ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

論壇時評『世襲化と格差』小熊英二(10月27日付 朝日新聞)』

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政治家が劣化しているという、とTVの中で今日も誰かが言った。

やれやれまた言ってるよという印象の反面で、ほんとにそうだと思う。

 

私のような、物心ついたころは既に90年代も半ばという世代にとっても、(つまり時の政権が村山富市だったり橋下龍太郎だったり、という時代)、いまの政治家はなんだか人間的な年輪が足りていない。自らを貫く信念と、それを伝える言葉を持っていないように思える。

 高橋源一郎編集の論壇時評もそれなりに面白かったが(徹底して弱者やマイノリティに寄り添うという彼の“癖”も認めつつ)、小熊編集の切り口は面白い。流れの早い川の中に、手をつっこみながら明確なテーマをガシッと掴むグリップ力がある。

 

「日本の歴代首相の簡単な覚え方を教えよう。敗戦から1954年までの首相は元外交官だ。占領軍と交渉するのが首相の重要な仕事だったからだ。55年から80年代までの首相は元官僚か地方のボスで、自民党の黄金時代を築いた。90年代以降の首相は多くが2世か3世で、日本は長期低落している」

 以上は、私が外国で講義するとき、ときどき使う説明だ。

 

自民党員数は91年の547万人がピークで、2012年には73万人に減った。政権復帰後は議員にノルマを課して党員を集めているが、まだ100万人にも及ばないという。

---自民党衆議院議員の4割以上は当選2回以下でしかない。彼等は基盤が弱いので、党中央に逆らえない。連続当選できるのは、旧来の基盤が残っている地域の世襲議員になりやすい。こうして首相の世襲化はと二強状態が出現する。つまり首相の世襲化は、日本社会の変質の表れである。

 

教育においても格差の再生産(=世襲化)が目立つようになった。

 75年に比べて、国立大授業料は約15倍、私立は約5倍となった。