『「安倍的」なるもの(2017年10月4日付 朝日新聞)』
★幸田真音
ストレートで、細工や計算をしない人だと思います。
メルケル独首相に「ウラジミールはシンゾーに任せる」と言われたほどの関係をロシアのプーチン大統領との間で築くなど、外交力は高く評価すべきです。
★青木理
神戸製鋼社員時代の上司らに話を聞くと、みな「彼が政治的なことを語ったのを聞いたことがない」「いい子だったが、あまり印象に残っていない」と口をそろえるのでした。
おそらく安倍首相には、もともと強固な右派思想などなかった。根本にあるのは岸信介への憧れと敬愛、そして岸を批判した左派への反発といった程度の感情でしょう。
若いころを知る元上司は「子犬がオオカミの群れと交わり、オオカミになってしまった」と表現する。正解に入り右翼政治家やイデオローグと付き合い、強い影響を受けたのでしょう。
大きな志もなく稼業を継いだ単なる世襲政治家。横軸には中国や韓国を敵視し、時に軽蔑し、「強い日本」の復活を夢見る、社会の薄っぺらな風潮があり、相互に共鳴もしている。