『半落ち(原作:横山秀夫)』
ホノルルから成田までの機上で。04年作。
冒頭、「女房を殺した」と自首してきた、元警察刑事部の梶(寺尾聡)。
柴田恭平が群馬県の期待刑事として出てきて、冗談でも言ったときには誰もが、あぶない刑事を想起して台無しになりそうなところを、一応はそのリスクは回避されている。
「完落ちではなく半落ち」
警察内部の身内の犯行に、マスコミ発表に神経を尖らせる警察。
県警とその家族たちの名誉に関わる話だ。
犯行後の2日間、自首するまで何をしていたのか。
「何故遺体をそのままにして、歌舞伎町に行ったんだろう」
検察との取引きもある。
熱血検事の家に新聞記者(鶴田真由)突撃したら、ウィスキーなんか飲んでやさぐれ酔いしてた。鶴田真由は曲がった事が大嫌いで薄汚れてない(だから男たちは汚したい)例のペルソナ設定。
弁護士(國村隼)の女房が高島礼子は少しホームドラマ都合主義過ぎ。一気に作り物感が出る点はもはや女優(俳優)にとってマイナスだろう。
彼女にとって、二度死んだんです。
エンディングは、どうしたって涙から免れられなかった。
護送車で移送中、カーテンが開けられて、イチョウ並木にラーメン屋の青年が志木と一緒に立つ。生きて、ください。
直木賞不可問題は、選考委委員の講評もむべなるかな。
人物造形面もさることながら、渡辺淳一の「推理小説の軽さ」というのがもっともなところか・・。