ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『国家単位で考える「現実主義」に限界 -入江昭 2014年6/19付朝日新聞』

 

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ハーバード大学名誉教授。元アメリカ歴史学会会長。

 

ー日本では今、中国の拡張主義への懸念が強まり、逆に「国家」が全面に出ていますが

 「旧来の地政学的発想ですね。中国の拡張主義は一面に過ぎないでしょう。これだけモノとカネが国境を超えて動いているのに、領土という動かないものだけを重視するのは世界の潮流に逆行します」

 

憲法9条は現実に合わないという声があり、安倍晋三首相は集団的自衛権に踏み込もうとしています。

 「時代遅れなのは憲法9条ではなく、現実主義の方でしょう。過去70年近く世界戦争は起きていないし、武力では国債問題は解決しないという考えに世界の大半が賛成している。集団的自衛権を行使する代わりに米国に守ってもらおうというもくろみも、まったく第2次世界大戦以前の考え方です。〜〜卑下したり自信喪失したりする必要はまったくない。それをいまになって逆行させるというのは、日本の国益にもつながりません。」

 

「経済の停滞により、自分たちが取り残されてるのではないかという焦りが生まれ、偏狭なナショナリズムに向かわせるのでしょう」

 

ナショナリズムと言えば、歴史を直視することを自虐史観と批判する人たちもいますが、本当に日本に誇りを持つなら、当然、過去の事実を認めることができるはずです。現代人の見方で過去を勝手に変えることはできないと、歴史を学ぶ上で頭にたたきこまれました。」

 

「だからと言って、冷戦や保護貿易主義の時代に戻ることはできません。TPPも国益の対立と捉えるのは誤りで、基本的に私は賛成です。マイナス面を是正するには、経済以外の結びつきを尊重し、人間の意識も国境を超えることが求められます。」