『米国との間合い -五百旗頭真(2015年8/6 朝日新聞)』
「米外交は一つの原理で動いているわけではありません。私の恩師である故高坂正尭・京大教授は、国家を『力の体系』『利益の体系』『価値の体系』であると考えました。米国はこの3つを強烈に持っています。」
「戦後ワシントンであつく歓迎された首相は、ことごとくアジアとの関係をうまくこなした人です。岸信介は57年の訪米前に東南アジアを回り、厄介だった戦争の賠償問題に道筋をつけました。佐藤栄作も、訪米前にアジア・太平洋諸国を回った。中曽根康弘は、就任直後に韓国を電撃訪問した。同盟の価値は、日本がアジアでよき世話役を務めているからこそ高まります。周辺国といがみ合ってばかりいると、米国が仲裁のコストを払わねばならない。」