「見直されるアナキズム」(2021年2月1日 朝日新聞)
こういうものをテーマに一個面割かれるのは、やはり朝日新聞の美徳でもある。
「自分を縛り付けるものに、『ふざけんな』と小さく蜂起すること。いや自分も相手を服従させたいだけじゃないか、と自問すること」。これが政治学者の栗原康さんが考えるアナキズムだ。
あらゆる権力を否定するアナキズムは非現実的と揶揄されてきた。
近年は人類学者らの発言もあり、国家の生まれる前から人間が助け合ってきた歴史に焦点が当たる。アナキズムは青い鳥ではない。その実践は既にあったし、今ここにある」と。
一方、『アナーキズム』の著者、浅羽通明さんは「コロナ対策一つとっても、支援金など政府を頼らざるを得ないのが国民の大多数。そんないま、相互扶助の復権がどこまで説得力を持つのか疑問だ」
高校時代、大杉栄の反逆精神にしびれました。
今はクロポトキンの相互扶助論の方に、切実さを感じます。(ブレイディみかこ)
自我追求をわがままとする風潮に、社会と個人は対立しない、「私」を貫くことが連帯と利他につながると考えたE・ゴールドマン。
今こそ、かみしめたい言葉だと思います。
美は乱調にあり。