『Breaking Bad(Seazon5 Epi15まで)』
真面目な高校化学教師。
ガンの診断を受け、余命宣告。
これもまたうだつの上がらないアメリカ中年が目覚める話。
キャンピングカーで教え子とメスを作る。しかも99%の純度を誇るクリスタルメスだ。
ノートを見返して想像以上に書き留められたワードがないことに気付いた。
科白じゃないんだ。このドラマがシーズン5までやってたのは状況と展開。
スリリングな映像だけでここまで引っ張っていたんだ。
「フッ化水素はプラスチックを溶かさない」
「あたしにできることはただ待つこと。待つことしか出来ないの」
「それで、何を待つんだ?」
「ガンの再発よ」
メキシコの組織(カルテル)とかも出てくるしねー
Season5-Epi5
原料のメチルアミン強奪のため、砂漠を突っ切る貨物列車を強襲。
マイクを張っているDEA(麻薬取締局)。マイクの各紙書きを「deep drop」だ、とゴメスが見に行ったら「fuck you !」と書かれている。
Season5-Epi7
さらに、ガスの手下8人を時限爆弾的に殺す。
理系の人間はかように悪を徹底させる。
登場人物(しかも主人公)が本物の悪になっていくことを、視聴者は本当は望んでいないのかもしれない(信じたくないのかもしれない)。
でもあんないいところも、あんな人間味も、主人公にいい所を見出したい。それがテレビの前で観ているもののささやかな願いだ。しかしそんな願いも大方喪われる。
悪人が家族にいる。しかもそいつは普通に暮らしていて、普通の人間である。そうゆう話になった。
しかもここで描かれるウォルター(ブライアン・クランストン)の性格の悪さは徹底している。
スカイラー「教えてちょうだい。まだ足りないの?」「いくら稼げば、満足するの?」
Season5-Epi7
なんでいつも砂漠荒野なんだ(ここから始まってここで終るんだ)。
ハンク「お前ほど頭のいい奴が、まだ分からんのか。奴の心はもう決まっている」
ウォルター「すまない。マイク。まさかこんなことになるなんて。」
ハンク「いいから、黙れ。静かに死なせろ。」
人生の終焉を意識したときはじけた倫理。
家族のため、という信仰と大義。
化学者としてのケチなプライドとエゴ。
そして、愛すべきサイドキャラたち。
まがうことなき、ネットフリックスの大作だった。