『不便は手間だが役に立つ』
川上浩司(京都大学デザイン学ユニット特定教授)
10年ほど、不便がもたらす便益「不便益」を研究しています。昔は良かったという懐古趣味でも、何でも不便にすればいいという考え方でもありません。考察から得た結論は「主体性が持てる」「工夫ができる」「発見できる」「対象系を理解できる」「俺だけ感がある」「安心できる・信頼できる」「能力低下を防ぐ」「上達できる」。
省力化や手間いらずの商品やサービスは、提供する側の考えの押し付けとも言える。
全自動洗濯機は自分好みの洗い方をしようとすると、急に操作が煩雑になる。
世の中の多くの人は、便利さのかげで失っているものの大きさを、薄々は感じていると思います。「利便性が高いもの(こと)は、いいもの(こと)だ」という考えを、そろそろ見直しませんか。
「不便は手間だが役に立つ」のですから。