留まる言葉は少なかったような気がする。 言葉は全て何気ないもので、文脈とストーリーの中にあってようやく機能していた。 「お前、何、勃起しながら泣いてんねん」 「性欲の強い、赤ちゃんか」 「この人が全ての答えを持っていると思い込ん…

『金閣寺(三島由紀夫)』

幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。 さて、若い英雄は、その崇拝者たちよりも、よけい私のほうを気にしていた。私だけが威風になびかぬように見え、そう思うことが彼の誇りを傷つけた。 それでもなお、私が関与し、参加したという確かな感じが消…

『火花@Netflix(1話〜5話)』

FacebookでうっかりNetflixドラマ投票をとったら、皆それぞれにハマっているドラマがある模様。 『オレンジイズニューブラック』とか『マッド・メン』とか、ぜんっぜんアンテナに引っかかってなかった。そんなのも観るようになったら、増々寝不足傾向に..…

『他諺の空似 〜ことわざ人類学〜(米原万里)』

「ママッ、ママ!」出張先から帰宅するなり、娘が駆け寄ってきて、私がコートを脱ぐあいだも息継ぎするのを忘れてしゃべりまくる。 「昨日ママがお留守のあいだにね、パパったら綺麗なお姉さんを連れて来たの。それでね、リビングのソファでね、一緒に横にな…

『専横のカリスマ 渡邉恒雄(大下英治)』

・しかばね演説 東京に輪転機を六台入れる件では、務台社長は正力社主と刺し違える覚悟だった 初配属の読売ウィークリーでは、共産党山村工作隊ルポ。 ・大野伴睦に対しては、「一人の人間として、あれほど完璧にいいやつはいなかったと思う」 ・のちにデヴ…

『私の消滅(中村文則/文学界6月号)』

(文藝春秋ではなく、文学界の巻頭。相も変わらず、物語の向かうのは、徹底的に不快な方向性) 父が母を叩く音が続く。母の短い悲鳴。私はドアの前でただ立っていた。銀のドアノブが、暗がりの中でぼんやり光って見える。ドアは、酷く薄く頼りなかった。開け…

『三島由紀夫 行動する言葉100(英知出版社)』

やたらと人に弱味をさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく「無礼者」と呼びます。 常に強がるのが軍人や政治家の仕事なら、弱味を見せるのは芸術家・小説家の仕事ともいえるのではないか。 老人はいやでも政治的であることを強いられる 三島が考える政治的と…

『金言・笑言・名言録(高田文夫)』

猫にごはん(春風亭昇太) 喜ぶな 上司と野球にゃ 裏がある(サラリーマン川柳) 人間万事可愛げ(高田文夫) 「恋が着せ、愛が脱がせる(その昔の伊勢丹のポスター)」 「とめてくれるなおかっさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」(1968年…

『現代アートの本当の楽しみ方』

会社の図書室で借りた。 遠藤水城さんと五野井さんの対談中。 学問において、自由と民主主義を戦前戦中戦後とつないできたのがやっぱり岩波・朝日文化なわけですよ。 遠藤ー美術でも、美術館に行くということは何かを学ばなければならない、何かを得るものだ…

『洋の東西刺し貫けたら、深く遠くに届く』山口晃@2013年11月30日付 朝日新聞

複雑な事象から公式を導き出そうとせず、複雑なまま並べるのは、前近代的と見られる所があります。でも東洋人である僕はそういう描き方があっていいと思う。かといって、それを異国風の味わいの「売り」にしたくはない。違和感を含めたまま、「美術」のルー…

『発想は直感でも、選んだ理由を徹底的に考える』寄藤文平@2015年5月9日付 朝日新聞

「優等生的な表現から逸脱しようとする意図を感じた」と振り返る。岡本さん自身も広告に「くだらなさ」「下世話」といった価値観を持ち込みたいと考えていただけに、波長が合ったという。 ただ、理詰めで作れば、よいデザインが出来るわけではない。僕自身、…

『文章讀本(谷崎潤一郎)』

(駿河台下の角、古い雑居ビル) 口語文といえども、文章の音楽的効果と視覚効果とを全然無視してよいはずはありません。 大人は小児ほど無心になれないなれないものですから、とかく何事にも理窟を云う、地道に練習しようとしないで、理論で早く覚えようと…

『命売ります(三島由紀夫)』

元々68年にプレイボーイ上で連載していたものが、版元が新装した帯をきっかけに昨年売れた三島作品。 「三島由紀夫」という名前と、「極上のエンターテイメント」という売り言葉の掛け合わせでみんな買わされたんだろう。 三島由紀夫の優れた小説を知って…

『淵の王(舞城王太郎)』

舞城作品において、映画でいうと予告編に使われそうなやヴァイシーンはサイズが崩れる。言葉も崩れて、どがががががががががががあああみたいな文字列を見ると、ゲシュタルト崩壊的感覚を抱かされて気持ち悪くなる。 この作品のクライマックスシーンに、ガン…

『ブラック・スキャンダル』

今川焼とフライドポテトを買いに出て、冒頭見逃してしまった。。 愚かすぎる。 さて、本作はBased on true story. ジミー・”ホワイティ”・バルジャー(J・デップ)は出所したばかりの札付きの悪党。 たまに出入りする女性との間に出来た血のつながった子に…

『地図と領土(M=ウェルベック)』

写真家のち画家、ジェド。 芸術と女性との別れ。 友人であり、作家ウェルベックの死。 そして、愛への、友人への、父の生、自らの人生への諦め。 沈黙が続いていたが、父がそれを破りたがっている様子はまったくなかった。 こういう家族のあいだの会話という…

『議論を忘れた日本人 -橋本治 2014年7月8日』

朝日新聞、オピニオン面。 集団的自衛権の行使が日本の安全を守る抑止力になる」と言う人もいますが、 一方では「集団的自衛権を行使しないことが日本の安全を守る抑止力になる」という考え方だって出来ます。 問題は、「安倍内閣が憲法解釈を変えて、集団的…

『北の国から 84’夏』

北の国からの良さは散文的情景や心情を描けていること。 子供の頃、誰もが経験した事がある、自らの嘘や小さな不正に対する気まずさ、情けなさ。状況へのバツの悪さ。 東京からきた都会っこはパソコンに夢中だった。 これから世の中が変わっていくという。 …

『もののけ姫』

土曜の朝、撮り貯めてあった「もののけ姫」を観る。 ジムに行く予定だったので1時間だけと思って観始めたが、しまいまで観てしまう。 97年作。制作費24億円だという。魔女の宅急便が4億円だというのでいかに作り込まれているかがわかる。 地上波では既に8…

『パリ、テキサス(ヴィム・ヴェンダース)』

84年、フランス・西ドイツの合作。 ロードムービーの傑作。 ロードムービー、それは長い距離を移動する物語。 さまざまな理由で、人は移動する。 恋人や家族を探して、敵を追い、組織から逃れて。 車で、バスで、電車で、徒歩で。 彼らは、どこからどこを移…

『アメリカン・ビューティー』

1997年。サム・メンデス監督。この映画が好きだ。 大みそかの夜、元旦へと日が変わってから、まだ起きていた友人と視る。初めて観たときから、「あまりにアメリカ的だ」という印象が離れない。アメリカ的な価値(その美質よりも、富や名声に象徴されるわ…

『サマーウォーズ(細田守)』

09年8月公開。細田守監督。 冒頭のコマーシャル 「仮想空間で拡がるバーチャル社会、さまざまな活動が簡潔する時代です!」 夏希先輩に夏休みのバイトに誘われ訪れたのは信州上田の旧家。 家族の前で、「わたしの彼。お婿さんになるひと!」 彼氏のフリし…

『オーシャンズ11』

スティーブン。ソダバーグ 監督。キャストの豪華さも確かにある。 こういう映画を観ないうちに語る際、 「どうせキャスト頼みのシリーズだろう」とあるべきではない。 「これだけのキャストなんだ、ハンパな本と演出にはならないだろう」と観るべきなのだ。 …

『ドキュメント 戦争広告代理店 -情報操作とボスニア紛争-(高木徹)』

年末、金沢への旅行に持っていく。 一PR会社が、紛争を煽動した。というわけではない。ただ、特定の民族に肩入れし、国際世論を味方にした。一方は悪役のレッテルを貼られ、国連を追放されるに至る。 ボスニア紛争で戦われた「情報戦争」に勝利した国の差…

『分類脳で地頭が良くなる(石黒謙吾)』

今週ご本人にお会いするため、著作を読む。 和が意を得たり!まさにこういうこと!思考(アイデアの地平)を水平に展開していくこと、違うアプローチで言ってくれた!ほんとに弟子入りしたいわ。 すごい成績を上げている営業マンは必ず分類していると想像し…

『Blue Velvet (デヴィッド・リンチ)』

86年、脚本・監督 デヴィッド・リンチ 夢と闇の中で描かれる暗示と象徴が、観るものに詮索とミスリードを起こさせる。 冒頭のシーン、芝生で何かに噛まれて倒れた親父。 草むらで”耳”を拾ったジェフリー(金物屋のせがれ)が警察に持って行く。 事件性に興味…

『自伝 狂気ありて(立川談志)』

レジで会計するとき、B&Bの店員に僕は男子のお師匠さんの小さんの方が好きですけど、とか言われた。だからあんたあここにいるんだ、とは言ってやらなかったが。。 昔の写真とか多くて良かった。 志ん朝と京成電車の2人がけに座ってるときの写真とか。 家族…

『ぼくらの仮説が世界を作る(佐渡島康平)』

この12月の刊行の新刊だったし、旬な人なんで丸善でカゴに入れました。 ネット世界では、一目置かれてる人、という印象。 編集者という肩書き、灘→東大→講談社って、どうしたってこの部分のブランドも効いてると思う。糸井さんもそう安々と帯文を受ける人じ…

『ダンス・ダンス・ダンス(下)』

三人の消えた娼婦と一人の俳優と三人の芸術家と一人の美少女と神経症的なホテルのフロント係。 (女房に出て行かれて、北海道のホテルを訪れたくて、受付の女性と出会って訴えかけられるものがあって、ホテルに泊まっていた少女の東京帰り付き添いを託されて…

『ダンス・ダンス・ダンス(上)』

学生の頃から、読むのは何回目か。 さすがに、ロレックス、港区、メルセデス、経費、高度資本主義社会、、そういったシミュラークル的名詞に古びた印象を受けた。 そりゃそうだ。古びなきゃおかしい。30年も前に書かれたの小説なのだ。 自分に対するこの作…

『わたしたちが孤児だったころ(カズオイシグロ)』

こんなにも明白はタイトルなので、説明されないと(あるいはしっかり予測を立てないと)そのタイトルが持ってくる意味がわからない。ましてやこの人の小説なら、何かがあるのだ。 彼の小説は、「人間がもっている幼少期の記憶の曖昧さ」に根ざしている。誰も…

『日本語が亡びるとき -英語の世紀の中で(水村美苗)』

成田ーホノルル間で読む。太字で書き留めることが、実に多い。 国の言葉を考えるとき、この国のユニークさと近代以降の激動を考え合わせれば、ドラマティックにならないはずがない、そんなことを教えてくれる稀有な現代日本語文化論。 アイオワ大学は全米で…

『半落ち(原作:横山秀夫)』

ホノルルから成田までの機上で。04年作。 冒頭、「女房を殺した」と自首してきた、元警察刑事部の梶(寺尾聡)。 柴田恭平が群馬県の期待刑事として出てきて、冗談でも言ったときには誰もが、あぶない刑事を想起して台無しになりそうなところを、一応はその…

『007 スカイフォール』

MGMメトロゴールドウィンメイヤー、サム・メンデス監督。 興行収入は全世界で11億800万ドル MI6という諜報組織の本部本丸が、内部を熟知した人間にハッキングで狙われるスリリング篇。 007シリーズは、街中でドンパチやり過ぎる感が爽快だ。 Mに「あの…