ここがパンチライン!(本とか映画、時々 新聞)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『火花(又吉直樹)』

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文藝春秋、受賞作掲載号

なるべく先入観を排して、読もうと思っていた。

とりわけ最近、文春の役員の方と知り合ったこともあり、「プロモーションとしてではなく、時代と文芸者の評価がしっかりなされた受賞だと思いたい」という点もあったからだ。

まあそもそもが、前に当ブログ記事、鵜飼さんの新書「芥川賞の謎を解く」で書いた通り、選ぶ方も真剣なのだ。おためごかしで受賞出来る賞じゃない。優れている点を探そうと思って読み始める。案の上、大変面白い小説だった。そこには青春やドラマというタグだけでは回収されない実験的新しさやメンタリティが確かにあったからだ。

嘘のつけない芸人としての又吉自身のメンタリティも存在しているし、自分の周りに少なからず存在する「人生芸人」みたいな人間に羨望にもちかい憧れを抱いてるんだと思う。

・熱海の営業先で知り合った先輩芸人・神谷さん への憧れとお笑いへの志向を重ねる世界構造

・芸人のライフ&ワーク。習慣、遊びや”ならい”の開陳。ここでネタを見せる事が出来る(自分のこれまでの仕込みを披露できる)

・天性のお笑いの人」を描く面白さ(小説家でいう、戦後の無頼派みたいなもの。お笑いに生き方も、生活も、全て捧げている人間)

神谷さんは、そんな僕の傾向を見抜き、不真面目だと言った。不良だとも言った。面白いかどうか以外の尺度に捉われるなというのは神谷さんの一貫した考え方であった。面白い下ネタを避ける時、僕は面白い人間でいようとする意識よりも、せこくない人間であろうとする意識の方が勝っているのだ。

 

こんな夜だけは、僕と神谷さんさえも相容れない。東京には、全員他人の夜がある。

 

僕たちの横を通り抜けて行く自転車に、「お父さん、危ないんでライト点けてくださいねー」と神谷さんが声をかけていた。自転車は何も言わずに走り去って行った。 

 

ビールはこんな味だっただろうか。

 

「初めて会った時は四歳差やったけど、今でも四歳差であることに驚いています。」 

 

しっかりとした純文学のなかにも、こんなにも笑わせてもらった。
上記はその断片。



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