松峰莉璃@朝日新聞GLOBE
こういう人がいるんだなあ、と関心する。
自分の現在の人生を燃焼させている人。
そういう人を捜してくる編集部の妙。
いま、「情熱大陸」よりも一層”苦労している”感の強い、熱いドキュメント。
冷酷な策略家として、主人公を苦しめる役だが、その日の放送で彼女が銃殺されると微博上で多くがつぶやかれた。
「日本人が殺されて、こんな悲しい気持ちになったのは初めて」
「本物の実力派。初めて外国人女優を好きになった」
尖閣問題で、次々仕事がキャンセルされていったときでも、中国人から心配された。
中国人特有の「圏子(身内)」意識。
自分たちと同じ教育を受け、日中双方の役をこなせる稀有な存在が、責任のない事態で苦しんでいる。「リリは大丈夫か」。本人が思う以上に、たくさんの人が気にかけていた。まだ日中の関係改善が難航していたとき、大作への起用を決めた大物監督・姜文もその一人。「良い演じ手だ。勤勉さと、爆発力を兼ね備えている」
プロデューサーの劉一童は「中国人を競うコンペに、誰よりも中国を理解した脚本案を出して来た。稀な才能だ」と見込む。
北京に住む友人で経営ストラテジストの坂之上洋子は「いま中国人が何で笑い、何で泣くか。ツボが分かるのは彼女しかいない」と日中ビジネスの担い手としても期待する。