小説
孤独と性愛の調べ。 最小限の、引用に留める。 曖昧なものに一応具体的な形を与えておきたかった。 ときには際どい冗談を言い合う仲だが 津野木との間には、危険なものが沢山ある。 「いけないね、人生にたいしてそんなに消極的になってはいけない」そういう…
フリーター、25歳、健斗。 実家で同居するじいちゃんは、身体も思うようにならなくることが多く「はやく迎えにきてほしい」と弱音ばかり吐くようになっている。 薬漬けの寝たきりで心身をゆっくり衰弱させた末の死を、プロに頼むこともできないのだ。 湯温…
冒頭の夢の話(あるいは昔から悩まされる悪夢や光景)は、この人のお約束だ それは主人公の罪悪か性的な原体験である事が多い 彼は刑事である。 大きな事件や連続殺人で捜査本部が設置されると担当所轄と警視庁の人間が一緒に動く 警視庁の女性刑事小橋さん…
かなり正直に誠実にお話しされています。 この人のついて、いまさなどう言うでもないです。 これを読んでまた村上春樹の小説が読みたくなった。それだけです。 ・・・多くの学生と同じように、その運動のあり方に幻滅を感じるようになりました。そこには何か…
[主人公の人物造形] ・小さなバーのバーテンやってる・メニューはホットドックだけ(めちゃうま)・アル中でウィスキーばっか飲んでる・若い頃、学園闘争の縁で前科あり・ピンチのときこそ軽口たたく・気が強い女が好き(当時も娘も)[話のあらあら筋]・公園…
文藝春秋、受賞作掲載号 なるべく先入観を排して、読もうと思っていた。とりわけ最近、文春の役員の方と知り合ったこともあり、「プロモーションとしてではなく、時代と文芸者の評価がしっかりなされた受賞だと思いたい」という点もあったからだ。 まあそも…
もう、とにかく小説をポップにする人。ちんことかまんことかダッチワイフとか使い過ぎ。政治的な主張や思いを、AVにくるんで徹底的に戯画してふざけて描く。 徹底的にポップな舞台立てに、真理や”ほんとう”を打ち立てるのは容易じゃない。ただ、その構造物…
三島の文章の美しさは、その心象と個人の意識を描き切り、卓越した表現で言い得ているところだ。そんな細かな機微をよくぞ言葉にしたな、といった具合に。 純粋性や無垢な精神の表象は、不純なものがなく洗練されて美しい。 父の密告 ↓留置場で射精 ↓俺は愛…
登場人物は金がない。社会の底辺。日雇いかその日暮らしだ。稼ぎか食い物のために、奇天烈な人間たちに関わって悪に関わる。 性と暴力に遠慮がなく、描写もグロテスク。乾いたユーモアと設定のシュールさが、癖になる。 また、メタファーが簡潔にして言い得…
テーマは”夫婦の間の闇”だろう。謎の女からの電話は(性的な、否、精神的な)”誘惑”である。 自分はこの女について何を知っているんだろうと自問した。 僕がこうして送っている結婚生活というのはいったい何なんだろう?そしてそのような未知の相手と共に生…
カズオイシグロは、不条理の中に生きる人々の感じていることや息づかいを捉えるのがうまい。 悦子と佐智子との会話は、佐智子が自分本位に言いたいことを言うだけで、なかなか成立しているようには見えない。しかしやがて、悦子の言っている事も自分本位では…