ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『アメリカン ヒストリーX』

 

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98年。カリフォルニアのベニス・ビーチ。

これもまた、一見するとタイトルが映画の内容を上手に想起させてくれないタイプの映画。

とはいえ、原題も 『AMERICAN HISTORY X』なのでやむ方なしか。むしろ、そのタイトリングの発想や意図に追いつかなければならない。

 

冒頭、兄貴のセックス中に、弟ダニーが部屋に入ってきて「黒人が兄貴の車を荒らしてる!」みたいなカット。

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(以後、エピソードと、現在形ファクトの時系列は前後する)

学校提出の論文で、ヒトラーを英雄視してる弟ダニー。

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白人至上主義で、全ての人種を問題にする兄デレク(エドワード・ノートン)。

ビーチのバスケコートで、永久使用権を賭けて、黒人と戦う。

(戦いに負けて逆恨みした黒人が、兄デレクの車を荒らしに来る→冒頭シーンへ)

ムショから出たら弟が頭を丸めて過激思想に染まっていた(要はネオナチ)

「色つきの人間に、血の雨を降らせる!いま、貧しいのはアメリカ人だ」

 

(数年前のメンバー活動のシーン)メキシコ系スーパーを襲う。

略奪強奪よりも、そこにいる人間の顔にクリームを塗り付けたり徹底的に侮辱と暴力を浴びせる。

 

ヒトラーの旗を掲げるアメリカの若者の集会。

デレクがムショを出てくると、神格化されている。

 

俺は2週間で音を上げた。

兄デレクが経験したムショでのつらい経験。

「アメリカであのマークは黒人敵視を意味する」 

 

「注意した方がいい。ムショでは、黒人の方が偉い」

 

シャバでの喧嘩はいい。仲直りのセックスが刺激的になる。

 

 

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シャワー中に白人に掘られる。

(実際の危害はこれくらいだった。弟を縮みあがらせるには少し弱いか。そりゃ屈辱的だし、耐え難いけど。。。)

 

実際、チビでおしゃべりな黒人ラモントとの労働(クリーニング係)では、黒人と心を開いてダチになるデレク。(黒人を4人殺したデレクに対して、ラモントの罪はテレビを盗もうとしただけ。。)

期間を終えてムショを出るとき。ラモントに対して、

「俺を護ってくれたのはお前だな」

 

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「借りだな」

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シャバでの借りを返されるのは弟ダニー。しかも学校のトイレで。

繰り返されるアメリカの憎しみとガンシューティング

さながら、これがアメリカンヒストリーか。

 

 

エンディングの一節は、深い余韻をもって胸に残る。

憎しみとは耐えがたいほど重い荷物

怒りにまかせるには人生は短かすぎる

我々は敵ではなく 友である

敵になるな