ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『天才の理由を探ろう』堀越千秋@2015年1月18日付 朝日新聞GLOBE

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スペインになぜ、こんなにたくさん天才がいるんだろう?

ピカソ、ダリ、ミロに始まって、ゴヤ、ベラスケス、ムリーリョ、スルバラン…

 

〜みんなそれぞれに奔放で、天才であった。

商店主たちは実によく釣り銭を少なくよこしたが、指摘すると反論もせずに返してくれた。肉屋の左手の指はたいていどれかが欠けていた。大きなサカリのような包丁で牛の腿骨(たいこつ)を切る時に間違って指を飛ばしてしまうのだ。

 郵便局員は、切手を貼るのにバーンと必要以上に威勢よく机をたたいたし、安レストランのボーイは、ナイフとフォークをジャラリと転がしてよこした。フルコース125円のレストランで牛肉を頼むと硬くて切れず、おやじに文句を言うと「うちで牛肉頼んじゃダメだよ」と言われたし。フルコース250円のレストランで出る飲み放題のワインのビンの底には小さなゴキブリがいくつも沈んでいたし。