ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『百人一首がよくわかる(橋本治)』

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固ッ苦しくない解説で百首読ませる橋本治式。

日本人として、覚えておくべき○首を任意で抽出しました。

 

 

 

秋の田の かりほの庵の とまをあらみ

 わが衣手は 露にぬれつつ   天智天皇

(刈り入れ小屋は ぼろぼろで)

 

 

 

春すぎて 夏来にけらし 白妙の

 衣ほすてふ 天のかぐ山   持統天皇

 

 

 

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の

 ながながし夜を ひとりかも寝む   柿本人麻呂

 

 

 

田子の浦に うち出でてみれば 白妙の

 富士の高嶺に 雪は降りつつ   山部赤人

 

 

 

奥山に もみぢ踏み分け 鳴く鹿の

 声聞くときぞ 秋はかなしき   猿丸大夫

 

 

 

天の原 ふりさけ見れば 春日なる

 三笠の山に 出でし月かも   安倍仲麻呂

 

 

 

わが庵は 都のたつみ 鹿ぞ住む

 世をうぢ山と 人は云うなり   喜撰法師

(たつみ=東南)

 

 

 

花の色は うつりにけりな いたづらに

 我が身世にふる ながめせしまに   小野小町

(ひとりでぼんやりしている間に)

 

 

 

これやこの 行くも帰るも 別れては

 知るも知らぬも 逢坂の関   蝉丸

(「これが?あそう」歌舞伎『勧進帳』では冒頭で唄われる)

 

 

 

ちはやぶる 神代もきかず 竜田川

 からくれないに 水くくるとは   在原業平朝臣

(こんなに真っ赤に水を染めるのか!?)

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月みれば 千々にものこそ 悲しけれ

 我が身ひとつの 秋にはあらねど   大江千里

(「悲しい」は胸に迫ってくる感情。いろんなことを感じさせられてしまう。おおえのちさと)

 

 

 

名にし負はば 逢坂山の さねかづら

 人に知られで くるよしもがな   三条右大臣

 

 

 

 

有明の つれなく見えし 別れより

 暁ばかり 憂きものはなし   壬生忠岑

(その夜一緒だった女がつれなかったからだ、なのか

 夜明けになると別れたままの女が思い出されてつらい なのか)

 

 

 

ひさかたの 光のどけき 春の日に

 しづ心なく 花の散るらむ   紀友則

 

 

 

 

 忍ぶれど 色に出にけり わが恋は

 ものや思うと 人の問うまで   平兼盛

(なにかあるの?と人がきくほど)

 

 

 

恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり

 人知れずこそ 思ひそめしか   壬生忠見

(恋してるらしいと、私の名前は囁かれるようになってしまった)

 

 

 

逢ひ見ての 後の心に くらぶれば

 昔はものを 思わざりけり   権中納言敦忠

(実際に やった後から 比べれば

 昔はなにも 知らなかったな!)いいなあ、この訳..

 

それか(ああ好きだ また遭いたい!)

 

 

 

遭うことの たえてしなくは なかなかに

 人をも身をも 恨みざらまし   中納言朝忠

(セックスがこの世になければ こんなにイライラしないだろうさ!)

 

 

 

もろともに あはれと思へ 山ざくら

 花よりほかに 知る人もなし   前大僧正行尊

(一緒にさ 感動しようよ 山桜

 花のほかには 誰もいないし)

 

 

 

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の

 われても末に あはむとぞ思ふ   崇徳院

(流れ落ち 岩に砕ける 滝川さ

 別れはしても 最後はまた会う)

 

 

秋風に たなびく雲の 絶え間より

 もれ出づる月の 影のさやけさ  左京大夫顕輔

(秋風に たなびく雲の 切れ間から

 もれてる月の 光はくっきり)

 

 

 

ながらへば またこのごろや 偲ばれむ

 憂しと見し世ぞ 今は恋しき   藤原清輔朝臣

(生きていけば よく思えるのか 今のこと

 いやだと思った 昔も恋しい)

 

 

 

嘆けとて 月やはものを 思はする

 かこち顔なる わが涙かな   西行法師

(「泣けとでも云うのか月は」と思っちゃう

  文句の多い オレの涙さ)

※坊主は悩まないのか、「いやそうではないぞ」と西行登場

 

 

 

そろそろ会社行かな... 続く。

 

 

 

 

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