「再びマルクスに学ぶ(斎藤幸平)」2019年10月30日 朝日新聞
ーそこに注目が集まらないのは、極端な主張だからでは?
「極端ではありません。国連の昨年の報告書でさえ、経済成長だけを求めるモデルは持続可能性がない、として脱成長モデルを検討するようになっています。
上の世代が戸惑うほどグレタさんが絶大な支持を受けた背景には、いまのシステムではだめだという危機感が直感的なものも含めて若者たちに広がっていることがあります。
ーとはいえ、日本は経済成長すらあまりしていません。それでももっと再分配、ですか。
問題は富が『足りない』ことではないのです。十分に生み出されているのに、一部の人が独占していることです。世界全体の富を独占する一部のお金持ちには、もっと課税して分配すればいい。
「日本には、『政治主義』とでも言える強固な考え方が根付いているためではないでしょうか。選挙を通じてしか、社会は変えられない、と。ただ、社会運動によって、政治や経済を変えることもまた民主主義なのです」