ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

自己を更新してく 

「見直されるアナキズム」(2021年2月1日 朝日新聞)

アナーキズム。 こういうものをテーマに一個面割かれるのは、やはり朝日新聞の美徳でもある。 「自分を縛り付けるものに、『ふざけんな』と小さく蜂起すること。いや自分も相手を服従させたいだけじゃないか、と自問すること」。これが政治学者の栗原康さん…

「二枚腰のすすめ(鷲田清一)」(2020年7月4日 朝日新聞 書評面)

鷲田清一さん。 わたしの尊敬する先達であり、哲学者。 その著作を、横尾忠則が書評しているんだから贅沢ってなもんだ。 いつか話をするのが夢だ。 哲学者は答えず 相談に「乗る」 「後悔するのがいやなら、選択するのをやめることです」「何でも他人に選択…

「遅いインターネット (宇野常寛)」(2)

吉本隆明について、現代の哲学者や思想家の論評を求めている。 市井の巨人としてありがたがられてきた彼の著作は読んできたが、 反核異論など、心からは納得できない部分もあるからだ。 吉本隆明 キーワードは「自立」。 あらゆる共同幻想から自立するべし、…

「遅いインターネット (宇野常寛)」

平成という「失敗したプロジェクト」。 「平成」という改革のプロジェクトはなぜ失敗したのだろうか。 (リオ五輪閉会式の引き継ぎマリオ。)ここにはなにひとつ未来がない。 日本は過去にしか語るべきもののない国になってしまったことを告白しているように…

『歴史と戦争(半藤一利)』

心にとどめ置きたい、学ぶことがほんとに多い、戦争をしっている先達の話。 こういう人と、お酒を飲みながら語る機会が得られると素晴らしいだろうな。 半藤一利の、いいとこ取り集。 明治維新などとかっこいい名前をあとからつけたけれど、あれはやっぱり暴…

サンクチュアリ(4): 俺は三日であんたを抱ける!

とにかく旧体制(ぬるま湯に浸かってた全世代に)に対して怒ってんだよな。 怒りはパワーだよな。 何度でも言おう。 自分がヤクザに抱かれたいのに「抱かせてあげる」とカッコつけてこぼす杏子は、東大卒警視である。 毎度恒例、杏子のお色気省察のお時間で…

『わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か(平田オリザ)』

4年前くらいに読んでいて本棚にささっていたものを再読。 こんなにも太字ばかりの本を、まだ取り扱っていなかったなんて。。。 無能。。 コミュニケーションにおける無駄(ノイズ)の大切さや、学校の授業はメチャクチャに教えた方がいい」といった まさに…

『僕らが毎日やっている最強の読み方(池上彰・佐藤優)』

日本人の精神が内向きになっていることの裏返しの現象。 海外ニュースになったとたんにがくんと数字が下がる。 p56 ゼロ戦は、海軍からの矛盾だらけの要望に応え、あらゆる性能を満たそうとした結果、一発弾が当たったら火だるまになるような飛行機になっ…

『「都市主義」の限界(養老孟司)』

会社の図書館で見つけた、養老翁の各種コラムや講演原稿を編み直したもの。 最近、深夜のテレビで養老翁が加藤浩二の質問に答える番組やってて、急いで録画した。この人の話していることは、先達の経験と知恵として胸に留めておくべきことが多いような印象が…

『死んでしまう系のぼくらに(最果タヒ)』

思春期に読んだらやばい系だったわー 30過ぎても、ぐっとくる言葉たち。 詩の批評ってほんとに難しい(もちろん短歌よりも)。 共通理解や前提が少ないからだろうか。 個々が描いた風景について、おそるおそる語るしかないのだ。 意識される、死と他人の目。…

『ダラスバイヤーズクラブ(2014)』

テキサスはダラス。 ロン・ウッドルーフ(マシュー・マコノヒー)。 掛け金持ってトンズラこいたりする、ロデオ仲間の荒れた生活。 闘牛場の視覚で女を抱く。オカマとか大っ嫌い。 でもHIVポジティブで、余命30日と診断される。 メキシコまで行って、HIVの違…

『宇宙を織りなすもの(上) ブライアン・グリーン』

喫煙所でタバコ吸ってたら関連会社の兄ちゃんが、この分厚い本読んでた。 文学ばっかりやってる俺たちも、全然気にならないわけじゃない。 宇宙について。 難しい計算やモデルの解説ぬきで、宇宙や量子について分かりやすくアプローチする。 著者の態度は生…

『宴のあと(三島由紀夫)』

1960年、実在の人物をモデルにした小説とされる。 発表後、訴えられる。 初の「プライバシー権」対「表現の自由」の対決だった。 福沢かづ。雪後庵。野口雄賢。永山元亀。選挙参謀山崎。佐伯首相。奉加帳。 (畔上輝井。般若苑。有田八郎。1959年都知事選。…

『断影 大杉栄(竹中労)』

ボルシェビキよりも、アナーキズムだ。 (アナボル論争みたいなもんでね」と言ったら、労働者を中央の統制に従う組織にしようとしたボル派と、地方の個々の団体が主体性を保ったまま自由意志で連合すればよいと考えたアナルコ派) こんなに面白いルポは初め…

『竹中労(KAWADE MOOK)』

#トップ屋 竹中 この世の中に面をさらしたい、有名になりたい、ゼニは稼ぎたい、自分の生活は隠しておきたいなんてムシのいい話はないでしょう。 SEXとは見るものではなく、行うことであったから。ゆえに人々は健康だった。性を抑圧されてノイローゼにな…

「勝率2割の仕事論 ──ヒットは臆病から生まれる (岡康道)」

岡さんの著作を部の先輩に貸してもらった。 彼女の近所に岡さんが住んでいるらしく、子どもの保護者という繋がりで話す機会もあるんだと、で買ってみたんだが、となかば強引にデスクに置いていかれた。 で、せっかくなんでがーっと読む。岡さんの著作は初め…

『奇跡を起こす』立川吉笑氏(8月10日付 朝日新聞)』

ほんとに朝日新聞のオピニオン面は、ときに、テーマと人選が絶妙で、実に頼もしく思う。 立川吉笑氏が出てたのでしっかり読む。 談笑の弟子、川田十夢さんの押しで注目するようになった。 彼の落語には、談志タームである"伝統を現代に"、"イリュージョン"、…

『高倉健インタヴューズ(野地秩嘉)』

「日本刀は心が安らぐんですよ。夜中に引っ張りだして、すーっと抜き身にして、ぽんぽんぽんって打ち粉を打って、そして眺めます。刃物ってのはただの道具なんですが、日本刀だけはそんな機能を通り越した美しさを持っているように思います。選び抜かれた鉄…

『プラグマティズム(文化の扉@2016年5月29日付 朝日新聞)』

異なる信念の共生へ 試行錯誤 ・1870年代の米国 パースやジェームズ ・南北戦争を反省に「異なる思想の共生を目指し、唯一の正しさを否定するところからプラグマティズムは始まった」 ・人間の知性は誤り得るとして、唯一絶対の真理を探究する伝統的な西…

『三島由紀夫 行動する言葉100(英知出版社)』

やたらと人に弱味をさらけ出す人間のことを、私は躊躇なく「無礼者」と呼びます。 常に強がるのが軍人や政治家の仕事なら、弱味を見せるのは芸術家・小説家の仕事ともいえるのではないか。 老人はいやでも政治的であることを強いられる 三島が考える政治的と…

『天変地異と心』養老孟司@2016年3月11日付 朝日新聞

ー東日本大震災の直後、「戦前、日本が曲がっていったのは関東大震災からではないかと考えている。大正デモクラシーがなぜ、軍国主義に変わってしまったのか。震災の影響が非常に大きかったのではないか」と言われました。 「脳は言わば入力装置ですが、例え…

『二分法の世界観』是枝裕和@2014年2月15日付 朝日新聞

谷川俊太郎さんとご一緒したのですが「詩は自己表現ではない」と明確におっしゃっていました。詩とは、自分の内側にあるものを表現するのではなく、世界の側にある、世界の豊かさや人間の複雑さに出会った驚きを詩として記述するのだと。 水俣病を撮り続け、…

『文系で学ぶ君たちへ』@2016年4月7日付 朝日新聞

ただの言葉の連なりが、誰かの心には刺さって絶対的なものになり、そうでない人には何の価値もない。一般に役立つとされるものって役立ち方が決められているけど、詩は読んだ人ごとに解釈がある。それがいいんです。(最果タヒ) 役立つことだけを求めていっ…

『 ブレーキングバッド Season1 ep.1(Netflix)』

西田善太さんが、ハマってるって言ってて ハウスオブカード見終わったら観ようと思ってたら、あらこんな時間。。 ニューメキシコに住む、清き真面目な化学教師。 真面目で平凡に生きてきたが、ガンで余命宣告される。 ヤクの精製現場に踏み込むのに同行し、…

『愛と暴力の戦後とその後(赤坂真理)』

一昨年のスペイン旅行のときに持って行ったこの新書。 アンダルシアの、一面をオリーブという田舎を突っ切るバスのなかでかじりついて読んだのを覚えているが飛行機の中に忘れてきてしまったのか持って帰って来れなかった。 最近改めて購入した。 本人も断っ…

『いやな感じ(高見順)』

売春宿の女にホレそうで嫌だ。 初恋だ。身請けしよう。みたいな冒頭シーン。 火の玉みたいな向こう見ずな男がテロリストとして、女に惚れっぽいが、身を立てようとする。 基本的には、女郎屋とか淫売屋が、生活の中にある文化。 戦争と、政治と、血があるの…

『日本の中高年男性は「対等」に気付こう -平田オリザ(2014年3月23日 朝日新聞)』

日本語には欧米の言語と比べて、対等な関係で褒め合うボキャブラリーが極端に少ないと感じます。上から下へ「よく頑張ったな」という種類と下から上に「すごいですね」といった表現はありますが、同じ立場でたたえ合う言い方がほとんどありません。これでは…

『2択思考(石黒 謙吾)』

今日ご本人にお会いするので、3つ目の著作をチェック。 自分の好みのパターンがわかっていることは、素早い決断につながる。 直感が働くのは、ふだんから「何でも選んでいるから」。 自分が好きなことを意識してない方が多いような気がします 対象物が自分…

『分類脳で地頭が良くなる(石黒謙吾)』

今週ご本人にお会いするため、著作を読む。 和が意を得たり!まさにこういうこと!思考(アイデアの地平)を水平に展開していくこと、違うアプローチで言ってくれた!ほんとに弟子入りしたいわ。 すごい成績を上げている営業マンは必ず分類していると想像し…

『ぼくらの仮説が世界を作る(佐渡島康平)』

この12月の刊行の新刊だったし、旬な人なんで丸善でカゴに入れました。 ネット世界では、一目置かれてる人、という印象。 編集者という肩書き、灘→東大→講談社って、どうしたってこの部分のブランドも効いてると思う。糸井さんもそう安々と帯文を受ける人じ…