ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

「勝率2割の仕事論 ──ヒットは臆病から生まれる (岡康道)」

 

f:id:design_your_life:20160813151937j:plain

岡さんの著作を部の先輩に貸してもらった。

彼女の近所に岡さんが住んでいるらしく、子どもの保護者という繋がりで話す機会もあるんだと、で買ってみたんだが、となかば強引にデスクに置いていかれた。

で、せっかくなんでがーっと読む。岡さんの著作は初めて。もはや大御所の類に数えられながらバリバリ現役の存在感ある人だと思うけど,そんなに本で多くを語らない人なのかな?

 

で読んでみると実際、パンチラインも多く、教養深い人だなと思った。

価値観(大事にしている部分)も自分と近い。一度、じっくり話をしてみたいな〜。広告とか、ぜんっぜん関係ない話を。

 

 

いま僕はメッセージがない広告をつくろうとは思わない。テレビをつけると、必ず見かけるバラエティ番組のようなCMは、本当に消費者に届いているのだろうか。

 

 

しかし、企業がいざ広告を打とうと思っても、オリエンが不明確ということはしばしばある。このとき、僕たちは「設問のないところで答えを要求される」という摩訶不思議な事態に直面する。この事態を解決するには、まず制作者が設問をつくる他ない。問題設定能力こそが広告制作には不可欠ということになる。

 

#調査には必ず「質問」があり、その「質問」の表現次第で「答え」はどうにでもなる

 

#広告の制作過程で「臆病」であることが重要なのだ

 

 

理想的な仕事の在り方は、クライアントが明確な問題提起をし、つまり正しい設問が提示され、制作者がそれにストレートに回答することだが、そんな夢のようなケースはじつは滅多にない。

 

しかし、それらがすべてクリアされても、勝てないときがある。

僕たち制作者による問題提起が、本質を衝きすぎて「痛い!」とクライアントが感じてしまう場合だ。

 

 

 

広告制作者がいちばんやってはいけないのは、オリエンテーションで提示された内容を鵜呑みにして、「ここにそれが入っています」「あれはここに落とし込みました」と「全部入り」の企画を提案することである。この”オリエン返し”は、広告に膨らみがなくなるばかりか、企業の隠された、あるいは意識されていない真の意図を掬い取る努力を制作者が放棄している。そんな広告は、絶対に面白くならない。したがって、オンエアされたときに、「失敗だった」とクライアントも気がつく。

 ただ、皮肉なことに、このオリエンをなぞったようなプラン(オリエン返し)がつねに競合に勝つのである。

 

 

 

広告は、クライアントにとっては「娘のピアノ発表会」のようなもので、明るい照明と素敵なドレスで観客の注目を集めたいと親御さんは願っている。内面や本質、などという重い議論はクライアントに嫌がられることが多い。

 

 

上手いプレゼンは怪しい

僕はプレゼンであまり上手くなる必要がないという考えである。僕自身、だいたい上手くしゃべらないようにしている。

 じつは、大きい会社にいるときにずいぶん上手くなってしまった。会社で偉い人の前で何度も何度もプレゼンの練習をさせられたからだ。どんどんやっているうちに、アナウンサーのようになる。ある日「こんなことをしても仕方ないな」と思うようになっった。

 流れるようなプレゼンは却ってマイナスだと思う。相手にこちらの考えが、深く浸透していかないことが多いからである。いい企画は、見れば一目瞭然。

 

 

有名人が、手にもって、「私がおすすめします」と言ってくれれば、広告の用は足りたというわけである 

 

 

母親が読んでいるならそのつもりで書いてやれと思って、本当のことを書くのはやめた。いわばウソ日記が始まった。

 

 

人はそれぞれ、他人に言えない苦しみや悲しみを抱えて生きている。うまくいったことより、苦労したこと、失敗したことばかり覚えているもの。マイナスの記憶に押しつぶれそうになることもある。五〇を過ぎたら、みんな多少は鬱病だと思う。少なくとも僕の友人たちは、全員がこの意見に同意している。

 

 

養老孟司さんは、彼らのことを「理屈ったがり」と評している。

(略)巨大な塊が前にいて、いつもそのあとについていく。何をやろうとしても彼らがすでにやらかしてしまっている、実際は何も始まっていないのに既視感がある。僕らの欲望自体が、真似事のような不安で落ち着かない気分があった。

 

 

最初に会ったとき、彼のほうから、「仕事以外で会うのは止めよう」と切り出してきた。お互いが二〇代で、彼が二つ下、そんなことを言う同年代の青年と会ったことがなかったのでびっくりしたのを覚えている。女性なら、そんなふうに一線を引くのも分かるが。たぶん、初対面から妙に気が合う感じがしたので「仕事が甘くなってはいけない」と中島さんは警戒したのだろう。会いたくなったら仕事をしよう。それでもう三〇年経った。 

 

 

子どもの声や調査で上がってくる人気ランキングなど信じていない。データとなって表れる「人気」とは、広告の露出量に左右されるもの。知っているCMを、人は好きなCMと勘違いするからだ。

 

 

強い広告をつくるためには、意表を衝かなくてはいけない。それと同時に、それが本質を衝いていなくてはならない。

 

 

#フランスのディズニーランド、毎年動員一千万人程度で赤字続きらしい。

 

#社会的に洗練されている人物と面談することが多い

 

 

 

f:id:design_your_life:20160813152354j:plain

 

勝率2割の仕事論 ヒットは「臆病」から生まれる (光文社新書) : 岡 康道 : 本 : Amazon