ここがパンチライン!(本とか映画、そんでときどき新聞の)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『パリ、テキサス(ヴィム・ヴェンダース)』

 

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84年、フランス・西ドイツの合作。

ロードムービーの傑作。

 

ロードムービー、それは長い距離を移動する物語。

さまざまな理由で、人は移動する。

恋人や家族を探して、敵を追い、組織から逃れて。

車で、バスで、電車で、徒歩で。

彼らは、どこからどこを移動し、誰と出会い、何を話すのか。

そこには多くの筋書きがある。


テキサスの病院(といってもガススタンドみたいな施設でモグリがやってそうな診療場)から連絡があり、兄トラビスが生きていたことを知る弟のウォルト。

迎えに行くと、うんともすんとも言わずに、途中で取ったモーテルからも何も言わずにいなくなる始末。

 

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「黙られているとつかれる」という弟の言葉に、ポツリと話すようになる。

「パリへ行こう」

飛行機に乗ってから、「降ろしてくれ」とダダイズム。そっちのパリじゃないという。



「この4年間何があったか、話す気にはなれないのか?」

「思い出せない。」と兄。

 

ウォルト夫妻が面倒を見ている実の息子ハンターと会い、打ち解けたいトラビスは(雑誌をめくりながら)「父親を探してる。いわゆる父親というものを」

 

 

学校からの帰り道、最初こそ友達の車で送ってもらっていたハンターもスーツでバシッときめてきた父親の姿に心を許す。学校から父と歩いて帰るシーンはほっこりする。

車道を挟んでそれぞれ両側の歩道を歩きながら家に帰るシーンだ。

 

何もかもが変わってしまったみたいで怖いの」と、ウォルトの妻アンは不安そう

実の母親ジェーン(ナスターシャ・キンスキー)は毎月5日にハンターの口座に振込みをするという。100$の月もあれば、5$の月も。

 

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トラビスはジェーンを探す旅に出る。

親子二人の旅。ハンターは楽しそうだ。

途中ウォルトの家に連絡を入れる。心配するであろう二人に「ぶっ飛ぶよ。」とかいいながら。

トランシーバーを買って、荷台と運転席で「パパ、聞こえる?」とか。

銀行の振込を頼りに張り込みをする二人、なんとかジェーンの居場所を突き止める。

ジェーンはヒューストンの2ショットのぞき部屋で働いていた。

アメリカの2ショット風俗、こんな環境なのか!?(いうても84年当時だもんな。。。ドイツ統一もまだだもんな)

 

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妻を探し当て、マジックミラー越しに会話

「脱がなくていい。君と話がしたい」

ほんとにただ話をしただけ。昔話でもない。

約束もとりつけず、自分が何者かも語れずにその情けなさに(自分へのだ。状況へのいたたまれなさとも言える)

 

 

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ハンターをホテルの部屋に入れて、再び除き部屋に行く。

そして全てを語り、思いを告白する。

 

男は若い妻を、想像を絶して愛してた。

すこしの間でも別れるのが辛かった。

妄想にとりつかれた。試すために、遅く帰ったりもした。

嫉妬は男にとって愛の証だった。

 

子供が余計みたいだった。

男は酒に戻った。

彼女の涙に何も感じなくなったことに驚いた。

そのとき初めて遠くに行きたいと思った。

 

 

ジェーンはいまだに若くて美しかった。

観客はご都合主義的でも家族のやりなおしを期待する。

しかし映画の結末は、実に淡白だ。

 

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母と子の再会を、ホテルの外の駐車場からかろうじて確認したトラビスは車で去る。

その潔さと映画都合じゃないリアルさに(誰もが少し前進していると言えるのだろうか)、妙にしっくりくる結末だった。

 

 

 

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