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ここがパンチライン!(本とか映画、そんでときどき新聞の)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『高倉健インタヴューズ(野地秩嘉)』

 

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「日本刀は心が安らぐんですよ。夜中に引っ張りだして、すーっと抜き身にして、ぽんぽんぽんって打ち粉を打って、そして眺めます。刃物ってのはただの道具なんですが、日本刀だけはそんな機能を通り越した美しさを持っているように思います。選び抜かれた鉄を火に入れ、打っては曲げ、曲げては延ばし、水につけたり、また、火に入れたり、そういった作業を繰り返してるうちに、打った人の気持ちが刀身に入り込んでいゆくんでしょうね。」

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映画の撮影中、山田洋次監督に「芸術というものは、どういったものだと思われますか」と質問したことがありました。監督はこう答えてくれました。

「何度見ても聞いても飽きがこない。それだけでなく、それに接した人が、自分も自分の世界で頑張らなきゃいけないと励まされるようなものが、芸術ではないでしょうか」と。

 

 

信じることのために命を投げ出すという健さんの姿に若者たちは自分の姿をダブらせていたんだろうけれど、学生運動が挫折したとき、現実は映画のようには進行しないとわかってしまった。

 

 

健さんの後ろ姿がスクリーンに大写しになるんだ。そこにスーパーが入る。「この人がまたあなたを熱くする」って。

そして健さんが振り返る・・・。

後ろ姿にそんなスーパーが打てる俳優が他にいるかい。

 

 

 

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でも、本当に嬉しい、もしくは悲しいと感じたとき、人は「嬉しい」とか「悲しい」なんて言葉を口にするでしょうか。僕はしないと思う。声も出ないんじゃないか・・・。 

 

日本映画では撮影中やロケの食事というと、いつも豚汁とカレーライスなんです。僕なんか『網走番外地』の頃から、もう三十年以上も豚汁ばかり食べている。でも、これもひとつの知恵じゃないのかな。どちらも食中毒になるようなものは入ってない。北海道に来てみたら、カニが安かったから、じゃあカニにしようなんて喜んで、たくさん食べると、とたんにおなかこわしちゃったりする。カレーと豚汁を食べてれば間違いない。

 

 

人間って自分の役割を演じているところがあるでしょう。社長ならば社長だと思って振る舞うし、国会議員なら国会議員として話したり、人と付き合ったり・・・。私は最近、高倉さんと会っていて、『あれっ、この人、高倉健だよな、そうに決まってるよな』と思うことがあるんです。もちろん、高倉さんご本人と話をしているのですが、いつのまにか普通のおじさんと、いや、普通の立派なおじさんと談笑しているんじゃないかと感じています。そして思う。私はこの人がすごく好きだなと。高倉さんって、きっと高倉健という役割を演じてないんですよ。実は自然体で普通の人なんです。だから、どんな人に足しても同じように接することができる」

世の中に偉い人はたくさんいる。しかし、偉い人の中で肩書きの重みを感じさせない人は少ない。

 

ある年のこと、高倉健の事務所の人から「去年は三人だった」と聞いた。「何が三人なのですか」と聞き返したら、「高倉が一年を通じて初対面の人と会った人数が三人ということ」だった。それくらい本人に直接会うことは難しいのである。

 

 

その他、日常は何をやっているのですかと聞いてみた。すると、ポールは心外だと言わんばかりの顔をして、「音楽を聴いて、作曲している」とぽつりと言った。それ以外に自分に何があるのかと言わんばかりの口調だった。

(あんまり聞く意味のないこと、当たり前のことを聞かないようにしようという自戒の念もこめて) 

 

高倉健といえば、不器用と寡黙が二大特徴と思われている。

黙ってじっと耐える男であり、器用に立ち回ることができずに、最後になってすべての責任をかぶる行動に出る。

(そんなイメージ) 

 

 

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 結婚(五九年)したてのこと、生まれてはじめて買った新車、ベンツの230SLが届いたとき、ぼく待ってられずに保税倉庫まで行って見せてもらいました。まだサビ止めのグリスがついた状態だった。これがドイツからおれのために送られてきたのかと思ったら、思わず足が震えましたね。やっと自宅に届いた夜、当時住んでいた世田谷の等々力の街角であいつと待ち合わせして、夜中の一時ごろでしたか、乗せて走ったんです。そしたら、途中でおろしてくれって言うんです。あなたが走ってるところが見たいから、って。で、ぼくがやつの前を行ったり来たり走るんです。そしたらあいつ拍手をしてくれるんですよ。かっこいいよ!って。可愛いなあと思いました。この女のためなら、なんでもできるなあと」

 

 

 

「高倉さんにお目にかかることは一生ないでしょう。でも、あのお辞儀を見ていなかったら、自分はこうはならなかった。高倉さんのおかげだと思う。だから、作品はどんなものでも全部見ます」

 

 

 

 

 

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