『カルテット(6)』:どうしてこうなったのか、わたしにもわからないんです。
結婚した相手の価値観の違いを、どういうところに観るか。
唐揚げに何も聞かずにレモンをかける妻。
「これ、人生ベスト1だから」って借りてきた自分の好きな映画を一緒に観ているときに、「この人はいい人か悪い人か」とか「なんでさっき一緒にいたのに今は別々なのか」とか逐一疑問を質問してきたり。挙げ句、ガン寝する妻。
近くにカフェ出来たから散歩がてらに行かないか誘うと、「今日すごい寒いよ、コーヒーあるよ。淹れようか」って乗ってこない妻。
ほんとに些細なことなんだけれど、積み重ねるとそれが、離婚の理由でも堂々たる地位を占めている 価値観の相違 とか 性格の不一致 とかになる。
一緒になると、嘘のない、無理のないコミュニケーションとか関係性になってくる。
もうバイオリンはやらないの、と言った彼女。
「これがいまのわたしのやりたいことなの。私、いま幸せだよ」
「そんな風に言う彼女を、どこか退屈に感じてしまって」
彼女が生活してる場所は狭いから、話題は大体テレビの話で..。
でも俺が聞いてあげなきゃって。
俺、妻に背中押されて、ベランダから落ちたんですよね。
巻幹生(宮藤官九郎)は同僚と行った居酒屋で、
「外で唐揚げ食べるときくらい好きに食わせてくれよ」
って言ったのを同じ店にいた妻に聞かれる。
愛してるよ。
愛してるけど、好きじゃない。
自分がいたたまれなくなって、ラー油買って来ると家を出て行った妻。
追いかけるでもなく、その後出て行った夫も、家にはいられなかった。
誰もいなくなった二人の家。
いつまでも恋人みたいでいよう、って言ってた夫婦だから。
その 違う という感覚は痛切過ぎた。