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ここがパンチライン!(本とか映画、そんでときどき新聞の)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『淵の王(舞城王太郎)』

小説  創作のヒント 

f:id:design_your_life:20160221190747j:plain舞城作品において、映画でいうと予告編に使われそうなやヴァイシーンはサイズが崩れる。言葉も崩れて、どがががががががががががあああみたいな文字列を見ると、ゲシュタルト崩壊的感覚を抱かされて気持ち悪くなる。

 

この作品のクライマックスシーンに、ガンツのあの暗黒穴的イメージがインスピレーションになってるのは間違いないだろう。

3つの話すべてに、小説でいうところの「神の視点」が存在している。

「えっ!?何今の・・・ボソッと出た言葉じゃないよね?」みたいな、カジュアルで舞城的な神文体。地の部分で突っ込めるのだ。

 

一話目「中島さおり」

高校のときに何となく付き合いはじめた彼氏と、東京の大学に行ってもちゃんと付き合ってセックスもして、でもあるときセックスの途中で泣きはじめてしまう。

「昔好きだった人が忘れられない」という問いに「わからない」と答える。

ここまでいくと、よくあるそれから揺れ動いて、決断して、ちゃんとした女性になっていく話かと思うけどそう展開させない。

 

男がいなくても、生活は良好。よく勉強している。

同時に事件にも見舞われる。しかし、色んなものに振り回れる友人のなかにあって彼女は自分の感じ方と理解で、正しく現実を把握する。

 

「あんまほんなふうに考えんときね。そういう人らがそうやって他の人巻き込んでくってのもありがちなパターンやで」

 

「で、なければ、・・・・別れた理由がまだ解決してないからだよね」

 

 

「私、あんたの旦那に前に電話もらってお金せびられたとき、気がついたんや。あんなふうに何でも自分の思い通りにいかせようとしてアホなこと言い出す子やなかったんやで、杉田浩輝は。あのとき完全に、あの子を甘やかして駄目にした奴がいるって判ったんや」

 

 
悪魔に巣食われた女は怪獣でもある赤ん坊に従順になっている。

そして、変わってしまっている友達のために、勇敢に闘う。

 

2つ目の話「堀江果歩」

舞城の作中の会話には、思春期に過ごしたようなリアルな会話や覚えのある青春リアリティがある。

 

実際は、あのとき咄嗟に出て来なかった思いや、当時の自分なりの賢明な考えがしっかり会話の中で語られている。

 

 

「んー質問とか疑問ってそれを持ってることも大事な気がするんだよね。」

 

テニスばっかりやっていたマンガにはまった妹。

実家には、なかったはずのグルニエを兄弟誰もがあったかないか判ってない。

「そんなふうに考えないで。それにあの言葉も、何かを言い返したくて言っただけの台詞だから」

自分の描くマンガと「怖さ」の戦い。

 

3つ目、中村悟堂。

「悟堂さー、私、あんたと決別したいんだけど、なんかやり方教えてくんない?」

 

 

「 いや唐突に言うから。こーんなときに。湯川もちょっとおかしいでしょ。」

二人はベッドで裸であんたのチンチンを入れて動いている最中だ。

「ふふ。爆撃のタイミング探してたんだ」

「わざわざベッドの上で・・・。こういうのってまじめにやんなきゃ意味ないでしょ。そもそもそういう変なちょっかい要らないから」

「ふふ。まあね。じゃあまじめにやってね」

「いやそっちそっち。俺はずっと真面目だから」

 

 

 「だから一緒に立ち上がれよ」

「だからどこ行くんだって、ふふ。もう」

「猛る気持ちを表現するんだよ、情緒」

 

 

「多分、悟堂って・・・抽象的な概念とか、シンブルな原則に囚われるひとなんだと思う。約束は守らなきゃ、結婚するなら幸せな結婚しなきゃ、他にも例えば・・借りたものは返さなきゃ、人に嘘言っちゃいけない、泥棒しちゃいけない、裏切っちゃいけない」

「普通じゃん」

「でも誰かと結婚してるのに別の女の子のことたまに助けに行っちゃうのは普通じゃないよ」

 

 

 

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