ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

創作のヒント 

『すーちゃん(益田ミリ)』

女の子とのなんとなく思うこと、感じたこと、しちゃったこと。 を言葉にしている漫画(というよりエッセイ)だな。 こういうことを最近仲良くしているコピーライターの子とかと酒飲みながら話したい。 「一冊読み終えたあとなんとなく.表紙をながめます いい…

『書く力 -私たちはこうして文章を磨いた-(池上彰・竹内政明)』

確かに、読んでいて「あまり面白くないな」と感じてしまう文章は、ほとんどの場合、厳しい言い方のようですが、構成に工夫が足りないとか、表現力が足りないとかいう以前に作者自身が「自分はこれから何を書くか」をはっきりとわかっていない。だから工夫の…

『すべての男は消耗品である(村上龍)』

誰かの批評本で、村上龍の著作で読むならこれ、みたいなスタンスで書いてあった。 「限りなく透明にちかいブルー」の発表前タイトルである「クリトリスにバターを」よろしく、このひとはコピーライティング的センスがあるようだ。 タイトルからして、ほとん…

『この人の閾(保坂和志)』

小田原での人との約束時間まで少し時間があったので、大学時代のサークルの友だちと久しぶりに会おうという話。その、きまぐれ感、なんとなくな設定はこの人の小説そのものだ。 「ふうん。 三沢君って、昔からけっこうヒューマニスト的なところがあったわよ…

『パトレイバー the movie2』

1993年。押井守監督。 宇野常寛がポリティカルフィクションしばしば言及する本作。 9条改正議論が取沙汰される今こそ、再び見返されているという。 西船橋のTSUTAYAで、年末レンタルした。 都心湾岸のベイブリッジが爆破される。 爆撃機に自衛隊が関与か。 …

『17歳のカルテ』

99年。原作はスザンナ・ケイセンの自伝『思春期病棟の少女達』。 ウィナノ・ライダー、アンジェリーナ・ジョリー。 レンタルビデオ屋ではしばしば目についたジャケットが、なかなか手に取る機会を失っていた(なぜだろう、女二人の話だろうとタカくくった…

『インターステラー』

2014年、C・ノーラン監督。 マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ。 小麦は疫病で全滅。トウモロコシも灰砂で覆われてろくに収穫出来ない世界。 インド空軍のドローンを追いかけて、ハッキングコントロールする。 インドもアメリカも空軍がなくなっ…

『宴のあと(三島由紀夫)』

1960年、実在の人物をモデルにした小説とされる。 発表後、訴えられる。 初の「プライバシー権」対「表現の自由」の対決だった。 福沢かづ。雪後庵。野口雄賢。永山元亀。選挙参謀山崎。佐伯首相。奉加帳。 (畔上輝井。般若苑。有田八郎。1959年都知事選。…

『ゴーンガール』

2014年。監督:デビット・フィンチャー 原作:ギリアム・フリン ベン・アフレック。オザムンド・パイク。 一回目は劇場で、二回目ネットフリックスで。 ストーリーの骨子だけ見つめると、なんてことはないただの“結婚生活の終焉と破局模様”でしかないのだが…

「女性が奪われていたものは、実は『時間』ではなく『尊厳』だったのではないか」(10月27日付 朝日新聞)

この日のオピニオン面は、実り多いわ〜。 メディア(報道)がいかに、事態を定型的な判断と切り口で考えているか。それを無批判、無思考な人たちが垂れ流してしまうか。これはさきの大統領選でも同じことが言えるね。メディアや報道に携わる者たちでさえも、…

『海を感じる時(2014)』

余白が多い日本映画。 土曜朝に読書しながら、視聴する。 パンチな科白のオンパレードだった。 気持ちいいくらい、身体目当ての男。 しかも、シリアスに“女の身体に興味がある”のだと。 女は男に惚れていた。身体で繋ぎ止めるしか、迫るしかない女のギリギリ…

『はっとする1行 出会いたい』井上荒野、角田光代、川上未映子(7月31日付 朝日新聞)』

三人の作家の「読んだ小説の魅力を逃さないために」。 さすが、みな第一線の作家。 言葉が有り体でなく、実感もちゃんとこもったものだ。 角田さんも学生時代の自分と重ねて「20歳くらいの頃は読んでいるものが限られているから、小説とはこんなものだと思っ…

『ダークナイト』

08年、米英共作。クリストファー・ノーラン。 この作品への評価はそのまま、ジョーカーを演じたヒース・レジャーの演技とその迫真性への評価と言ってもいいかもしれない。この映画が好きだという誰もが言う「ジョーカーがすごかった」と。 ジョーカーの狂気…

「欲しい ほしい ホシイ── ヒトの本能から広告を読み解くと(小霜和也)」

小霜さんの著作。「欲しい」という感情を、マーケティングの領域から脳科学的見地でもひもといていこうというお話。 渡り鳥がなぜ性格に目的地にたどり着けるかについては、星を見ながら位置を測っているのだ、など諸説ありますが、確信を持って飛んでいるの…

【ラジオ】村上龍が村上春樹について語りき、爆笑問題・太田がアシストする。

www.youtube.com 村上龍「彼がやっている最大公約数みたいなものを掴んで虚構化するのは難しいことですよ。」 太田光「村上龍作品って、現実主義。いま、現実をどうするか!じゃないですか。でも、村上春樹作品って、もうずーっと上に行っちゃって、北欧の方…

おおうこのブログ。まるで吉田 修一の小説を読んでいるようだ。

おおう、すごい。すごい日記だ。 女子の中でよく口にされる常套句を切り口に、ここまで個人の過去の思い出とリアリティをシンクロさせる子の日記。 まるで、吉田 修一の小説を読んでいるようだ。 仲のいい女友達の素性を、そこにいた誰も知らない。 chainomu…

『伯爵夫人(蓮實重彦)』

15上の先輩から、ある日、社内便で新潮 四月号が回ってきた。 巻頭の小説にふせんがしてあり、面白いから読めという。 読むとぶったまげた。間違いなく、今年一番、面白くインパクトがあった。 後日、新聞でこれが三島賞エントリーしたと聞く。 受賞は間違…

『火花@Netflix(6話〜10話)』

ドラマの後半。 留まる言葉は少なかったような気がする。 言葉は全て何気ないもので、文脈とストーリーの中にあってようやく機能していた。 「お前、何、勃起しながら泣いてんねん」 「性欲の強い、赤ちゃんか」 「この人が全ての答えを持っていると思い込ん…

『金閣寺(三島由紀夫)』

幼時から父は、私によく、金閣のことを語った。 さて、若い英雄は、その崇拝者たちよりも、よけい私のほうを気にしていた。私だけが威風になびかぬように見え、そう思うことが彼の誇りを傷つけた。 それでもなお、私が関与し、参加したという確かな感じが消…

『火花@Netflix(1話〜5話)』

FacebookでうっかりNetflixドラマ投票をとったら、皆それぞれにハマっているドラマがある模様。 『オレンジイズニューブラック』とか『マッド・メン』とか、ぜんっぜんアンテナに引っかかってなかった。そんなのも観るようになったら、増々寝不足傾向に..…

『他諺の空似 〜ことわざ人類学〜(米原万里)』

「ママッ、ママ!」出張先から帰宅するなり、娘が駆け寄ってきて、私がコートを脱ぐあいだも息継ぎするのを忘れてしゃべりまくる。 「昨日ママがお留守のあいだにね、パパったら綺麗なお姉さんを連れて来たの。それでね、リビングのソファでね、一緒に横にな…

『専横のカリスマ 渡邉恒雄(大下英治)』

・しかばね演説 東京に輪転機を六台入れる件では、務台社長は正力社主と刺し違える覚悟だった 初配属の読売ウィークリーでは、共産党山村工作隊ルポ。 ・大野伴睦に対しては、「一人の人間として、あれほど完璧にいいやつはいなかったと思う」 ・のちにデヴ…

『私の消滅(中村文則/文学界6月号)』

(文藝春秋ではなく、文学界の巻頭。相も変わらず、物語の向かうのは、徹底的に不快な方向性) 父が母を叩く音が続く。母の短い悲鳴。私はドアの前でただ立っていた。銀のドアノブが、暗がりの中でぼんやり光って見える。ドアは、酷く薄く頼りなかった。開け…

『三島由紀夫 行動する言葉100(英知出版社)』

やたらと人に弱味をさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく「無礼者」と呼びます。 常に強がるのが軍人や政治家の仕事なら、弱味を見せるのは芸術家・小説家の仕事ともいえるのではないか。 老人はいやでも政治的であることを強いられる 三島が考える政治的と…

『金言・笑言・名言録(高田文夫)』

猫にごはん(春風亭昇太) 喜ぶな 上司と野球にゃ 裏がある(サラリーマン川柳) 人間万事可愛げ(高田文夫) 「恋が着せ、愛が脱がせる(その昔の伊勢丹のポスター)」 「とめてくれるなおかっさん 背中のいちょうが泣いている 男東大どこへ行く」(1968年…

『現代アートの本当の楽しみ方』

会社の図書室で借りた。 遠藤水城さんと五野井さんの対談中。 学問において、自由と民主主義を戦前戦中戦後とつないできたのがやっぱり岩波・朝日文化なわけですよ。 遠藤ー美術でも、美術館に行くということは何かを学ばなければならない、何かを得るものだ…

『洋の東西刺し貫けたら、深く遠くに届く』山口晃@2013年11月30日付 朝日新聞

複雑な事象から公式を導き出そうとせず、複雑なまま並べるのは、前近代的と見られる所があります。でも東洋人である僕はそういう描き方があっていいと思う。かといって、それを異国風の味わいの「売り」にしたくはない。違和感を含めたまま、「美術」のルー…

『発想は直感でも、選んだ理由を徹底的に考える』寄藤文平@2015年5月9日付 朝日新聞

「優等生的な表現から逸脱しようとする意図を感じた」と振り返る。岡本さん自身も広告に「くだらなさ」「下世話」といった価値観を持ち込みたいと考えていただけに、波長が合ったという。 ただ、理詰めで作れば、よいデザインが出来るわけではない。僕自身、…

『文章讀本(谷崎潤一郎)』

(駿河台下の角、古い雑居ビル) 口語文といえども、文章の音楽的効果と視覚効果とを全然無視してよいはずはありません。 大人は小児ほど無心になれないなれないものですから、とかく何事にも理窟を云う、地道に練習しようとしないで、理論で早く覚えようと…

『命売ります(三島由紀夫)』

元々68年にプレイボーイ上で連載していたものが、版元が新装した帯をきっかけに昨年売れた三島作品。 「三島由紀夫」という名前と、「極上のエンターテイメント」という売り言葉の掛け合わせでみんな買わされたんだろう。 三島由紀夫の優れた小説を知って…