『文系で学ぶ君たちへ』@2016年4月7日付 朝日新聞
ただの言葉の連なりが、誰かの心には刺さって絶対的なものになり、そうでない人には何の価値もない。一般に役立つとされるものって役立ち方が決められているけど、詩は読んだ人ごとに解釈がある。それがいいんです。(最果タヒ)
役立つことだけを求めていったら世界が一色になってしまいませんか。
青春時代なんて、振り返ればムダだなあと思う時間ばかり。でも、人は、そういう時間で作られていくんです。
文と理は対立する学問ではない。一つのことを両面から探るのが学問。大学ではみなが文を学ぶんだと思ってください。
そう考えると、危機にあるのは文系学部ではなくて「文化」であり「文」です。物事をものすごく長いスパンで見るとか、根源的な原理を探していくというのが文化の特徴ですが、その評価の物差しが短期的になってきました。(鷲田清一)
大学というところは、目下の仕事に取り組む人の代わりに、あるいは委託を受けて、役に立つか立たないか分からないことでも必死に探求するところです。
具体的な事例、論理的な可能性を丹念に調べる。そして、短期的な視野とは別の可能性をいまの時代に示せるように準備しておく。それが学問の役割です。
視差という言葉があります。見る目が二つあって、ものは立体的に見えます。幅広い視差を持つ、でかい人になってください。物事を多くの面から見られる人、多くの人に思いをはせることのできる人に。
与えられた環境で、「問い」を見つけてほしい、ということです。(ロバート・キャンベル)