ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

2016-02-01から1ヶ月間の記事一覧

松峰莉璃@朝日新聞GLOBE

こういう人がいるんだなあ、と関心する。 自分の現在の人生を燃焼させている人。 そういう人を捜してくる編集部の妙。 いま、「情熱大陸」よりも一層”苦労している”感の強い、熱いドキュメント。 抗日戦争ドラマで日本の特高警察官を演じた。 冷酷な策略家と…

堀越千秋@マドリード(2/21付 朝日新聞GLOBE)

朝日新聞GLOBEで連載しているアート特派員 堀越千秋のコラムが面白い。 スペインはマドリードから、毎回どこか牧歌的で味のあるエピソードが綴られる。 スペインってやっぱり好きだ。 彼と彼の従兄弟のミゲルがしゃべる「哲学」は、ソクラテスとプラトンの会…

『命売ります(三島由紀夫)』

元々68年にプレイボーイ上で連載していたものが、版元が新装した帯をきっかけに昨年売れた三島作品。 「三島由紀夫」という名前と、「極上のエンターテイメント」という売り言葉の掛け合わせでみんな買わされたんだろう。 三島由紀夫の優れた小説を知って…

『愛と暴力の戦後とその後(赤坂真理)』

一昨年のスペイン旅行のときに持って行ったこの新書。 アンダルシアの、一面をオリーブという田舎を突っ切るバスのなかでかじりついて読んだのを覚えているが飛行機の中に忘れてきてしまったのか持って帰って来れなかった。 最近改めて購入した。 本人も断っ…

『いやな感じ(高見順)』

売春宿の女にホレそうで嫌だ。 初恋だ。身請けしよう。みたいな冒頭シーン。 火の玉みたいな向こう見ずな男がテロリストとして、女に惚れっぽいが、身を立てようとする。 基本的には、女郎屋とか淫売屋が、生活の中にある文化。 戦争と、政治と、血があるの…

『淵の王(舞城王太郎)』

舞城作品において、映画でいうと予告編に使われそうなやヴァイシーンはサイズが崩れる。言葉も崩れて、どがががががががががががあああみたいな文字列を見ると、ゲシュタルト崩壊的感覚を抱かされて気持ち悪くなる。 この作品のクライマックスシーンに、ガン…

「キャラクター活用の今」 -読売ADレポート2012年4・5月号

男女差についてですが、広告でキャラクターを使っている場合、男性はまず左脳で考えます。「なぜこのキャラを使っているのか」「これは何の会社だ」と理屈っぽく受け止めるんですね。それに対して女性は「かわいい」「かっこいい」など感覚的な受け止め方を…

「ビジネス・エスノグラフィーで 」 田村大 氏 -博報堂 イノベーション・ラボ (読売新聞マーケティング情報誌OJO(オッホ)2010年10・11月号)

エスのグラフィーは、人類学の一つの領域、手段。 「フィールドワーク+解釈」で他者を理解するということ。 従来のマーケティング的エスノグラフィーは客観的な真実である「ニーズ」が世の中に存在するという前提に立っているから成り立つ。それに対して、ビ…

『日本の中高年男性は「対等」に気付こう -平田オリザ(2014年3月23日 朝日新聞)』

日本語には欧米の言語と比べて、対等な関係で褒め合うボキャブラリーが極端に少ないと感じます。上から下へ「よく頑張ったな」という種類と下から上に「すごいですね」といった表現はありますが、同じ立場でたたえ合う言い方がほとんどありません。これでは…

『論壇時評 ”2015年安保の言葉” -高橋源一郎(9月25日朝日新聞)』

鶴見俊介はこう書いている。 「私に取って、声なき声は、1960年5月に岸信介首相が日米安保条約を強硬採決したことへの抗議としてはじまった。安保条約そのものへの反対ということだけでは十分な動機ではない。十五年戦争の指導者だった人が、ふたたび戦争体…

『はじめての保守 -9月27日朝日新聞』

保守主義の父こと英国の政治思想家 エドマンド・バーク。 「物事をこれまでとは正反対にするというのも、安直さにかけては、すべてをぶち壊すのといい勝負である。前例のないことを試すのは、じつは気楽なのだ」 「明治”維新”は王政”復古”を伴った。前近代に…

「まれ」がはまった罠 -サブカル時評(宇野常寛 2015年10月3日 朝日新聞)

そもそも「朝ドラ」は平成期に、「昭和の女の一代記」から「現代を生きる女性のロールモデル」が目立つようになっていったのだが、その結果、シリーズは過剰積載的に様々な社会的要請を抱え込むことになった。女性の社会進出を後押ししながらも、高齢視聴者…

『男たちの挽歌』

86年、香港。ジョン・ウー監督。 マフィア組織の幹部ホーと弟で警察官なりたてのキット。 仲違いする前の二人は、拳闘したり、逮捕するフリしたりベタベタ触ったりするじゃれ合いが愛らしく楽しい。 マフィアでコンビの弟分マーク(チョウ・ユンファ)は劇…

『ロスト・イン・トランスレーション』

03年、ソフィア・コッポラ監督。 カラフルな下着の女性寝姿バック(スカーレット・ヨハンソン)から始まるオープンショット。 200万ドルのギャラで日本までCM撮影にやってきたハリウッドスター ボブ・ハリス(ビル・マーレイ)。 CMディレクターからは「も…

『ブラック・スキャンダル』

今川焼とフライドポテトを買いに出て、冒頭見逃してしまった。。 愚かすぎる。 さて、本作はBased on true story. ジミー・”ホワイティ”・バルジャー(J・デップ)は出所したばかりの札付きの悪党。 たまに出入りする女性との間に出来た血のつながった子に…

『国家単位で考える「現実主義」に限界 -入江昭 2014年6/19付朝日新聞』

ハーバード大学名誉教授。元アメリカ歴史学会会長。 ー日本では今、中国の拡張主義への懸念が強まり、逆に「国家」が全面に出ていますが 「旧来の地政学的発想ですね。中国の拡張主義は一面に過ぎないでしょう。これだけモノとカネが国境を超えて動いている…

『パン工房 ピーターパン(カンブリア宮殿)』

ピーターパンの社長・横手和彦氏。 社長登場のシーンを一目見て、この社長が好きになってしまった。 コロコロを持ってスタッフ一人一人の背中をコロコロして髪の毛やホコリを取る。 「これやると、スタッフのみんなと挨拶できるでしょう。」 1店舗あたりの売…

『地図と領土(M=ウェルベック)』

写真家のち画家、ジェド。 芸術と女性との別れ。 友人であり、作家ウェルベックの死。 そして、愛への、友人への、父の生、自らの人生への諦め。 沈黙が続いていたが、父がそれを破りたがっている様子はまったくなかった。 こういう家族のあいだの会話という…

『悲しみのイレーヌ(ピエール・ルメートル)』

主人公はカミーユ・ヴェルーヴェン、司法警察の中年警部。 過去の犯罪小説になぞらえられた殺しの数々。 漏れる捜査情報、新聞紙面化される捜査の進展。 忍び寄る悲劇の予感。 内部の疑心暗鬼と、捜査チーム内の裏切り。 序盤から、妻の妊娠が不吉の暗示とし…

『北の国から 95’秘密』

純は、市の臨時職員としてゴミ処理員をしていた。 シュウとは、ゴミ捨ての場で出会う。 正吉と同居。 レイちゃんともごくたまに会っているが、「プロポーズされた」と告げるレイに対していじけた調子になる。 麓郷の道歩こうといいながら、草っ原で押し倒し…

『議論を忘れた日本人 -橋本治 2014年7月8日』

朝日新聞、オピニオン面。 集団的自衛権の行使が日本の安全を守る抑止力になる」と言う人もいますが、 一方では「集団的自衛権を行使しないことが日本の安全を守る抑止力になる」という考え方だって出来ます。 問題は、「安倍内閣が憲法解釈を変えて、集団的…

『いやな感じ -石川健治 2014年6月28日』

朝日新聞、オピニオン面。 高見順「いやな感じ」。 この「いやな感じ」の源泉は複合的であるが、そこに<個の否定>と<他者の不在>が含まれているのは、間違いない。 現代の民主国家においては、内なる<他者>を否定するのが民主的だ、とする議論もある。「民意…

『北の国から 92’巣立ち』

これくらいからか。五郎の演技が大げさになった。より個性を研いできた。 富良野に一人でいることが(自分自身でひとりごつことが多くなった)、からという説明も出来るが、とことん甘くこびる言動や口調になったことは確かだ。蛍に「次はいつ帰ってくるんだ…

『北の国から 89’帰郷』

父親が入る風呂の、薪を純がくべながら話をするシーンがいい 今回、蛍の初恋が描かれる。 蛍はどうやって好きになるのかなあって思ってたら、 肛門科の患者としてやってくるゆうちゃん(=緒形直人)。 画面の中ではもう会ってるんだけど、物語の中ではまだ…