ここがパンチライン!(本とか映画、時々 新聞)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

批評・評論 

『炎の牛肉教室!(山本謙治)』

山本謙治。この人も闘っている。 問題視されることがなかった現状に批評性を持って取り組んでいる。 自分が正しいと感じたことのために。 やまけんの出張食い倒れ日記 和牛は「黒毛和種」、「褐毛和種」、「日本短角和種」、「無角和種」の4品種。 A5とい…

論壇時評「現実 追認せず合意形成を」_小熊英二

村民の1/4が技能実習生だった長野県川上村(日本一のレタス出荷量で知られる)のように、外国人なしに成り立たない地域や産業も少なくない。 ドイツと日本の再軍備の経緯の違いを指摘する。ドイツでは、民主主義と軍隊をどう両立させるか議論して再軍備し…

論壇時評「充実を支持する層は」_小熊英二

福祉の充実が、貧しい人に支持されていない。嘘のようだが本当の話だ。 大沢によれば「日本の税・社会保障制度はOECD諸国の中でも最も累進度低」い。とくに社会保険料は、低所得の人ほど相対的に負担が重い。 純粋に政府からの所得移転だけをみても、日…

『政治断簡:冬来たりなば春遠からじ(高橋純子)』

「死ぬ時間考えてほしいよ。この時間は死ぬ時間じゃねえだろ。2時ぐらいに死ねよ」 「そうだよね〜」 2人ともスマホの画面を見つめたまま。 共感、共生の感覚が細り、やせてしまったこの社会の土壌。 「共」の醸成は、政治の大きな役割のひとつだ。 政治の言…

『R帝国(中村文則)』

中村文則として、書かずには済まされないテーマ(という位相)だったのだろう。 しかし、破滅的な展開において愛とか小さい頃の出会いについてのみ首尾よく上手い具合に(つまりはご都合主義的に)ことが運ぶのは興ざめを禁じざるをえない。 悪や悪意を具現…

『文学の淵を渡る(大江健三郎×古井由吉)』

先生は聖書の同じところに即して語られました。「娼婦と結婚する」という言葉がありますでしょう。僕たちキリスト教の外側の人間は、「娼婦と結婚する」という言葉を見ると、まあ比喩として考えます。ところが、門脇神父のようなキリスト教の専門家は、それ…

『サラバ!(西加奈子)』

読んでから随分時間が経ってしまった。 読まず嫌いしてた西加奈子だったが、とてもいい書き手であることが分かった。 うれしい。 そんで、又吉たちが「西加奈子の小説を読んで、自由に書いていいんだ」と思ったみたいなくだりが分かったような気がする。 現…

『愛が挟み撃ち(前田司郎)』

2018年冬、芥川賞候補作。 今回は「勝手に芥川賞選考会(1/15)」の開催を前にアップ。 ※本物の選考会は1・16、築地の新喜楽にて。 前田司郎さんは、五反田団を主宰する劇作家、演出家、作家。 09年には『夏の水の半魚人』で、三島賞を受賞している。…

『総選挙 日本の岐路(中村文則 2017年10月6日付 朝日新聞)』

★中村文則 その件で関係者達が国会で「記憶にない」を連発しても支持してくれる。だからそういった層には、元々説明する必要性は薄い。 そして政権を批判している人たちに対しては、首相が都議選で野次のコールをした人々に対し「こんな人達に負けるわけには…

『「安倍的」なるもの(2017年10月4日付 朝日新聞)』

★幸田真音 ストレートで、細工や計算をしない人だと思います。 メルケル独首相に「ウラジミールはシンゾーに任せる」と言われたほどの関係をロシアのプーチン大統領との間で築くなど、外交力は高く評価すべきです。 ★青木理 神戸製鋼社員時代の上司らに話を…

『コンプレックス文化論(武田砂鉄)』

砂鉄氏の切れ味するどい舌鋒はあまり発揮されず、個々のコンプレックスに関連づけられるタレント系エピソードもやや貧弱だ。 意外にも本人の関心とは、遠いところの企画だったのではないか。 働かざるもの食うべからず、との形容を好みのは曾野綾子だが、そ…

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝(栗原康)』

口ではわかったおいっておきながら、速攻でそれを破ってしまう。 ▼糸島郡今宿村(現 福岡市西区) ▼上野高等女学校(現 上野学園)へ ▼新任の英語教師 辻潤 ▼雑誌『青鞜』の、貞操論争、堕胎論争、廃娼論争。 遭いたい。行きたい。僕の、この燃えるような熱…

『ドキュメンタリーは嘘をつく(森達也)』

言い換えれば報道は、とても危なっかしいバランスの上に立っている。 自らが中立で公正であるとの強い思い込みは、自らが正義の側に立つとの思い込みにあっさりと短絡する。 自らが正義であると思い込んだメディアは暴走する。 主張は明快だし、歯切れも良い…

『影裏(沼田真佑)』

今日の 芥川賞受賞作発表の前に上げておくんだった。 先ほど、深夜のニュースで作者と受賞作の短評を聞く。 「震災小説」と説明されていた。 記者会見での質問にあったのだと思うが、「自分は岩手に住んでいるので、禊のつもりで書いたつもりが、ないわけで…

『メディア真っ二つ?(7月13日付 朝日新聞オピニオン面)』

大石裕・慶応大教授(ジャーナリズム論) 読売新聞の前川・前文部科学事務次官の「出会い系バー」を巡る報道は、政権とメディアが保つべき一線を超えた、大きな問題を持つものでした。 一方で記者側は書きぶりを工夫するなどして一定の緊張関係を維持してき…

『暴走する忖度(7月7日付 朝日新聞朝刊オピニオン)』

金田一先生、この春列島を一世風靡した「忖度」についてかく語りき。 深い。言語学者としてあまりに政治家の言葉についての批評性がある。 このテーマでこういう人選ができるのもさすが編集者といった脱帽感。 朝日新聞はオピニオン面がほんとに面白いんです…

『知性の顛覆 日本人がバカになってしまう構造(橋本治)』

7/9付朝日新聞朝刊「著者に会いたい」での新作新書、著者インタビューで橋本治。 <「自分のアタマで考えたいことを考えるためにするのが勉強だ」ということが分かると、そこで初めて勉強が好きになった> 反知性主義を読み解いていくなかでたどり着いたの…

『星の子(今村夏子)』

「第三回 勝手に芥川賞選考会」を来週火曜(7/18)に控え、全候補作品を読みました。 今回はノミネート4作品と例年に比べて候補作品が少なかった。 2017年上期 候補作品 芥川龍之介賞|公益財団法人日本文学振興会 今村夏子さんは前回の『あひる』に続き…

『レボリューショナリーロード(2008 サム=メンデス)』

人生にとって、退屈って最大の驚異。 誰もがみんなそんな状態からは逃げたくてしょうがない。 さらに、それが夫婦関係であったならば。夫婦それぞれが人生において「退屈。」と感じるようになったならば。 これは、そんな「人間の退屈」という意識と空間に差…

『伸予(高橋揆一郎)』

83年6月が一刷である。 第79回芥川賞受賞作品。 「芥川賞に偏差値をつける」という書籍で知った。 高橋揆一郎。カッコイイ名前。 伸予。元女教師。たって戦前は、って話。 30年ぶりに、惚れた教え子と会う。自ら自宅に招いて。 積極的な女である。 今だっ…

『死んでしまう系のぼくらに(最果タヒ)』

思春期に読んだらやばい系だったわー 30過ぎても、ぐっとくる言葉たち。 詩の批評ってほんとに難しい(もちろん短歌よりも)。 共通理解や前提が少ないからだろうか。 個々が描いた風景について、おそるおそる語るしかないのだ。 意識される、死と他人の目。…

『アナーキズム(浅羽通明)』

幸徳秋水、石川三四郎、大杉栄という三大アナキスト 1910年 大逆事件 (幸徳秋水ほか24名が天皇暗殺謀議のかどで逮捕、半数が処刑) 1923年 大杉虐殺(甘粕事件) (戒厳令下の不法弾圧事件。憲兵隊によって伊藤野枝、甥の宗一さも虐殺さる) 「い…

『科学の発見(スティーブン・ワインバーグ)』

新聞各紙の書評でも話題になっていた。 理論物理学者で、79年のノーベル物理学賞受賞者スティーブン・ワインバーグ(量子論の統一理論第一歩)の著書。 私は現代の基準で過去を裁くという危険な領域に踏み込む。 本書は不遜な歴史書だ。過去の方法や理論を、…

「女性が奪われていたものは、実は『時間』ではなく『尊厳』だったのではないか」(10月27日付 朝日新聞)

この日のオピニオン面は、実り多いわ〜。 メディア(報道)がいかに、事態を定型的な判断と切り口で考えているか。それを無批判、無思考な人たちが垂れ流してしまうか。これはさきの大統領選でも同じことが言えるね。メディアや報道に携わる者たちでさえも、…

論壇時評『世襲化と格差』小熊英二(10月27日付 朝日新聞)』

政治家が劣化しているという、とTVの中で今日も誰かが言った。 やれやれまた言ってるよという印象の反面で、ほんとにそうだと思う。 私のような、物心ついたころは既に90年代も半ばという世代にとっても、(つまり時の政権が村山富市だったり橋下龍太郎だ…

『断影 大杉栄(竹中労)』

ボルシェビキよりも、アナーキズムだ。 (アナボル論争みたいなもんでね」と言ったら、労働者を中央の統制に従う組織にしようとしたボル派と、地方の個々の団体が主体性を保ったまま自由意志で連合すればよいと考えたアナルコ派) こんなに面白いルポは初め…

『プラットフォーム(M・ウェルベック)』

性的な充足をセックス産業から得ていた僕。 旅行会社でキャリアアップを重ねていた恋人との性的耽溺。 セックス観光のある企画によって、かれらは絶望的な夜に遭遇することになった。 僕は礼儀正しく、真面目で、上司からも同僚からも評価されている。しかし…

『竹中労(KAWADE MOOK)』

#トップ屋 竹中 この世の中に面をさらしたい、有名になりたい、ゼニは稼ぎたい、自分の生活は隠しておきたいなんてムシのいい話はないでしょう。 SEXとは見るものではなく、行うことであったから。ゆえに人々は健康だった。性を抑圧されてノイローゼにな…

西野カナの「トリセツ」のMVがキモい。歌詞世界を映像化するプロセスでどう失敗するのか。

晴れた日曜日の午前中にMTVを視ていて、ふと思ったのだ。 西野カナの「トリセツ」のMVがキモい。 今更ながらであるが。 そのMVを目にして、ざらっとした何がしかが残り違和感や嫌悪を感じ取った人もきっといるだろう。 www.youtube.com ここでは、舞…

『芸能人寛容論 -テレビのわだかまり-(武田砂鉄)』

武田砂鉄 新刊。 この人の着眼点と連想はあまりに巧みで魅惑的だ。 観察と洞察に富み、ミクロとマクロを運動する。 その批評は、癖になるほど甘い。 「やっぱりEXILEと向き合えないアナタへ」 ・強面のお兄さんたちなのだが、暴力の匂いがしない ・ざっ…