『総選挙 日本の岐路(中村文則 2017年10月6日付 朝日新聞)』
★中村文則
その件で関係者達が国会で「記憶にない」を連発しても支持してくれる。だからそういった層には、元々説明する必要性は薄い。
そして政権を批判している人たちに対しては、首相が都議選で野次のコールをした人々に対し「こんな人達に負けるわけにはいかないんです」と言ったあの言葉が浮かぶ。一国のトップである首相が、国民の間に線を引いた瞬間だった。
「こんな人達」はつまり「敵」として線を引いているので、そもそも説明する必要を感じていない。
政権批判=売国奴(非国民)の幼稚な構図が出来上がったのは、小泉政権でその萌芽はあったが、安倍政権で本格化したと僕は感じる。
時代の空気と政治は、往々にしてリンクしてしまうことがある。論が感情にかき消されていく。
支持する人達は感情で支持してくれるし、あとは北朝鮮の名前を連呼して突破する。
人間は善の殻に覆われる時、躊躇なく内面の攻撃性を解放することは覚えておいた方がいい。結果改憲のために戦争となれば本末転倒だ。
→改憲しようとして戦争を招いた首相として、歴史の教科書に載ることになる。