ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「アイリッシュマン(2019年Netflix、監督:マーティンス・コセッシ)」

このキャストだ、視る方だけじゃなくって撮る方もコルレオーネファミリーを下敷きに想像力が連想する。ゴッドファーザーへのオマージュはいたるところに。 乾いた殺し(殺しは明るくあっけらかんと...これはNetflixの様式だな)。 娘たちの父への憎悪。 …

「遅いインターネット (宇野常寛)」(2)

吉本隆明について、現代の哲学者や思想家の論評を求めている。 市井の巨人としてありがたがられてきた彼の著作は読んできたが、 反核異論など、心からは納得できない部分もあるからだ。 吉本隆明 キーワードは「自立」。 あらゆる共同幻想から自立するべし、…

「遅いインターネット (宇野常寛)」

平成という「失敗したプロジェクト」。 「平成」という改革のプロジェクトはなぜ失敗したのだろうか。 (リオ五輪閉会式の引き継ぎマリオ。)ここにはなにひとつ未来がない。 日本は過去にしか語るべきもののない国になってしまったことを告白しているように…

「7期連続最高益 キーエンス、高収益の秘密」(2019年5月8日 日経新聞)

工場の自動化に不可欠なセンサー機器。 従業員の平均年収は2088万円。 上場企業の平均値の3倍超と屈指。 営業担当者の成績ランキングが常に公表され、一定以下の順位にとどまると個別面談を受けることもある。 営業車にはGPSが付いており、予定時間と結…

「レボリューション -米国議会に挑んだ女性たち-」(Netflix)

ブロンクスの根性ある新人。アレキサンドリア・オカシオ・コルテス。 (以下、ビジネスインサイダーより引用) 2018年、アメリカ中間選挙。 29歳で史上最年少女性下院議員となったアレクサンドリア・オカシオ・コルテス(AOC)は、11期目を目指すベテランの…

「コラムの切り口 (小田嶋隆)」

書店でなかなか見つからなかったのは、ミシマ社の企画だから。 今年の3月新刊なのだね。 分析を装い、本音をぶちこむっ #駅前の呼び込みみたいなダミ声 #スネに傷持つ身として、出所後の人生を寡黙に生きていく男 夫婦別姓を認めない民法750条が憲法違…

「ア・ピース・オブ・警句 (小田嶋隆)」

昔、吉本隆明すごいなあ、と思っていたけれど、 小田嶋さんは、より、卑近な問題を平易な言葉で洞察する街場のソクラテス。 いや、お茶の間の(テレビの前の)巨人。 小田嶋隆さんの言説を信用している。 日本人は誰も責任を取らないで済む対応の決済を好む…

「多事奏論_自由と萎縮 ーありもしない危機?ご冗談をー(編集委員・高橋純子氏)」(2019年10月16日 朝日新聞)

朝日新聞編集委員・高橋純子氏。 署名入りで真っ向から腐った権力と向かい合う彼女のスタンス、文体は、同じ問題意識を持つわたしたち有権者に勇気を与えるものである。 宮田亮平・文化庁長官(前東京藝大学長・金属工芸家)が、10/4NHK「チコちゃんに叱…

「絶望に追い込まぬため_藤田孝典氏、斎藤環氏」(2019年6月14日付 朝日新聞)

藤田孝典氏・ほっとプラス代表理事 「一人で死ね」という怒りは自然な感情だと思います。しかしその怒りをそのまま社会へ流して憎悪が広がれば、孤立感を抱く人たちが「やはり社会は何もしてくれない」と追い詰められるかもしれない。いまある分断が広がるだ…

「肥大する星条旗 いまや「国体に」_政治学者・白井聡」(2019年5月10日付 朝日新聞)

結局、元号発表から改元まで展開されたのは、この国の閉塞感をごまかすための政治ショーでした 配線を境に米国が『天皇』化していったのです。象徴的に言えば、菊=天皇制と星条旗=米国、の結合は戦後日本社会を形作ってきましたが、平成では星条旗の存在が…

「平成流の象徴天皇」(2019年3月7日付 朝日新聞)

山口輝臣 氏・東京大学准教授 天皇が靖国神社に行かないまま平成が終わります。 (憲法の政教分離を厳格に適用しようという人たちが、左派の間に出てきます。天皇が神道にかかわるのはけしからんという感覚の人も増えました) 政府や宮内庁は、天皇の宗教的…

「プリズン・サークル(2020年、監督:坂本香)」

これはもうコロナの影響出てきた頃だったなー。 どっ昼間の渋谷イメージフォーラム、少し緊張してたの思い出す。 取材許可まで6年、撮影2年。 はじめて日本の刑務所にテレビカメラが入ったドキュメンタリー。 島根あさひ社会復帰促進センター。 少年には、…

「さよならテレビ(2019年、圡方宏史:東海テレビ)」

会社定時上がりで、さらに早めに切り上げてポレポレ中野へ。 上映時間まで串カツ田中でハイボール一杯だけ飲んで臨む。 アイドル趣味の派遣社員。 地下アイドルにチェキにサインしてもらい、おしゃべりするところ。 なぜ東海テレビが岩手産のお米を弁当で食…

「愛がなんだ(2019年、今泉力哉 *原作:角田光代)」

28歳のOL・テルコ(岸井ゆきの)、マモル(成田凌)、深川麻衣、江口ゆきの。 ・勝手に人ん家の掃除しちゃう女 「ごめん、そろそろ帰ってくれるかな」 って言える男すげえ(ちょっとだけ憧れる) 「どうしてだろう。私は未だに”田中守”の恋人ではない」 …

「答えのない世界を生きる(小坂井敏晶)」

「変われば変わるほど、元のまま」 (変化が内部に止まる限り、システム自体は変化しない) 知識の欠如が問題なのではない。反対に知識の過剰が理解を邪魔する。 答えは目の前にあるのに、常識が邪魔して見えない 発想を切り替え、水平思考をしなければなら…

「82年生まれ、キム・ジヨン(2018年、著:チョ・ナムジュ)」

韓国で130万部ってすごい。 まさに、彼の地で時代と寝ている作品。 弟が特別扱いされているとか、うらやましいとか思ったことはなかった。だってはじめっからそうだったのだから。 でも、自分の考えを話すことに慣れていなかったので、友達の話を聞きなが…

「コンテイジョン(2019年、スティーブン・ソダバーグ)」

もちろん、コロナの緊急事態宣言中に観た。 パンデミックって、やはりこういうことなんだなあ、と。 ある程度シュミレーションができて、予測できる形があるものなんだ。 だから準備を怠ったやつらがいるってことだ。 ・香港九龍 ・マット・デイモンの辛すぎ…

「2050年のメディア (下山進)」

2019年10月刊行。 2018年正月。 「そして社のために正しいと思うことがあれば「社長をぶっ殺すぐらいの気概でやれと発破をかけた」 ・ヤフーの根源は分類 ・住友商事はオンラインプラットフォーム黎明期から関心を寄せていた。当初から住商のやっ…

「シン・ニホン (安宅和人)」

日本の大半の産業はやるべきことをやっていなかった。 技術革新や産業革新の新しい波は引き起こせず、乗ることもできなかった。企業価値レベルでは中韓にも大敗。大学も負け、人も作れず.... *全ての産業がデータ×AI化する *マッシュアップ していく…

「暇と退屈の倫理学 國分功一郎」

人間が豊かさを喜べないのはなぜだろうか 人が退屈することを嫌うからである 革命が到来すれば、私たちは自由と暇を得る。そのときに大切なのは、その生活をどうやって飾るかだ。 人は「打ち込むこと」と「没頭すること」を渇望する。 歴史学は時間を遡るが…

「不自由展中止 いま語る_津田大介・あいちトリエンナーレ芸術監督」(2019年8月21日付 朝日新聞)

ポイント ・現場の危機的状況、観客の安全を考えればあの手段しかなかった ・京都アニメーションのガソリン放火事件が約2週間前に起きた ・「本当にトリエンナーレが後退させたのでしょうか。警備などに莫大なコストをかけないと表現ができないというこの現…

「イノベーション立国論_APU学長・出口治明」(2019年9月18日付 朝日新聞)

まさに実業界の賢人だな。出口さん。 どんな分野でも深い省察を持ってる。コモンセンスが深いんだろうな。 ヨーゼフ・シュンペーターによると、イノベーションとは知と知の組み合わせです。知と知の間の距離が遠いほど、面白いアイデアが生まれる。 平成の30…

「性暴力が無罪になる国 弁護士・角田 由紀子」(2019年9月6日付 朝日新聞)

特に、父親から娘への継続的な性的虐待を認めながら、「娘の抵抗が著しく困難だったとは言えない」として無罪にした名古屋地裁岡崎支部の3月の判決は、驚きでした。 ーしかしなぜ、理解に苦しむような判決が続くのですか。 「男女平等の度合いを示す世界経…

「芸術祭 噴き出た感情(黒瀬陽平、宮台真司)」(2019年8月10日付 朝日新聞)

黒瀬陽平氏 「日本人の心」や「先祖」を持ち出し、公金投入を理由に展示を中止すべきだと訴えた政治家は節度を失っています。金は出すが口は出さないという姿勢が筋で、そうでないとなんのために芸術監督がいるのかわからない。 騒ぎの中心の「平和の少女像…

「論壇時評_ジェンダー対立 ー意識の溝 構造から変えよー」(2019年4月25日付朝日新聞)

朝日新聞(2019年4月25日付) 津田大介編集回。 「がんばってもそれが公正に報われない社会があなたたちを待っています。」 「がんばったら報われるとあなたがたが思えることそのものが、あなたがたの努力の成果ではなく、環境のおかげ」という祝辞を述べた …