ここがパンチライン!(本とか映画、時々 新聞)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

批評・評論 

『僕らはいつまで『ダメ出し社会を続けるのか』(荻上チキ)』

荻上チキの、TVでのコメンター陣の並びについても、客観的で中立的な視点と切り口は、どうやって培われてるんだろうと興味本位で読んだ。 「エヴィデンスに基づいた議論構築」や「社会疫学的な思考」を大事に、一つ一つを考えてきた人だ。そう思えた。同い…

文芸時評:磯崎憲一郎(朝日新聞 5/30、6/27)

文体とは何か 「うつくしい文章とか気の利いた表現といったことではなく、日本語の並べ方そのもの」 登場人物の人生観を端的に言い表す台詞でもなく、ただひたすらに、目の前の一文の、語の選択と配置、という問題なのだ。 作中の所々で、書き手の意図を超え…

寄稿:『理解できぬ世界は悪か(角田光代)』

会社サボって、「万引き家族」観れてよかった。 朝日で2回(6/8、6/25)、読売で1回(6/7)、大きく紙面を割かれた。 各記事を並べたいと思う。 幼児を虐待する親は極悪人だと思っているし、万引き常習犯は病んでいるのだろうと思っている。自分が彼らと同…

『中国 儒学思想を政治に(中国人民大学教授 康暁光)』

2018年6月20日付け 朝日新聞 「彼らは米国映画を好み、米国人のような服装を来ていますが、深層の考え方はたいへん儒学的で、個人主義的な傾向はあまり見られないのです」 「ある調査で『個人は独立した主体。誰も他人の道具、手段になってはならない…

『刑務所しか居場所がない(山本譲司)』

6月30日付 朝日新聞の書評である。 小生は実際にまだ読んではいない。 書評だけで落涙した。 「俺たち障害者は生まれたときから罰を受けているようなもんだ。だから、罰を受ける場所はどこだっていいや。また刑務所ですごしてもいい」 本当にこんな世の中で…

『空気の研究(山本七平)』

「それは簡単なことでしょう。まず、日本の美徳は差別の道徳である、という現実の説明からすればよいと思います」 私は簡単な実例をあげた。それは、三菱重工爆破事件のときの、ある外紙特派員の記事である。それによると、道路に重傷者が倒れていても、人々…

『蹴飛ばせ、幕引きパターン(朝日新聞編集委員 高橋純子)』

毎回楽しみにしている、朝日新聞 高橋純子さんの政治断簡。 切り口、切れ味、横道と脇道、嫌悪と皮肉がないまぜになって政権を批判する。 権力や権威に対する批評性と、その志と高い見識からくる教養を感じる。 朝日新聞にはこういう人がいるから(記事があ…

『西部邁さんを悼む -絶えず問うた 生への覚悟-(佐伯啓思)』

佐伯啓思 西部さんが絶えず問いかけたのは生への覚悟であった。お前は何を信条にして生きているのか、それを実践しているのか、という問いかけであった。 その意味で、彼ほど、権力や権威や評判におもねることを嫌った人を私は知らない。 あらゆる社交の場に…

『論壇時評(小熊英二)』

2018年4月26日「透明な人事へ 審査期間を」(政治と官僚) 自民党が安定していた時代には、政治家は性急な無理強いをせずともゆっくり要求を実現させる「熟柿戦術」をすればよかった。また、官僚たちも、既成を口実に断ったり、「盥回し」にしてやり過ごして…

『日本の気配(武田砂鉄)』

「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませぬから」には主語がない。1959年に日本にやってきたチェ・ゲバラは、当初予定していなかった広島訪問を懇願した。原爆病院や資料館を訪ね、同行した日本人に対して「君たちはアメリカにこんなひどい目に遭わ…

『掏摸(中村文則)』

財布はポストに入れれば、郵便局から警察に行き、免許証の住所に戻る。指紋を拭き取り、ポケットにしまった。ホストは薬でつかまりかもしれないが、それは自分に関係したことではなかった。 この金は昨日の痴漢から取ったものだが、その前の所有者は不明だっ…

『炎の牛肉教室!(山本謙治)』

山本謙治。この人も闘っている。 問題視されることがなかった現状に批評性を持って取り組んでいる。 自分が正しいと感じたことのために。 やまけんの出張食い倒れ日記 和牛は「黒毛和種」、「褐毛和種」、「日本短角和種」、「無角和種」の4品種。 A5とい…

論壇時評「現実 追認せず合意形成を」_小熊英二

村民の1/4が技能実習生だった長野県川上村(日本一のレタス出荷量で知られる)のように、外国人なしに成り立たない地域や産業も少なくない。 ドイツと日本の再軍備の経緯の違いを指摘する。ドイツでは、民主主義と軍隊をどう両立させるか議論して再軍備し…

論壇時評「充実を支持する層は」_小熊英二

福祉の充実が、貧しい人に支持されていない。嘘のようだが本当の話だ。 大沢によれば「日本の税・社会保障制度はOECD諸国の中でも最も累進度低」い。とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い。 純粋に政府からの所得移転だけをみても、日…

『政治断簡:冬来たりなば春遠からじ(高橋純子)』

「死ぬ時間考えてほしいよ。この時間は死ぬ時間じゃねえだろ。2時ぐらいに死ねよ」 「そうだよね〜」 2人ともスマホの画面を見つめたまま。 共感、共生の感覚が細り、やせてしまったこの社会の土壌。 「共」の醸成は、政治の大きな役割のひとつだ。 政治の言…

『R帝国(中村文則)』

中村文則として、書かずには済まされないテーマ(という位相)だったのだろう。 しかし、破滅的な展開において愛とか小さい頃の出会いについてのみ首尾よく上手い具合に(つまりはご都合主義的に)ことが運ぶのは興ざめを禁じざるをえない。 悪や悪意を具現…

『文学の淵を渡る(大江健三郎×古井由吉)』

先生は聖書の同じところに即して語られました。「娼婦と結婚する」という言葉がありますでしょう。僕たちキリスト教の外側の人間は、「娼婦と結婚する」という言葉を見ると、まあ比喩として考えます。ところが、門脇神父のようなキリスト教の専門家は、それ…

『サラバ!(西加奈子)』

読んでから随分時間が経ってしまった。 読まず嫌いしてた西加奈子だったが、とてもいい書き手であることが分かった。 うれしい。 そんで、又吉たちが「西加奈子の小説を読んで、自由に書いていいんだ」と思ったみたいなくだりが分かったような気がする。 現…

『愛が挟み撃ち(前田司郎)』

2018年冬、芥川賞候補作。 今回は「勝手に芥川賞選考会(1/15)」の開催を前にアップ。 ※本物の選考会は1・16、築地の新喜楽にて。 前田司郎さんは、五反田団を主宰する劇作家、演出家、作家。 09年には『夏の水の半魚人』で、三島賞を受賞している。…

『総選挙 日本の岐路(中村文則 2017年10月6日付 朝日新聞)』

★中村文則 その件で関係者達が国会で「記憶にない」を連発しても支持してくれる。だからそういった層には、元々説明する必要性は薄い。 そして政権を批判している人たちに対しては、首相が都議選で野次のコールをした人々に対し「こんな人達に負けるわけには…

『「安倍的」なるもの(2017年10月4日付 朝日新聞)』

★幸田真音 ストレートで、細工や計算をしない人だと思います。 メルケル独首相に「ウラジミールはシンゾーに任せる」と言われたほどの関係をロシアのプーチン大統領との間で築くなど、外交力は高く評価すべきです。 ★青木理 神戸製鋼社員時代の上司らに話を…

『コンプレックス文化論(武田砂鉄)』

砂鉄氏の切れ味するどい舌鋒はあまり発揮されず、個々のコンプレックスに関連づけられるタレント系エピソードもやや貧弱だ。 意外にも本人の関心とは、遠いところの企画だったのではないか。 働かざるもの食うべからず、との形容を好みのは曾野綾子だが、そ…

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝(栗原康)』

口ではわかったおいっておきながら、速攻でそれを破ってしまう。 ▼糸島郡今宿村(現 福岡市西区) ▼上野高等女学校(現 上野学園)へ ▼新任の英語教師 辻潤 ▼雑誌『青鞜』の、貞操論争、堕胎論争、廃娼論争。 遭いたい。行きたい。僕の、この燃えるような熱…

『ドキュメンタリーは嘘をつく(森達也)』

言い換えれば報道は、とても危なっかしいバランスの上に立っている。 自らが中立で公正であるとの強い思い込みは、自らが正義の側に立つとの思い込みにあっさりと短絡する。 自らが正義であると思い込んだメディアは暴走する。 主張は明快だし、歯切れも良い…

『影裏(沼田真佑)』

今日の 芥川賞受賞作発表の前に上げておくんだった。 先ほど、深夜のニュースで作者と受賞作の短評を聞く。 「震災小説」と説明されていた。 記者会見での質問にあったのだと思うが、「自分は岩手に住んでいるので、禊のつもりで書いたつもりが、ないわけで…

『メディア真っ二つ?(7月13日付 朝日新聞オピニオン面)』

大石裕・慶応大教授(ジャーナリズム論) 読売新聞の前川・前文部科学事務次官の「出会い系バー」を巡る報道は、政権とメディアが保つべき一線を超えた、大きな問題を持つものでした。 一方で記者側は書きぶりを工夫するなどして一定の緊張関係を維持してき…

『暴走する忖度(7月7日付 朝日新聞朝刊オピニオン)』

金田一先生、この春列島を一世風靡した「忖度」についてかく語りき。 深い。言語学者としてあまりに政治家の言葉についての批評性がある。 このテーマでこういう人選ができるのもさすが編集者といった脱帽感。 朝日新聞はオピニオン面がほんとに面白いんです…

『知性の顛覆 日本人がバカになってしまう構造(橋本治)』

7/9付朝日新聞朝刊「著者に会いたい」での新作新書、著者インタビューで橋本治。 <「自分のアタマで考えたいことを考えるためにするのが勉強だ」ということが分かると、そこで初めて勉強が好きになった> 反知性主義を読み解いていくなかでたどり着いたの…

『星の子(今村夏子)』

「第三回 勝手に芥川賞選考会」を来週火曜(7/18)に控え、全候補作品を読みました。 今回はノミネート4作品と例年に比べて候補作品が少なかった。 2017年上期 候補作品 芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会 今村夏子さんは前回の『あひる』に続き…

『レボリューショナリーロード(2008 サム=メンデス)』

人生にとって、退屈って最大の驚異。 誰もがみんなそんな状態からは逃げたくてしょうがない。 さらに、それが夫婦関係であったならば。夫婦それぞれが人生において「退屈。」と感じるようになったならば。 これは、そんな「人間の退屈」という意識と空間に差…