ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

映画 

『インターステラー』

2014年、C・ノーラン監督。 マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ。 小麦は疫病で全滅。トウモロコシも灰砂で覆われてろくに収穫出来ない世界。 インド空軍のドローンを追いかけて、ハッキングコントロールする。 インドもアメリカも空軍がなくなっ…

『明日の記憶』

2006年、ちょうど新卒で入社した頃か。原作は荻原浩。 広告代理店(電博ではない)の営業部長氏(渡辺謙)。 この映画の怖さは、アルツハイマーという病気の症状の現れ方を描き出すリアリティにある。ごく普通のことが思い出せない。当たり前のことが出来な…

『パッチギ!』

2004年、井筒和幸監督。 日本では差別され、肩身の狭い思いをしている(朝鮮人)側の、 それでもヘコまされないたくましさとか、健気さとか、力強い魅力を描く。 もはや日本人が失ったかもしれない、男の熱さ。 健気ながらたくましく生きる、美しい女子。 役…

『金融腐食列島 呪縛』

97年。原田眞人監督(「ラストサムライ」「日本の一番長い日」)。 原作 高杉良。 後の半沢直樹シリーズにも継承されうるような、 中年ミドルの金融業界痛快勧善懲悪劇。 朝日中央銀行は日比谷公園の東側にあった。 本店企画部の中年ミドルたちが、銀行ト…

『ゴーンガール』

2014年。監督:デビット・フィンチャー 原作:ギリアム・フリン ベン・アフレック。オザムンド・パイク。 一回目は劇場で、二回目ネットフリックスで。 ストーリーの骨子だけ見つめると、なんてことはないただの“結婚生活の終焉と破局模様”でしかないのだが…

『海を感じる時(2014)』

余白が多い日本映画。 土曜朝に読書しながら、視聴する。 パンチな科白のオンパレードだった。 気持ちいいくらい、身体目当ての男。 しかも、シリアスに“女の身体に興味がある”のだと。 女は男に惚れていた。身体で繋ぎ止めるしか、迫るしかない女のギリギリ…

『ブラックホークダウン』

92年、ソマリア。 30万人が餓死、国連による食料や物資が市民に渡らない。 激化する部族闘争は"飢餓"を武器にした(10万人の民間人が餓死)。 現地で最強部族を率いるアイディード将軍はPKOに宣戦布告。 米国は精鋭デルタフォースと陸軍レンジャー部…

『アメリカン ヒストリーX』

98年。カリフォルニアのベニス・ビーチ。 これもまた、一見するとタイトルが映画の内容を上手に想起させてくれないタイプの映画。 とはいえ、原題も 『AMERICAN HISTORY X』なのでやむ方なしか。むしろ、そのタイトリングの発想や意図に追いつかなければな…

『タクシー・ドライバー』

76年、マーティン・スコセッシ監督。 トラヴィス。マリーン上がりの不眠症。 いわゆるアメリカンニューシネマに位置づけられ、モノローグで進む。 奴らを根こそぎ洗い流す、雨はいつ降るんだ。 街で見かけたブロンドの女ベツィに岡惚れ。 大統領選候補者応…

『プライベート・ライアン』

98年、スピルバーグ監督。 とにかく圧巻は戦闘シーン。 冒頭15分、のオマハビーチ(ノルマンディー上陸作戦)での戦闘は苛烈だ。 テレビの前で煎餅かじって横になりながらは観てられない。 戦争の最前線は苛烈さを極める。 前の仲間がドカンドカン撃たれ…

『トレインス・ポッティング』

96年、ダニーボイル監督。 学生の頃に観て以来。 嫁に暇をもらって「シン・ゴジラ」観に行った日、映画づいた深夜に観る。 スコットランドの若者、斬新な映像感覚。 若さありあまる今を刹那的に生きる。 どうせ、腐った身体をさらすだけの老後。 ヘロイン…

『東京家族』

2013年、松竹。 東京物語のオマージュ、いや、もはやリメイクか。 山田洋次ってことで。 祖父母は橋爪功と吉行和子。 祖父母が長男の家にやってきたときの孫の反応、 「なんで僕の部屋の荷物出してあるのー」とか忠実。 長男・西村雅彦は開業医で、末っ子は…

『晩春』

1949年、松竹。監督 小津安二郎。 戦後間もなく。戦争の物故あってか、娘(のりちゃん:原節子)がまだいってない。 「あたしがいなくなるとお父さんが困るわっ」ってそういう話。「孝行娘がまだいってない、いかせたい、本人に聞いてみる」みたいなのっ…

『ダークナイト』

08年、米英共作。クリストファー・ノーラン。 この作品への評価はそのまま、ジョーカーを演じたヒース・レジャーの演技とその迫真性への評価と言ってもいいかもしれない。この映画が好きだという誰もが言う「ジョーカーがすごかった」と。 ジョーカーの狂気…

『幸福の黄色いハンカチ』

77年、松竹。山田洋次監督。第1回 日本アカデミー賞受賞作。 高倉健、倍賞千恵子、武田鉄矢、桃井かおり。 北海道、ロードムービー、赤いファミリア。 いいよね。大人のドライブ旅行。 アケミ(桃井かおり 当時26歳)の冴えないこと。あまりの芋女っぷり…

『キューポラのある街』

日活、62年。 川口、キューポラ(鉄の溶鉱炉) 父親(東野英治郎 ※小津キャスト、六代目?水戸黄門)は鋳物職人 もうとにかく、魅力といったらジュン(吉永小百合)。 スポーツ万能、人気者のジュン(吉永小百合)。 パチンコ屋でバイトするジュン(吉永小…

『冬の華』

78年、東映。倉本聰脚本。 冒頭、浜辺で男を指すシーン。 浜辺で無邪気にはしゃいでいる、幼い娘。 回る赤い風車。 健さん(昔は”人切りのヒデ”)は、お務めから上がったばかり。浜辺の一件だろう。 物の少ない部屋でちゃんとトースターでトーストを焼いて…

『17歳の肖像』

09年、英国。 16歳。少女から大人にっていう絶妙な頃合いを切り取る。 ジャケットから抱いたイメージを裏切るあらすじだろう。 ジャケット観てからあらすじ読んだら観ないタイプの映画。 わたしはというと、深夜の民放「映画天国」でやってたから、その…

『インセプション』

クリストファー・ノーラン、2010年。 夢の中でアイデアを盗めるというのであれば、アイデアを植え付けることも可能なのでは??記憶というか思い出を書き換えて、「ライバル会社の男は寝たきりの老人だ。継いだ息子に彼の帝国を崩させてほしい」というク…

『東京物語(小津安二郎)』

53年、松竹。「紀子」を演じる原節子になぞらえ、「紀子三部作」とか言われてるらしい。 端的に言うと,「原節子(紀子)ええ子やで〜」って映画。 戦後、戦場で死んだ夫を偲びながら残された女たちは、バスバス男が出来たり、再婚したりしていく中で、そ…

『秋刀魚の味』

(62年松竹。小津の遺作と言われている) 秋刀魚食べるみたいな話ではありません。 エンディングで秋刀魚食べて、「やっぱり秋刀魚は目黒に限る」みたいなオチ、みたいな部分もありません。 秋刀魚要素は皆無。 美しいのは、娘・路子(岩下志麻、当時24歳…

『監督 小津安二郎(蓮實重彦)』

小津の映画ではキャメラが動かない と 小津にあっては、愛情の激しい葛藤が描かれない。物語の展開は起伏にとぼしい。舞台が一定の家庭に限定されたまま、社会的な拡がりを示さない。 事実、彼は、しばしば変化よりも一貫性を求めた。「豆腐やにトンカツを作…

『男たちの挽歌』

86年、香港。ジョン・ウー監督。 マフィア組織の幹部ホーと弟で警察官なりたてのキット。 仲違いする前の二人は、拳闘したり、逮捕するフリしたりベタベタ触ったりするじゃれ合いが愛らしく楽しい。 マフィアでコンビの弟分マーク(チョウ・ユンファ)は劇…

『ロスト・イン・トランスレーション』

03年、ソフィア・コッポラ監督。 カラフルな下着の女性寝姿バック(スカーレット・ヨハンソン)から始まるオープンショット。 200万ドルのギャラで日本までCM撮影にやってきたハリウッドスター ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)。 CMディレクターからは「も…

『ブラック・スキャンダル』

今川焼とフライドポテトを買いに出て、冒頭見逃してしまった。。 愚かすぎる。 さて、本作はBased on true story. ジミー・”ホワイティ”・バルジャー(J・デップ)は出所したばかりの札付きの悪党。 たまに出入りする女性との間に出来た血のつながった子に…

『パリ、テキサス(ヴィム・ヴェンダース)』

84年、フランス・西ドイツの合作。 ロードムービーの傑作。 ロードムービー、それは長い距離を移動する物語。 さまざまな理由で、人は移動する。 恋人や家族を探して、敵を追い、組織から逃れて。 車で、バスで、電車で、徒歩で。 彼らは、どこからどこを移…

『アメリカン・ビューティー』

1997年。サム・メンデス監督。この映画が好きだ。 大みそかの夜、元旦へと日が変わってから、まだ起きていた友人と視る。初めて観たときから、「あまりにアメリカ的だ」という印象が離れない。アメリカ的な価値(その美質よりも、富や名声に象徴されるわ…

『サマーウォーズ(細田守)』

09年8月公開。細田守監督。 冒頭のコマーシャル 「仮想空間で拡がるバーチャル社会、さまざまな活動が簡潔する時代です!」 夏希先輩に夏休みのバイトに誘われ訪れたのは信州上田の旧家。 家族の前で、「わたしの彼。お婿さんになるひと!」 彼氏のフリし…

『オーシャンズ11』

スティーブン。ソダバーグ 監督。キャストの豪華さも確かにある。 こういう映画を観ないうちに語る際、 「どうせキャスト頼みのシリーズだろう」とあるべきではない。 「これだけのキャストなんだ、ハンパな本と演出にはならないだろう」と観るべきなのだ。 …

『インランド・エンパイア(デヴィッド・リンチ)』

www.youtube.com 06年作。主演 ローダ・ダーン。 開始15分は話が見えて来ない。意味不明。 ハリウッド女優ニッキーの家にご近所挨拶に訪れた、ばあさん。 半狂な話ばかりは暗示というか呪いの言葉たち。 翌日、エージェントから電話が「役が決まったの!」…