ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『銃(中村文則)』

 f:id:design_your_life:20180504130024j:plain

 

『銃』を再読。

大学生の抱える退屈と狂気。何かとすぐセックスという男子大学生のメンタリティや、銃を持っていることの落ち着きと狂気。

 

クライマックスは電車の中で。ラスト2行は現代の狂気そのもの。そんな狂気にもリアリティがある(ような気がする)から不思議だ。

 

ここで描かれた狂気に向かう心情やメンタリティの、やや薄めた形であればわたしも持っている、そう思ってしまったのだ。(それってこの手の小説としてはものすごいことだ)

 

昨日、私は拳銃を拾った。あるいは盗んだのかもしれないが、私にはよくわからない。

 

雨はわたしの憂鬱さと象徴するよな降り続き、

 

 

私の周囲は退屈に満ちていたが、私は常に機嫌がよかった。

要するに、変化は私の中にあった。 

 

私はあえて、普通の人が普通にやることを、自分でしてみたいと思った。

 

 

銃を手にして、これまでの日常が日常でなくなる非日常の生成。

 

私にはその時、その後を同じように走って追いかけ、彼を殴り倒してみようという考えが浮かんだ。そうすればきっと、彼は驚くし、それを見ている連中も驚くだろうと思った。わたしはその光景を想像し、魅力を感じた。

 

 

私はそれからタクシーで女の住むマンションに行き、部屋の中に入った。女はかなり酔った様子だったが、本当はそんなに酔ってはいないのだろうと私は思った。

 

 

自分の右の指先から女の匂いがし、私は気分が悪くなった。

 

 

私は彼女のセリフが気に入り、それに満足した気分になった。

 

 

私は自分の顔を眺めながら、段々と笑いが込み上げてくるのを意識した。私は先走りしているのだと思った。そもそも、私はあの男を殺していなかった。 

 

私はこの間女と寝たばなりだったし、またあの面倒なことを繰り返すのかと思うと、うんざりした気分になった。これも拳銃を手に入れた効果なのだろうかとも考えたが、

 

 

こんな所で警官とは難しい、私はそういう何でもない言葉を、自分の表情の中に出そうとしていた。

 

 

警官と喋ったせいか、少し気分が高揚した。

 

 

彼女の男がクールな奴ならば私は聞き上手な男になる必要があったし、反対に甘えるような嫉妬深い奴ならば、わたしはクールになる必要があった。

 

 

私の鞄の中には、拳銃が入っていた。

 

誰かに盗まれるようなことがあれば、それは私の破滅を意味するように思えた。

 

御飯を食べるかと聞かれたので、私はいらないと答えた。別に食べてもよかったのだが、ただセックスをする為だけに行くというのをしてみようと思った。

 

 

 

 

 

 

 

https://www.amazon.co.jp/%E9%8A%83-%E6%B2%B3%E5%87%BA%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E6%96%87%E5%89%87/dp/4309411665