言葉尻とらえ隊「分からない」(能町みね子:2021年5月6日号 週刊文春)
週刊文春を購読する理由の一つ。
能町みね子さんの、最近ひっかかった「言葉」に関するコラム。
ときに芸能人や著名人の、ときに政治家や為政者の、
無思慮で、空虚で、作為的で、権謀術数的な言葉の意図と効果。
いま一番、批評性があるコラムだと思う。
丸川珠代といえば19年の参院選で、タピオカ容器の不統一などについて
「これこそ政治が解決すべき点」と主張したので(ツイッターに書いた唯一の公約がタピオカ政策)、それ以来私は彼女をタピオカ担当大臣・丸川タピ代と呼んでいます。
冒頭の数行でキッチリつかみ、淡々とした文体で最大笑わせてくれる。
稀有な問題提起と筆致である笑。
わたしも、参院選東京選挙区で丸川タピ代がトップ当選してきた結果など、ただ名前が知られているに過ぎない愚衆投票結果でしかないと思っている。
こういう瑣末なエピソードこそが、その人間が政治家としてどうなのかを考える重要なきっかけであると痛切に思っている。
そう、政治家にとってはどんなテーマであっても、言葉は全てなのだ。
4月23日、IOCバッハ会長が、緊急事態宣言は五輪開催に関係がないと言い切ったことについて、
タピ代氏曰く、「報道では存じているが、直接話していないので分からない」。さらに、緊急事態宣言が及ぼす影響について聞かれても「今のところ答えることは難しい」。担当大臣なので、何も分からないんだ・・・と呆れながら、私はふと「タピ代って、『聞いてない』『分からない』『答えられない』みたいなことばかり言ってない?」と思い調べてみました。
タピ代、何もかも、分からなすぎなのでは?都合が悪いからはぐらかしているという狡猾さすら見えず、本当に何も知らない人がボケッと突っ立ってる感じを受ける。しかも、文脈的には「聞いてないから分からない」ばかり。そんなこと堂々と言うなよ、聞けよ、情報収集せえよ。知らされていない状況、何の解釈もできていないあ状況はマズいって自覚してよ。担当大臣なんでしょ?
ほんとにその通りだと思う。
この人は、何も知らされてないんだと思う。
その辺の普通のおばちゃんと何も変わらない。
偉そうに、私は大臣なんだぞという尊大な風情と態度だけを真似て即興して雰囲気を作る。もっと、この年齢年代の女性ならではの問題意識で、社会的な課題に取り組める、エネルギーのある女性がこのポストにいたらどれだけ有意義だったんだろうな、と残念しかない。そう、現政権の大臣ポストは、無能を通り越して残念な人ばかりだ。