ここがパンチライン!(本とか映画、時々 新聞)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『明日の記憶』

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2006年、ちょうど新卒で入社した頃か。原作は荻原浩

 

広告代理店(電博ではない)の営業部長氏(渡辺謙)。

この映画の怖さは、アルツハイマーという病気の症状の現れ方を描き出すリアリティにある。ごく普通のことが思い出せない。当たり前のことが出来ないとき、人は焦るのだ。そして、誰もが少なからず(物忘れや会社生活上の失敗)経験があることだけにこれを観る誰もが自分の胸に手を当ててみるのである。

 

 例えば、8社競合のプレゼンで勝って、クリエイティブの奴にも報告してやろう、と受話器を耳に充てるが、、、内容をまとめて話せない。

 例えば、客先とおねえちゃんのいる店に行って飲みながら仕事の話をしている時、外タレの名前が全く出てこない。あんなに有名な、、、、トムクルーズ、、、トムハンクス、が出てこない。。。

 

そして、明らかにおかしい瞬間が。

 部下らとランチに連れ立ったとき、ブッフェ形式の店で先に座っている部下達が見つけられない。。目の前にいるのに、手を振る部下に気付けない。名前なんか呼ばれてんのに分からない。

 現実を、現状認識から逃れたくて酒を買う。でも、レジで会計を忘れる。シェービングクリームを最近買ったことも忘れて、家に何本もたまっている。。

 

 妻に疑われ、病院にかかると、ミッチー演じる医師から「簡単なテスト」をされる。

あなたの名前を教えて下さい。今日の日付を教えて下さい。今日は何曜日ですか。

いまから言う言葉を憶えて下さい。さくら、電車、ネコ。。。。

20秒後にこの3つがなかなか出てこなくなる。。

 

アルツハイマー病で、間違いありません。。

 

 

(ものすごく取り乱して)

おかしいだろっ!いくつだ!医者になって何年だっ!!

 で、衝動的に病院の屋上まで行く。

 

 

気がついたら日記を書いていた。

もし、今の自分が消えてしまうなら、書き残さなければならない。

 

 

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客先とのアポをすっぽかす。

 

 

時間に余裕を持って外出したのに、見慣れた渋谷の雑踏で道に迷い、

部下に電話する。

助けてくれ!道に迷った!

 

やがて妻を見ても、他人のような反応をしてしまう。。。 

 

 

アルツハイマー病の人間にとって人前でのスピーチなんて、本当に恐怖なんだよな。。

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この映画の映像的演出的白眉は、妻(樋口可南子)が頭から血を流す圧巻のシーン。

なぜ彼女は血を流したのか。

画面の中で起こる突然の出来事に、観る側も瞬時には理解できない。

血管でも切れたのか?

しかしそれは、病に挑む二人の夫婦の関係を描く上で決定的な出来事だった。

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