ここがパンチライン!(本とか映画、時々 新聞)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『言い寄る』田辺聖子

欲望に従順でありながら、特定の異性には純情な恋心を募らせる乃梨子

男に依存しなければ生きていけないが、人生なるようになる考えの美々。

五郎を射止めたのはどっちだったのか。


終盤、剛が暴力を振るった時点で、悲劇的結末と、でも明日は前を向いて歩いているはず」みたいな予兆だけ感じさせる結末かと思いきや、剛が戻ってきてやり直しを迫る。

彼得意の寝技が最後まで発揮されて、「私は剛と一からやり直すと思う」で一応の結末を迎える。

田辺聖子の得意な境地、「一人になってふとした瞬間に溢れてくる涙」みたいな部分を期待していた。ジョゼ虎のように、エンドロール前には配置されていなかったが、物語の合間合間に垣間見えた。いったい私は何をやってるんだろう、と。

駄目な男の駄目さは炸裂している。
でもそれを許し、決して恨んだりはしない人間のいい女性がいる。
とことん、自由な女のそれに伴う不幸も描きながら、最悪な悲壮感は感じさせない。
大阪の女性作家の底知れぬ明るさである。生命力である。

人生は、最後までわからないのである。