ここがパンチライン!(本とか映画、時々 新聞)

いま、物語で大事なのはあらすじではない。そこで語られている言葉とリアリティだっ!!ということで、卑怯で弱い人間を愛したい。人間の野蛮さ、愚劣さから目を背けたりしたくない。おのれ自身の端緒(根っこ)が絶えず更新されてゆくそんな経験をする、そのための記録。大江健三郎と吉田修一と。三島と太宰と。村上春樹と中村文則、小島信夫と舞城王太郎。カズオイシグロにミシェル・ウェルベック。カーヴァーとチャンドラー、ブコウスキーにキューブリック。コッポラにデビット・フィンチャー。ウディ・アレンもケヴィンスペイシーも。談志だって

『マーガレット・サッチャー(Iron Woman)』

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「人に影響されてはいけない。」

父の教えは、生涯彼女の中で繰り返し反芻されてきた。

男たちばかりの英国議会で首相の立場にあっても。。。

 

冒頭からはじまり、本作全編を貫く回想シーン、夫デニスとのダイアローグ。

彼女が政界から引退し、夫にも先立たれ、周りに世話を焼かれながらも孤独でただ一人生活していたときからの振り返りで構成。

気弱なようで、静かにゆっくりした老女の生活はそのまま激しく強い女性リーダーとしてあった過去の対比として描かれる。

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政界進出してからは、子を顧みなかった。

熱狂的に迎えられた政権の代表者も、景気がどん底に落ちるやいなや、苦境に立たされる。政治に代表されるゴリゴリの男社会にあって、最高権力者の女性。ミソジニーに侵される英国議会にあって、彼女は一人強い。

「考えを変える必要はない。世論やマスコミに影響されて考えを変えるようなら、いったい何のために、私がリーダーになったのか・・」


フォークランド紛争を境に、彼女に対する国民と周囲の評価は変わり始める。

アルゼンチン軍のフォークランドへの侵攻に対して、一刻もはやい対応を迫られたサッチャーは「沈めて」。英国側に多くの犠牲を出しながらも、責任も弁明も全て彼女が引き受けることになる。結果、奪還し、勝利を収める。


勝てば「我々は確信していました。」
英国民に勝利と自信を取り戻させた、強いリーダーとして熱狂的に受け入れられ始める。米国の国務長官が、紛争勃発時に彼女を訪問したときのやりとりが象徴的だった。

「あなたは2万キロも離れ、英国人もほとんど住んでないようなあの島を理由に、戦争を始めようというのですか?」と問われた彼女が、

「あなたがたは日本が真珠湾に突入した時、友好的に解決しようと出来たでしょうか。フォークランドは英国です。英国の領土なのです。」

その後の彼女は歴史が評価してきた政治家そのもの。

議会や実務で少しハイになって、部下や男の代議士をなじる。出来ない子供に「ダメだ」と言って聞かせるように、いびる。

「恥ずかしいわ。恥ずかしいわ。こんな簡単な書類も作れないようなら、あなた入院でもした方がいいわね。」

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ソ連が彼女を「鉄の女」と評すると、彼女も気に入ってその呼び名を受け入れた。


「わたしは英国の首相よ」
「軽蔑すべきは、臆病者です。」