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ここがパンチライン!(本とか映画、そんでときどき新聞の)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『悲しみのイレーヌ(ピエール・ルメートル)』

小説 

 

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主人公はカミーユ・ヴェルーヴェン、司法警察の中年警部。

過去の犯罪小説になぞらえられた殺しの数々。

漏れる捜査情報、新聞紙面化される捜査の進展。

忍び寄る悲劇の予感。

内部の疑心暗鬼と、捜査チーム内の裏切り。

 

序盤から、妻の妊娠が不吉の暗示としてある。

妻イレーヌへの出会いから現在の愛に至るまでの述懐やエピソードの挿入は、いずれ失われゆく大事なものを予感させるのだ。

 

新聞報道の加熱が自らに迫っていく。

捜査当局への圧力になる。

その新聞報道を犯人は楽しんでいる。

そして犯人は警部に興味を覚え、直接接触するようになった。



ルイは金を持っている。由緒正しい資産家で、身のこなし方にも、発音や言葉の選び方にもそれが表れている。ある晩、デカルトとピュアモルトウィスキー、すなわち理性的直感と極度の酩酊の混合がなんらかの化学反応を起こしたらしい。

〜界隈のどのレストランでも得意客としてちやはやされる、そういう暮らしがずっと続くところを。そして突然、なにやら説明のつかない内的反発が生まれた。それは深刻な実存の危機であり、ルイ以外の人間なら「で、おれはここでなにやってんだ?」ち表現されるような疑念だった。




エンディングはご都合ではない、現実的なもの。

エピローグの章に向けて、ページを繰る手は止まらない。

バッドエンドは抑えられた筆致で控えめに描かれている。

 

 

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