『往復書簡:初恋と不倫 (坂元裕二)』
不帰の初恋、海老名SA。カラシニコフ不倫海峡。
不帰の初恋、海老名SA
どうして三崎さんには僕が見えるのですか。不思議です。
そういうことに旅のしおりを作る人はいません。
豆生田にはチャーハンをおかずにしてご飯を食べる特技がありました。
悲しみを伝えることって、暴力のひとつだと思います。わざわざ人に話すことじゃなかった。
その人の前を通り過ぎるという暴力。それは多分金槌で頭を叩くこととそう変わらないことなのだと思います。
三崎さん。君に借りがありました。あの時君が助けてくれたこと。君が手紙にして靴箱に届けてくれたこと。あれ、返したいです。君の力になりたいです。
君がいてもいなくても、日常の中でいつも君が好きでした。
カラシニコフ不倫海峡
ボウリング場に行って、朝まで他人のボウリングを眺めていました。
待田さんは人と会う約束をして、その相手もボーダーだったときのことはお考えにならないのでしょうか。飲み会に行ったら全員ボーダーだった時のことは考えないのでしょうか。
豆生田はサザエさんの髪型は何らかの伏線だと信じておりました。いつかあの伏線が回収されるに違いないと信じて、サザエさんを欠かさず見続けていたのです。
そんな男と結婚するなんて、罰ゲームのようなものだ。そりゃ浮気ぐらいするさ。そりゃもう定置網で魚をとるようにばんばん浮気するさ。
待田健一
出したくない元気は出さなくていいと思いますよ。人生は竹内まりやさんが思うよりは悪いものです。
田中史子
竹内まりやさんってどなたですか。
また来ましょうね。はい、せっかくカードもらったし、スタンプ貯めましょう。何かもらえるんですか。十個貯まると、無料券がもらえるみたいです。十個ですか。セックスを一個、二個、三個って数えるみたいですね。彼女が口元に手をあてて笑いました。
すべり台が四十五万円、ジャングルジムが六十万円、ブランコはひとり用十六万円、余人用二十八万円、鉄棒が三つで十一万円。大体そんな感じです。