『プライベート・ライアン』
98年、スピルバーグ監督。
とにかく圧巻は戦闘シーン。
冒頭15分、のオマハビーチ(ノルマンディー上陸作戦)での戦闘は苛烈だ。
テレビの前で煎餅かじって横になりながらは観てられない。
戦争の最前線は苛烈さを極める。
前の仲間がドカンドカン撃たれて身体が飛び散る。
海の中に飛び込んでも弾丸が飛び込んでくる。
腸とか出ちゃう奴、爆撃でもがれた自分の腕を探してる兵士。
末息子は生きている。彼を捜し出し、戦場から連れ戻すのだ。
腹の何カ所からドクドク血を流して、モルヒネ何本も打ちながら、
死に際に「うちへ帰りたいっ!ママッ、ママッ」と云いながら死ぬ。
遂行の意義を感じられない、やるせない命令。
激闘の折、捕虜の扱いで感情的に対立する上下関係。
ジョン・ミラー大尉(トムハンクス)は、ドイツ兵に目隠しして歩いかせる。
「このまままっすぐ歩くと米軍がいるはずだ。彼等に投降しろ。」
部下が感情的に納得出来ないとき、自分の話をしだした。
故郷では教師だ。顔が変わったと言われる、確かにこんな任務だ。
だが、家に帰れば妻には胸を張って云える。任務をやり遂げたと。
物語の力。意気立った部下の感情的爆発を無効化した。
「途中で二人死んだんだぞ」
ライアン「二人の名は?」
ようやく探し出したライアンはといえば、
このまま仲間を置いて帰れない」とか言い出す始末。
ここで一緒に任務を遂げよう。この橋を護ろう。