ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『現代アートの本当の楽しみ方』

会社の図書室で借りた。 遠藤水城さんと五野井さんの対談中。 学問において、自由と民主主義を戦前戦中戦後とつないできたのがやっぱり岩波・朝日文化なわけですよ。 遠藤ー美術でも、美術館に行くということは何かを学ばなければならない、何かを得るものだ…

『アンナ・カレーニナ 下 (トルストイ)』

ドリイは反駁しなかった。彼女は急に、自分がアンナとはもうあまりに遠く離れてしまったのを直感し、ふたりのあいだにはもうけっして意見の一致することのない、したがって口に出さないほうがいいような疑問が立ちはだかっているのを感じたのであった。 子供…

『アンナ・カレーニナ 中 (トルストイ)』

(中巻では、リョーヴィンの農業否、労働を基にした人生哲学の開陳を、アンナは夫との離別、およびこの恋が本当の愛なのかの猜疑と葛藤を、カレーニンは不得意な感情生活と向き合い、次第に冷めていく妻への愛を語り。この選択は正しかったのか、私を彼を幸…

『アンナ・カレーニナ 上 (トルストイ)』

幸福な家庭はすべてお互いに似通ったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸のおもむきが異なっているものである。 オブロンスキー家ではなにもかも混乱してしまっていた。 キチイはヴロンスキーがワルツに誘うのを待っていたが、ヴロンスキーは誘わなかっ…

『監督 小津安二郎(蓮實重彦)』

小津の映画ではキャメラが動かない と 小津にあっては、愛情の激しい葛藤が描かれない。物語の展開は起伏にとぼしい。舞台が一定の家庭に限定されたまま、社会的な拡がりを示さない。 事実、彼は、しばしば変化よりも一貫性を求めた。「豆腐やにトンカツを作…

『男子校という選択(おおたにとしまさ)』

ダブルバインドのコミュニケーションとは、言葉では「あなたの好きなようにしなさい」と言いながらも「私を満足させるようにやりなさい」という本心をにじませるようなコミュニケーションのこと。いわゆる「表面的に優しい親」に多いパターンだ。 →自分の好…

『天才の理由を探ろう』堀越千秋@2015年1月18日付 朝日新聞GLOBE

スペインになぜ、こんなにたくさん天才がいるんだろう? ピカソ、ダリ、ミロに始まって、ゴヤ、ベラスケス、ムリーリョ、スルバラン… 〜みんなそれぞれに奔放で、天才であった。 商店主たちは実によく釣り銭を少なくよこしたが、指摘すると反論もせずに返し…

『米歴史家らの懸念』キャロル・グラッグ@2016年6月5日付 朝日新聞

「ただ皮肉なのは、慰安婦問題は過去にほぼ解決していたということです。宮澤喜一元首相は自ら韓国で謝罪したし、河野談話も発表された。その後も日本は何度も謝っている。しかし、安倍首相が河野談話を検証し、見直す趣旨のことを言い始めたため、問題が再…

『洋の東西刺し貫けたら、深く遠くに届く』山口晃@2013年11月30日付 朝日新聞

複雑な事象から公式を導き出そうとせず、複雑なまま並べるのは、前近代的と見られる所があります。でも東洋人である僕はそういう描き方があっていいと思う。かといって、それを異国風の味わいの「売り」にしたくはない。違和感を含めたまま、「美術」のルー…

『天変地異と心』養老孟司@2016年3月11日付 朝日新聞

ー東日本大震災の直後、「戦前、日本が曲がっていったのは関東大震災からではないかと考えている。大正デモクラシーがなぜ、軍国主義に変わってしまったのか。震災の影響が非常に大きかったのではないか」と言われました。 「脳は言わば入力装置ですが、例え…

『メキシコ麻薬戦争泥化の果て』ハビエル・シシリア@2013年10月4日付 朝日新聞

メキシコの誘拐、殺人、脅迫が横行しているのに犯罪者は捕まらず不処罰率95%にも及ぶ。国家権力が腐敗したため、麻薬組織が力をつけたのです。 地域社会が壊れることが、大資本の利益につながることすらあるのです。これは、人々が健康的な暮らしを営んでい…

『二分法の世界観』是枝裕和@2014年2月15日付 朝日新聞

谷川俊太郎さんとご一緒したのですが「詩は自己表現ではない」と明確におっしゃっていました。詩とは、自分の内側にあるものを表現するのではなく、世界の側にある、世界の豊かさや人間の複雑さに出会った驚きを詩として記述するのだと。 水俣病を撮り続け、…

『トランプ旋風 喜ぶTV局』竹森俊平@2016年3月20日付 読賣新聞

「この技術進歩は同時に、政治論議の質が劇的に低下し、社会規範が崩れるといった予期せぬ結果を様々に招いた」と指摘する。 「膨大な意見や情報源の喧噪に埋もれる世界では、誰もが自分の声を聞いてもらおうと努力するので、敵対者をののしったり、過激な発…

オフィス雑感 vol.1「奴の文章の怪しさは、少し前から気づいていた」

「こんなの主任の仕事じゃない」とぞのたまいけるや。現場より主任以上の方が多い職場でよー。 で、管理職として、このセクションに元いたおばちゃんが戻ってきた。 しかも筆頭管理職として。。 奴の文章の怪しさは、少し前から気づいていた。 出来は、ライ…

『戦争の記憶と和解』バレリー・ロズ@2016年2月10日付 朝日新聞

「和解は一見、究極の目的のように思えます。でも、状況次第では和解など不可能だし、常に和解など不可能だし、常に和解が必要とも限りません。重要なのはむしろ、和解が現実からいかにかけ離れているか知ることです」 過去が人々にとって重いだけに、紛争当…

『文系で学ぶ君たちへ』@2016年4月7日付 朝日新聞

ただの言葉の連なりが、誰かの心には刺さって絶対的なものになり、そうでない人には何の価値もない。一般に役立つとされるものって役立ち方が決められているけど、詩は読んだ人ごとに解釈がある。それがいいんです。(最果タヒ) 役立つことだけを求めていっ…

『貨幣が滅ぶとき』岩村充(早稲田大学大学院教授)@2016年4月8日付 朝日新聞

〜そうした格差の問題に目をつぶって景気に気を取られているから大衆の不満が爆発し、大統領選でトランプ現象やサンダーズ旋風が起こったのでしょう。」 「実はその米国より、バブル崩壊後の日本の方がはるかに厳しい問題に直面しています。中産階級の所得下…

『発想は直感でも、選んだ理由を徹底的に考える』寄藤文平@2015年5月9日付 朝日新聞

「優等生的な表現から逸脱しようとする意図を感じた」と振り返る。岡本さん自身も広告に「くだらなさ」「下世話」といった価値観を持ち込みたいと考えていただけに、波長が合ったという。 ただ、理詰めで作れば、よいデザインが出来るわけではない。僕自身、…