ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2015-01-01から1年間の記事一覧

『007 spector』

サムメンデス・2作目。ダニエルの最後作かと騒がれている。公開週にコレド室町で観る。 予告編 www.youtube.com 冒頭は、メキシコシティ、極彩色のお盆・死者の日のお祭りシーン。 広場上級でのヘリコプター内での取っ組み合いはヘリもカメラも揺れる揺れる…

『007 DIE ANOTHER DAY』

ピアース・ブロスナン版。舞台は朝鮮半島 冒頭アクションで、北朝鮮の大佐とダイヤー武器を交換引き渡しするシーンから戦闘。 捕まって拷問シーンからのオープニングクレジット。 香港英国領で人質の交換 Mから「吐いたでしょ?」と言われ、007ライセンスを…

『自伝 狂気ありて(立川談志)』

レジで会計するとき、B&Bの店員に僕は男子のお師匠さんの小さんの方が好きですけど、とか言われた。だからあんたあここにいるんだ、とは言ってやらなかったが。。 昔の写真とか多くて良かった。 志ん朝と京成電車の2人がけに座ってるときの写真とか。 家族…

『ぼくらの仮説が世界を作る(佐渡島康平)』

この12月の刊行の新刊だったし、旬な人なんで丸善でカゴに入れました。 ネット世界では、一目置かれてる人、という印象。 編集者という肩書き、灘→東大→講談社って、どうしたってこの部分のブランドも効いてると思う。糸井さんもそう安々と帯文を受ける人じ…

『君の膵臓を食べたい(住野よる)』

魔が差して、暮れに手出す、駄作愚本 若者に流行っているというから、というよりはタイトルのキャッチーさだろうか 中身もめくらずにAmazonでポチッとやってしまった。 これで何刷りになってるっていうんだ??(いかに企画性とプロモーションだけでも売れる…

『愛情生活(荒木陽子)』

物思いに沈んでいる表情が良い、と言ってくれた。私はその言葉にびっくりして、じっと彼を見詰めていたような気がする。 その時までの私の世界は、きっと、原色だったろう。けれど、その原色は渋いニュアンスのある色に変わろうとしていた、一人の男の出現に…

『007は二度死ぬ(YOU ONLY LIVE TWICE)』

ショーン・コネリー版ボンド 撮影の舞台は日本。ボンドガールも日本人女性。 宇宙空間で船外活動してたアメリカの宇宙船が大きな宇宙船に、パックマンの要領で喰われる。 中国の女と寝てる時、ベッド引っくり返されてベッドの裏(下)側から機関銃連射される…

『ダンス・ダンス・ダンス(下)』

三人の消えた娼婦と一人の俳優と三人の芸術家と一人の美少女と神経症的なホテルのフロント係。 (女房に出て行かれて、北海道のホテルを訪れたくて、受付の女性と出会って訴えかけられるものがあって、ホテルに泊まっていた少女の東京帰り付き添いを託されて…

『ダンス・ダンス・ダンス(上)』

学生の頃から、読むのは何回目か。 さすがに、ロレックス、港区、メルセデス、経費、高度資本主義社会、、そういったシミュラークル的名詞に古びた印象を受けた。 そりゃそうだ。古びなきゃおかしい。30年も前に書かれたの小説なのだ。 自分に対するこの作…

『わたしたちが孤児だったころ(カズオイシグロ)』

こんなにも明白はタイトルなので、説明されないと(あるいはしっかり予測を立てないと)そのタイトルが持ってくる意味がわからない。ましてやこの人の小説なら、何かがあるのだ。 彼の小説は、「人間がもっている幼少期の記憶の曖昧さ」に根ざしている。誰も…

『永続敗戦論(白井聡)』

初読後、2年と経てず、再読。 本棚の背表紙を見て、あれ?「永続敗戦論」ってどうゆうこと言ってたんだったっけな?と思ったのがきっかけ。 日本人の歴史的無知は、無自覚であることが元凶だと思って。 いまがどういう状況なのか、そのことに無自覚なので、…

『日本語が亡びるとき -英語の世紀の中で(水村美苗)』

成田ーホノルル間で読む。太字で書き留めることが、実に多い。 国の言葉を考えるとき、この国のユニークさと近代以降の激動を考え合わせれば、ドラマティックにならないはずがない、そんなことを教えてくれる稀有な現代日本語文化論。 アイオワ大学は全米で…

『サラリーマン合気道(箭内道彦)』

箭内氏に提案する機会があり、下調べのためにも読んでみた。 あまのじゃく。王道とアンチ。全て解釈する。 こだわりやプライドを捨てて新しい視点へ。 サラリーマン合気道というワーディングは、つまりそういうこと。 多くの人間は自分が思いついたものを気…

『暗室(吉行淳之介)』

孤独と性愛の調べ。 最小限の、引用に留める。 曖昧なものに一応具体的な形を与えておきたかった。 ときには際どい冗談を言い合う仲だが 津野木との間には、危険なものが沢山ある。 「いけないね、人生にたいしてそんなに消極的になってはいけない」そういう…

『半落ち(原作:横山秀夫)』

ホノルルから成田までの機上で。04年作。 冒頭、「女房を殺した」と自首してきた、元警察刑事部の梶(寺尾聡)。 柴田恭平が群馬県の期待刑事として出てきて、冗談でも言ったときには誰もが、あぶない刑事を想起して台無しになりそうなところを、一応はその…

『007 スカイフォール』

MGMメトロゴールドウィンメイヤー、サム・メンデス監督。 興行収入は全世界で11億800万ドル MI6という諜報組織の本部本丸が、内部を熟知した人間にハッキングで狙われるスリリング篇。 007シリーズは、街中でドンパチやり過ぎる感が爽快だ。 Mに「あの…

『進撃の巨人 ATTACK ON TITAN』

ホノルルまでの飛行機で視る。 冒頭、壁のちかくで少年と少年と少女が青春を語り、 巨人登場するまで16分ほど。 初めて、巨人が何十人と登場するシーンは圧巻。 巨人の攻撃ってタイトルになるくらいだから、ここが一番の見せ所なわけだ。どういう造形の巨…

『悪い男(キム・ギドク)』

キム・ギドク作品は嫌いな日本人が多いだろうな、という印象。 間違っても、日本では成功しない。 いまのところ、そういった作品たちだ。 冒頭シーン、有名な街角ぶっちゅーシーン。 ベンチで恋人を待っている女子大生ソナを、隣に座ってじーっと見る男。 や…

『デューン/砂の惑星(デヴィッド・リンチ版 84年作)』

物語の設定と映画の始まりは複雑だ スパイスの取れる砂漠の惑星デューン スパイスは、人にさまざまな特殊能力を可能にする とすると、もちろんそのスパイスを宇宙中で奪い合っている。 ただ、スパイスを取るには、巨大な虫がを避けながら取らなければならな…

『すべてはモテるためである(二村ヒトシ)』

いい歳して、人として卑しいふるまいをするというのも ・「モテていたのは俺じゃなくて、俺の年収かも」などと気づいて(バカがへんな治りかたをして臆病になっちゃったんです。) よくない苦労をすると人間はますます卑しくなります 性格は断念によって形成…

『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか(二村ヒトシ)』

AV監督という餅屋としての経験と感性でここまで「わかった人」という印象だ。 巻末の対談はで、著者がカウンセラーの女性に怒られたりしていて面白い。体系化はしていないけれど、このテーマにおける示唆に富んでいる。 ・「自分を認めて、愛することが自己…

『ゼロから始める都市型狩猟採集生活(坂口恭平)』

都市でゼロ円で生きよう。「都市の幸」で稼ごう。 という企画が、綿密なヒアリングと取材によってまとめられている。取材の対象を本気でリスペクトした、坂口恭平ならではの仕事。 ・段ボールハウスって結構あったかい。 ・アルミ缶は1kg=70〜100円(1週間…

『ぐっとくる映像にはルールがある 表現の技術(高崎卓馬氏)』

電通クリエイティブディレクター。 インテル入ってる、ドコモdビデオ、オランジーナ、行くぜ東北、などのCMCFで有名。提案する機会があったのでまとめて読んだ。 感情は振り子である。映像を作る際には、人のこころに変化を意識的に作り出す必要がある。 人…

『八百長 -相撲協会一刀両断-(元大鳴門親方)』

出版直前に著者、証言者の二人が同じ日に同じ病名(レジオネラ菌による「在郷軍人病」)で急逝するという、相撲興行の闇を描く出版本。*ウィルス感染症。数日間の潜伏期間の後、呼吸困難を引き起こし肺を蝕む 高鉄孝之進(部屋の弟弟子)、橋本成一(北の富…

『失敗の本質(中公文庫)』

91年。戸部良一、野中郁次郎ほか著。 組織論は、社会学・政治学・心理学・経営学との学際的な学問領域。太平洋戦争史に、社会科学的分析を導入しようという意欲的な大著。 以下、メモとまとめ。 ノモンハン事件 敵情不明のまま用兵規模の測定を誤り、いたづ…

『重罪と経済(ウディ・アレン)』

90年作。アレンの監督、脚本、主演。 冒頭は船上でのパーティ挨拶。 眼科医は緊張している。 愛人から眼科医夫人宛の手紙には「3人の決着のために話をしましょう」とあった。 「私と一緒になると言ったじゃない」 「女盛りを捧げたのよ!?」 会えば脅迫め…

『ニッポン異国紀行〜在日外国人のカネ・性愛・死〜(石井光太)』

・日本で死亡する外国人の数 6424人(2010年) →イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教徒の場合、土葬しなければならない →本国に移送するときエンバーミング技術が必要になる。隣国でも30万、アフリカには100万円以上。移送には日本から遠い国ほど高くつく…

『完全教祖マニュアル(架神恭介/辰巳一世)』

ちくま新書236P。太字になる部分は少ない。 チベット仏教でも、大昔には無上ヨーガ・タントラの行者が墓場で乱交したりしていたといいます。

『人間・この劇的なるもの(福田恆存)』

冒頭の一章を興味深く読む。その後は、劇作家の演劇論。 愛は自然にまかせて内側から生まれてくるものではない。ただそれだけではない。愛もまた創造である。意識してつくられるものである。 女はそう思う、だが男にはそれがわからない。 愛情は裏切られ、憎…

『スクラップ・アンド・ビルド(羽田圭介)』

フリーター、25歳、健斗。 実家で同居するじいちゃんは、身体も思うようにならなくることが多く「はやく迎えにきてほしい」と弱音ばかり吐くようになっている。 薬漬けの寝たきりで心身をゆっくり衰弱させた末の死を、プロに頼むこともできないのだ。 湯温…