ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

『米国との間合い -五百旗頭真(2015年8/6 朝日新聞)』

「米外交は一つの原理で動いているわけではありません。私の恩師である故高坂正尭・京大教授は、国家を『力の体系』『利益の体系』『価値の体系』であると考えました。米国はこの3つを強烈に持っています。」 「戦後ワシントンであつく歓迎された首相は、こ…

『「愛国」と「作法」について 高橋源一郎・小熊英二 2014年9月25日』

S・ソンタグ「自分が大切にしている諸権利やさまざまな価値の相克に、私は取り憑かれている。たとえば、ときとして、真実を語っても正義の増大にはつながらないということ。ときとして、正義の増大が真実の相当部分を押さえ込む結果になるかもしれない、と…

『中国外交は変わったのか  -ベイツ・ギル 2014年8月7日 朝日新聞』

豪州シドニー大学アメリカ研究センター長 両国の立場があまりにも硬化してしまったため、いずれの側からも譲歩あるいは妥協を持ち出すことができなくなっていると思える。 緊張の段階的緩和プロセスが必要だ。 ー日本がいくら謝罪しても、和解は望めないだろ…

『戦争は自衛の暴走で始まる -森達也 2014年6月26日 朝日新聞』

ベルリン自由大学の学生から「8月15日は日本のメモリアルでーなのですか」と質問された。 「終戦記念日だからメモリアルデーですね。ドイツではいつですか?確かベルリン陥落は5月ですね」僕のこの問いかけに学生たちは、 「その日は、ドイツにとって重要な…

『アナ雪と天皇制 -高橋源一郎 2014年6月26日 朝日新聞』

中森明夫は、こう書いている。 「あらゆる女性の内にエルサは共存している。雪の女王とは何か?自らの能力を制御なく発揮する女のことだ。幼い頃、思い切り能力を発揮した女たちは、ある日、『そんなことは女の子らしくないからやめなさい』と禁止される。傷…

『少数派からのありがとう 高橋源一郎 (2014年5/29 朝日新聞朝刊)』

14年3月、台湾の立法院が数百の学生によって占拠された。 大陸中国と台湾の間で市場開放に関して交わされた「中台サービス貿易協定」への反対。学生たちは、規律と統制を守りつつ、院内から国民に向けてアピールを続ける。 占拠が20日を過ぎ、学生たちの疲労…

『わからなくなってきました(宮沢章夫)』

秋葉原に行って気がついたことだが、この町はあきらかに、渋谷ではない。 「病人は演技する」 病気を患う。まわりから、「お大事に」などと励まされ、心配や同情などされると、「俺は病気なんだ。ちゃんと、病人らしくしなきゃまずいんだ」と奇妙な意識に捉…

『取り調べ可視化 まず一歩(周防正行 2014年8/2付 朝日新聞)』

リアリストで賢い人だ。 ご存知「それでもボクはやってない」や「シコふんじゃった」などで知られる映画監督だが、こういう立場にあっても、「いまの自分に出来ることが何で、そこでどれだけ出来るか」を判断して関わっている。 こういう大人が公的な役割に…

『もう謝りたくないスネ夫(拡張する排外主義 -東島誠・白井聡 12/20付朝日新聞)』

東島誠氏は「江湖(こうこ、こうご)」の精神を語る。 ”一つの場所に安住することを良しとせず、外の世界へと飛び出すフットワークの軽さ”を表す。国家権力にも縛られない、東アジア独自の「自由の概念」といってよいでしょう。 左方は、「永続敗戦論」で有…

『老兵は闘う-野中広務(2014年7/18付朝日新聞)』

日本人は中国との付き合い方を知らんのですよ。 いま議論されてる内容が「抑止力」になるなんてまったく理解できません。 かえって刺激するだけのことです。 中国と韓国とは一刻も早く和解しなきゃだめなんですよ。 偶発的な接触から、いつ戦争が起きるかわ…

『言葉の力を信じない首相(金田 一秀穂さん2014年9/4付「風向きは変わったか」)』

「質問に答えない」と批判されてるけど、国会答弁や記者会見を見ていると、ごまかしや言い逃れという感じでもない。ずっとすれ違ったままでかまわないと思ってるんじゃないか。 安倍さんも勇ましい言葉は多い。「まさに」という言葉をよく使うんですね。スパ…

『北の国から 84’夏』

北の国からの良さは散文的情景や心情を描けていること。 子供の頃、誰もが経験した事がある、自らの嘘や小さな不正に対する気まずさ、情けなさ。状況へのバツの悪さ。 東京からきた都会っこはパソコンに夢中だった。 これから世の中が変わっていくという。 …

「サッカーは死んだ。(蓮實重彦 7/19付 朝日新聞)」

国民や国の期待を背負うと、どれほどスポーツがスポーツ以外のものに変化していくか。 W杯は命懸けの『真剣勝負』に見えてしまう。お互いもう少しリラックスしなければ、やっている選手もおもしろいはずがないし、見ている側も楽しめない。 勝ち上がるのを最…

「越境する知で資本主義の矛盾と向き合う(1/18朝日新聞 夕刊 by見田宗介)」

あれだけの事故を経験しながら、原発依存の経済構造、成長神話から転換できない現実があるわけです。 資本主義の様々な矛盾を乗り越える、あるべき自由な社会 ー(中略)ー人々が経済競争の脅迫から解放され、アートや文学や友情など、自然を破壊しない幸福…

中国の控えめな目標(1月18日付 読売新聞 朝刊一面”地球を読む” byフランシス・フクヤマ)

新興の大国に対し、既存の大国が過剰反応して戦争を引き起こすという、いわゆり”ツキディデスの罠”もまた回避しなければならない。 中国の目標は、さほど秘密めいたものではない。中国は常に大国であり偉大な文明国だった。だが「百年の恥辱」の時代に辛苦に…

『もののけ姫』

土曜の朝、撮り貯めてあった「もののけ姫」を観る。 ジムに行く予定だったので1時間だけと思って観始めたが、しまいまで観てしまう。 97年作。制作費24億円だという。魔女の宅急便が4億円だというのでいかに作り込まれているかがわかる。 地上波では既に8…

『パリ、テキサス(ヴィム・ヴェンダース)』

84年、フランス・西ドイツの合作。 ロードムービーの傑作。 ロードムービー、それは長い距離を移動する物語。 さまざまな理由で、人は移動する。 恋人や家族を探して、敵を追い、組織から逃れて。 車で、バスで、電車で、徒歩で。 彼らは、どこからどこを移…

『アメリカン・ビューティー』

1997年。サム・メンデス監督。この映画が好きだ。 大みそかの夜、元旦へと日が変わってから、まだ起きていた友人と視る。初めて観たときから、「あまりにアメリカ的だ」という印象が離れない。アメリカ的な価値(その美質よりも、富や名声に象徴されるわ…

『サブカル時評 宇野常寛(1月9日付朝日新聞)』

昨年末から「北の国」からを観ている。 次の文化の下敷きになるような全盛期の優れた映像文化は今一度じっくると観ておいたほうがいい。そう思ったからだ。 この感覚は、この日の宇野氏のサブカル時評にも見てとれる。 大みそかに紅白歌合戦をぼんやりと視て…

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年(村上春樹)』

どんな映画でも本でも、個人がパッケージにアクセスしやすい時代になった。 録画機に何本もの映画や映像を貯め、amazonで小説が1円で売りに出されている。 いつでも安く視られるというその意識環境は、文芸や映画の旬というものを失わせている。作られて間も…

『サマーウォーズ(細田守)』

09年8月公開。細田守監督。 冒頭のコマーシャル 「仮想空間で拡がるバーチャル社会、さまざまな活動が簡潔する時代です!」 夏希先輩に夏休みのバイトに誘われ訪れたのは信州上田の旧家。 家族の前で、「わたしの彼。お婿さんになるひと!」 彼氏のフリし…

『北の国から 83’冬』

草太にいちゃんは、青年団の農村花嫁対策委員。村の若者のためにラーメン屋の妙子(吹雪ジュン)を説得するところを、自分が懇意にしちゃう 五郎と熊さんは東京に出稼ぎに行く。五郎は、笠松みどりの700万の連帯借用証に判を押してしまっていたがゆえに借金…

『北の国から 87’ 初恋』

国民コンテンツとでもいうべき『北の国から』シリーズを観ようと思ったのは、社内の飲み会がきっかけだ。 僕は昭和57年生まれなので、同世代ではサッカーで大久保嘉人、野球で青木宣親、ジェニーズで滝沢秀明。初めて買ったCDは槇原敬之『どんなときも』…

『2択思考(石黒 謙吾)』

今日ご本人にお会いするので、3つ目の著作をチェック。 自分の好みのパターンがわかっていることは、素早い決断につながる。 直感が働くのは、ふだんから「何でも選んでいるから」。 自分が好きなことを意識してない方が多いような気がします 対象物が自分…

『オーシャンズ11』

スティーブン。ソダバーグ 監督。キャストの豪華さも確かにある。 こういう映画を観ないうちに語る際、 「どうせキャスト頼みのシリーズだろう」とあるべきではない。 「これだけのキャストなんだ、ハンパな本と演出にはならないだろう」と観るべきなのだ。 …

『ドキュメント 戦争広告代理店 -情報操作とボスニア紛争-(高木徹)』

年末、金沢への旅行に持っていく。 一PR会社が、紛争を煽動した。というわけではない。ただ、特定の民族に肩入れし、国際世論を味方にした。一方は悪役のレッテルを貼られ、国連を追放されるに至る。 ボスニア紛争で戦われた「情報戦争」に勝利した国の差…

『分類脳で地頭が良くなる(石黒謙吾)』

今週ご本人にお会いするため、著作を読む。 和が意を得たり!まさにこういうこと!思考(アイデアの地平)を水平に展開していくこと、違うアプローチで言ってくれた!ほんとに弟子入りしたいわ。 すごい成績を上げている営業マンは必ず分類していると想像し…

『成熟と喪失(江藤 淳)』

「第一次戦後派」は「父」との関係で自己を規定し、不良中学生たる「第三の新人」は「母」への密着に頼って書いたのである。 それは「天皇制」とか「民主主義」とかいうような公式の価値からすれば無に等しいようなものである。それは母親のエプロンのすえた…

『文藝春秋 2016年の論点100』

年明けちまったがオンブログ。 イミダスや知恵蔵みたいなので、300ページはあるけれどさらっと読んだ(まず興味対象外なものは取り込まず、とんでもっぽい論者もいるので、、)。 エマニュエル・トッド 全人口を年齢順に並べて、ちょうど半分にあたる中央値…

『インランド・エンパイア(デヴィッド・リンチ)』

www.youtube.com 06年作。主演 ローダ・ダーン。 開始15分は話が見えて来ない。意味不明。 ハリウッド女優ニッキーの家にご近所挨拶に訪れた、ばあさん。 半狂な話ばかりは暗示というか呪いの言葉たち。 翌日、エージェントから電話が「役が決まったの!」…