ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『冬の華』

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78年、東映倉本聰脚本。

冒頭、浜辺で男を指すシーン。

浜辺で無邪気にはしゃいでいる、幼い娘。

回る赤い風車。

 

 

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健さん(昔は”人切りのヒデ”)は、お務めから上がったばかり。浜辺の一件だろう。

物の少ない部屋でちゃんとトースターでトーストを焼いて、バターとジャムをつけて牛乳なんかの朝ごはん。ちゃんとした生活をしている。

 

ト書き風の科白が、ささやくようでボリューム大きくしても聞こえづらい。

 

 

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亜星「おわびにって、今時指なんかもらったって気の利いた佃煮にもなりゃしねえってんだ。おまけに知り合いの医者に頼んで麻酔して指切ってもらったってんだ。たまらんぜ、いまの若いもんは。日本はどうなっちまうんだっ」

 

「マイクが欲しけりゃ、力で取ってみなって云いやがった」

で、店から出て来たところをドス差し込んで

「マイクもらうぜ」

 

 

自宅に帰ると知らない女がベッド寝ていた。

「馬鹿やったでしょ。そのお詫びに寄越されたのであります」と倍賞(美津子)登場。

「愛してあげる!覚悟をし〜!!」

(寄越された女を拒む健さん)

 

刺した男の娘(洋子=池上季実子)に金を送りつづけてきた「おじさま」。 

おじさまはブラジルに行ってることになってる。

 

彼女が行っているというクラシックの聞ける喫茶にしばしば出掛けては同じくクラシックを聴く健さんは(それでいて素性は明かさないのだ)、少々ストーカーっ気があるようだ。

 

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やがて勘づかれる(そりゃそうだ)。

「おじさまじゃありません?」

「おじさまでしょ?日本に帰ってらしたの?」

事務所に詰め寄る洋子。

奥でコーヒー持つ手をガタガタ言わせる健さん。

 

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健さんは洋子のことばかり気になっちゃって、組のことなど全く頭に入らない。

若かりし頃の池上季実子がとにかく可憐で可愛い、それを実感するだけでも価値があるんだ。そういう映画。

 

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