ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

政治 

「委縮するメディア(斉加尚代さん・毎日放送ディレクター)」

2022年5月19日付 朝日新聞 上映中のドキュメンタリー映画「教育と愛国」で監督を務める毎日放送(MBS)のディレクター。 2010年に大阪維新の会ができて以降、政治主導の教育改革が進みました。その変化が速いなと感じていたところ、国が道徳を教科化すること…

「資本主義 日本の落日(諸富徹・京都大学大学院経済学研究所教授)

いつの時代も、この島国自国の経済圏のみに安住して、変化してこれなかったのは政治や人間的規範だけでなく、経済財界も同じだ。日本は既に、世界で起きているパラダイムシフトに気づけない、気づいても身動きが取れなくなり、脱炭素環境技術でも世界から遅…

「リベラル派が陥る独善(政治学者・岡田憲治)」2021年9月9日付朝日新聞

似非保守セクトが長らく政権運営をしているこの国では、リベラル派は不正を糾弾し、怒り、反対するシーンばかり演出させられて、常に劣勢を強いられている。 そんな政治環境のなかで、リベラル派や野党はどう闘っていくべきか。本記事では、その点で重要な視…

「新プロパガンダ論(辻田真佐憲・西田亮介:ゲンロン叢書)」

ゲンロンで対話された”プロパガンダ”に関する論考のまとめ書き書籍。 主に、政権与党や政党、政治的権力が、有権者に働きかける広報・PRに関わる論考。 東京新聞記者の望月衣塑子さんが「おもしろい!」と感想して、ゲンロンイベントにも参加していたのでポ…

「見直されるアナキズム」(2021年2月1日 朝日新聞)

アナーキズム。 こういうものをテーマに一個面割かれるのは、やはり朝日新聞の美徳でもある。 「自分を縛り付けるものに、『ふざけんな』と小さく蜂起すること。いや自分も相手を服従させたいだけじゃないか、と自問すること」。これが政治学者の栗原康さん…

「遅いインターネット (宇野常寛)」(2)

吉本隆明について、現代の哲学者や思想家の論評を求めている。 市井の巨人としてありがたがられてきた彼の著作は読んできたが、 反核異論など、心からは納得できない部分もあるからだ。 吉本隆明 キーワードは「自立」。 あらゆる共同幻想から自立するべし、…

「レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-」(Netflix)

ブロンクスの根性ある新人。アレキサンドリア・オカシオ・コルテス。 (以下、ビジネスインサイダーより引用) 2018年、アメリカ中間選挙。 29歳で史上最年少女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ・コルテス(AOC)は、11期目を目指すベテランの…

「多事奏論_自由と萎縮 ーありもしない危機?ご冗談をー(編集委員・高橋純子氏)」(2019年10月16日 朝日新聞)

朝日新聞編集委員・高橋純子氏。 署名入りで真っ向から腐った権力と向かい合う彼女のスタンス、文体は、同じ問題意識を持つわたしたち有権者に勇気を与えるものである。 宮田亮平・文化庁長官(前東京藝大学長・金属工芸家)が、10/4NHK「チコちゃんに叱…

「肥大する星条旗 いまや「国体に」_政治学者・白井聡」(2019年5月10日付 朝日新聞)

結局、元号発表から改元まで展開されたのは、この国の閉塞感をごまかすための政治ショーでした 配線を境に米国が『天皇』化していったのです。象徴的に言えば、菊=天皇制と星条旗=米国、の結合は戦後日本社会を形作ってきましたが、平成では星条旗の存在が…

「平成流の象徴天皇」(2019年3月7日付 朝日新聞)

山口輝臣 氏・東京大学准教授 天皇が靖国神社に行かないまま平成が終わります。 (憲法の政教分離を厳格に適用しようという人たちが、左派の間に出てきます。天皇が神道にかかわるのはけしからんという感覚の人も増えました) 政府や宮内庁は、天皇の宗教的…

「82年生まれ、キム・ジヨン(2018年、著:チョ・ナムジュ)」

韓国で130万部ってすごい。 まさに、彼の地で時代と寝ている作品。 弟が特別扱いされているとか、うらやましいとか思ったことはなかった。だってはじめっからそうだったのだから。 でも、自分の考えを話すことに慣れていなかったので、友達の話を聞きなが…

「不自由展中止 いま語る_津田大介・あいちトリエンナーレ芸術監督」(2019年8月21日付 朝日新聞)

ポイント ・現場の危機的状況、観客の安全を考えればあの手段しかなかった ・京都アニメーションのガソリン放火事件が約2週間前に起きた ・「本当にトリエンナーレが後退させたのでしょうか。警備などに莫大なコストをかけないと表現ができないというこの現…

「性暴力が無罪になる国 弁護士・角田 由紀子」(2019年9月6日付 朝日新聞)

特に、父親から娘への継続的な性的虐待を認めながら、「娘の抵抗が著しく困難だったとは言えない」として無罪にした名古屋地裁岡崎支部の3月の判決は、驚きでした。 ーしかしなぜ、理解に苦しむような判決が続くのですか。 「男女平等の度合いを示す世界経…

『僕らはいつまで『ダメ出し社会を続けるのか』(荻上チキ)』

荻上チキの、TVでのコメンター陣の並びについても、客観的で中立的な視点と切り口は、どうやって培われてるんだろうと興味本位で読んだ。 「エヴィデンスに基づいた議論構築」や「社会疫学的な思考」を大事に、一つ一つを考えてきた人だ。そう思えた。同い…

『等身大の日韓関係』『せめて議論の場は寛容に(佐伯啓思)』

2018年10月5日付 朝日新聞 出水 薫さん(九州大学大学院教授) 「日韓関係がよくない」という言い方を耳いしますが、「日韓関係」とは、いったい何なのでしょうか。 首都からの始点がすべてであるように語らず、多様な見方で相対化する努力が必要です…

『歴史と戦争(半藤一利)』

心にとどめ置きたい、学ぶことがほんとに多い、戦争をしっている先達の話。 こういう人と、お酒を飲みながら語る機会が得られると素晴らしいだろうな。 半藤一利の、いいとこ取り集。 明治維新などとかっこいい名前をあとからつけたけれど、あれはやっぱり暴…

36歳サラリーマン、キューバに行く。

36歳、妻と子を置き、友人とキューバに行った。 学生の頃からの念願だった。 革命の地。地球上で唯一、体制を打倒し、新しい秩序を達成した国。 旅を細微に振り返り考えるのは、まだ先になるだろう。 とりあえずは、旅のメモをここに留める。 7/4 会社を…

『蹴飛ばせ、幕引きパターン(朝日新聞編集委員 高橋純子)』

毎回楽しみにしている、朝日新聞 高橋純子さんの政治断簡。 切り口、切れ味、横道と脇道、嫌悪と皮肉がないまぜになって政権を批判する。 権力や権威に対する批評性と、その志と高い見識からくる教養を感じる。 朝日新聞にはこういう人がいるから(記事があ…

雨の衆院選の週末の前に

雨の衆院選週末を前に。 多くの自民党支持者たちは大体共通して共産党を嫌っている。 感情的に嫌悪している。 きっと彼らは、街中で中国人観光客を見ると嫌そうな顔をする。 排他的で、狭量な、島国日本人の典型的な姿だ。 この人たちの家の本棚を、少しのぞ…

『総選挙 日本の岐路(中村文則 2017年10月6日付 朝日新聞)』

★中村文則 その件で関係者達が国会で「記憶にない」を連発しても支持してくれる。だからそういった層には、元々説明する必要性は薄い。 そして政権を批判している人たちに対しては、首相が都議選で野次のコールをした人々に対し「こんな人達に負けるわけには…

『ドイツ 安定の理由(2017年9月20日付朝日新聞)』

彼女のライフスタイルはいたって質素です。 ぜいたくなシェフを雇うことなく、今でも自分でジャガイモのスープを作っている。お店に並んで買い物もする。思慮深さに加えて、こうした生活ぶりも私たちプロテスタントの価値観を反映し、人気につながっているよ…

『同盟 どう向き合うか(2017年9月7日付)』

★丹羽宇一郎 最近、北朝鮮や中国への強硬論がまかり通っています。危ないことを恰好いいことだと思っている。戦争の真実を知るべきです。 戦争の真実とは何か。それは、「狂う」ということです。 普通、人は人を殺しません。だから狂うしかない。また、実際…

『村に火をつけ、白痴になれ 伊藤野枝伝(栗原康)』

口ではわかったおいっておきながら、速攻でそれを破ってしまう。 ▼糸島郡今宿村(現 福岡市西区) ▼上野高等女学校(現 上野学園)へ ▼新任の英語教師 辻潤 ▼雑誌『青鞜』の、貞操論争、堕胎論争、廃娼論争。 遭いたい。行きたい。僕の、この燃えるような熱…

『暴走する忖度(7月7日付 朝日新聞朝刊オピニオン)』

金田一先生、この春列島を一世風靡した「忖度」についてかく語りき。 深い。言語学者としてあまりに政治家の言葉についての批評性がある。 このテーマでこういう人選ができるのもさすが編集者といった脱帽感。 朝日新聞はオピニオン面がほんとに面白いんです…

『異論のススメ(朝日新聞 2017年2月3日付)』

佐伯啓思。ここ数年、この人の言ってることは一環している。 グローバリズムの速度を落とせ、保護主義もバランス良く取られい。そんなこと。 なにせ、先日のスイスでのダボス会議では、あろうことか、中国の習近平主席が、自由貿易とグローバリズムを守らね…

『分断の行方(2017年1月21日付朝日新聞朝刊)』

水島治郎さん 千葉大学教授 既成政治かポピュリズムか、右か左かという2本の軸で分けると、「既成で左」がクリントン氏、「既成で右」がジェフ・ブッシュ氏ら共和党主流派、「ポピュリズムで左」がサンダース氏、「ポピュリズムで右」がトランプ氏を支持し…

『若者の与党びいき』(9月30日付 朝日新聞)

『記憶あるのは自民ばかり』(平野宏学・習院大学法学部教授) 今年7月の参院選では、朝日新聞の出口調査で、比例区での自民への投票率は18、19歳は40%、20代は43%に達し、20代は他のどの世代よりも高くなりました。 彼らが10代の時に民主党政権…

論壇時評『世襲化と格差』小熊英二(10月27日付 朝日新聞)』

政治家が劣化しているという、とTVの中で今日も誰かが言った。 やれやれまた言ってるよという印象の反面で、ほんとにそうだと思う。 私のような、物心ついたころは既に90年代も半ばという世代にとっても、(つまり時の政権が村山富市だったり橋下龍太郎だ…

『体制内で見た文革』王輝氏・天津社会科学院名誉院長(10月20日付 朝日新聞)』

【用語解説】..by朝日新聞 「文化大革命」:経済政策の失敗などを受け、毛沢東が1966年、階級闘争の継続などを呼びかけて発動した政治運動。共産党の官僚化や特権化に対する市民の不満を刺激し、紅衛兵や造反労働者らが組織され、各地で政府機関などが襲撃さ…

『異論のススメ -保守とは何か-(佐伯啓思)』

保守とは、その国の伝統と歴史に対する深い理解と教養に立脚した態度であると過程するならば、安倍首相の教養のなさと思慮の浅薄さは「保守」なるものと相容れないと言えるだろう。 また、アメリカという伝統のない歴史の浅い国で保守を語るとき、それはどう…