ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『サラバ!(西加奈子)』

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読んでから随分時間が経ってしまった。

読まず嫌いしてた西加奈子だったが、とてもいい書き手であることが分かった。

うれしい。

そんで、又吉たちが「西加奈子の小説を読んで、自由に書いていいんだ」と思ったみたいなくだりが分かったような気がする。

現代の小説に文法とかルールとかない。自由なんだ。

 

猟奇的な姉がいて、僕は可愛いくて比較的うまくやっていて、転校(イラン、東京、エジプト)があって、宗教があって、親の離婚があり、新進気鋭のアーティストがあり、太った恋人のセックスの音を電話で聞くことがあった。ほんとに、人生はいろんなことがある。

 

「出産はしんどいよ、そら覚悟してたよ。でも産道でずっと踏ん張るんやったら、なんで2週間も早く出てこようとしたんよ。嫌やったら、まだずっとそこにおったら良かったやんか」

 

母はきっと、男の人の前でぶりっ子した友人に、

「あんたいつもと違うやん」

そう、こともなげに言ってしまえるタイプなのだろう。

 

母が不倫をしている。

 

鴻上:でも、セックスした後は、みんな自分のことすごく話してくれるから楽しいんです。小さな頃のこととか、なんていうか壁がなくなる感じ?

 

「わたし、50人くらいの過去と悩み知ってますよ!」

 

「私、神社みたいでしょ!」 

 

姉、貴子は神出鬼没のアーティストとして、ちょっとした有名人になっていた。

 

「なんでも良かったんや。うちに来る人たちのためになるなら。」

 →宗教ってもともとこういうことだよね。

 

出来ることなら、今橋家の女たちと縁を切りたかった。

 

(それにしても女性というのは「向き合う」という言葉がどうしてこんなに好きなのだろうか)

 

 

ある日気がついたら、僕は30歳になっていた。

信じられなかった。

 

一度薄くなると、頭髪はどんどん後退した。

 

自分にこんな未来が待っているなんて、思ってもいなかった。

 

僕は、変わってしまった。

 

 

まがりなりにも自分の恋人である女性が、他の男と性交しているまさにその声を、最後まで聞いたのである。

 

澄江:「いつまでそうやってるつもりなの?」

 

あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。 

 

 

「ちょっとトイレ。」

精一杯の笑顔を作った。そしてトイレに向かっている短い通路の途中で、もう泣いていた。僕は自分が嫌いだった。大嫌いだった。

 

 

彼女もまた、村上春樹のメンタリティや嗜好性をそこはかとなく感じさせる作家の一人である。

 

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『このサイテーな世界の終わり』

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サイコパスな少年の反骨少女かあ。

 

強がっていきがったことばかり言ってたティーン前半。

お互いをよく知らない男の子と女の子が、互いにブラフをかまし合いながら、物語とシーンが展開していく。何にも囚われまいとする彼女たちのやりとりは、キラキラした言葉たちでいっぱいだ。

 設定も文句なしに馬鹿でイカレテル。ジャームズは人を殺したがっていた。この近寄ってきたアリッサとかいう女。殺してみようかな。だが、「僕は思った。焦ることはない

 

「アリッサ。転校してきたばかり。殺してみたいと思った。好きなフリをした」

 

「ここって世界一退屈な街だね」

 

「健康のために週一でマスをかいてた」

 

「女のあそこ舐めたことある?」

「ああ、何度か」

「わたしのも舐めて欲しい」

「いま?」

「あした」 

 

ヒッチハイクしながら)

「誰も停めてくれない」

「上半身、裸だからでしょ」

「あんたって病院から出てきた人みたい」

 

(モーテルの受付のおばさんに)

「そ。ダブルベッド一つの部屋。セックスするから(ほんと、泣きたい気分)

 

 

「死体は生きてるときより重い。本で読んだ」

 「情報どうも」

 

「そしたら、写真を死体の周りに置いていこ」 

→ なんだろー、この危機的状況で繰り出されるオフビートな会話劇のたまらなさは。

 

30分待って、アリッサは戻ってこないと気付いた。 

→青春時代特有の孤独と寂しさは突然に。

 

 

「この日、静寂はうるさいと知った」

 

 

 

 

 

(アリッサの父に)

ジャームズ「じゃあ、あなたはなんでクズになったの」

アリッサ「ジャームズ、愛してる」

 

(エンディングでの台詞)僕は18歳になった。いまようやく分かった。人を思う気持ちが。

 

『ディレイ・エフェクト(宮内悠介)』

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う〜ん、あんまり言うことはないんだよなあ。

文学界もとい、出版界がとにかくこの人にそろそろ取っておいて欲しい、くらいの名前なんだろうなあってくらい、候補になった回数が多い(直木賞3回、芥川賞2回候補)。

 

あまりに突飛な設定に、適応するのに何ページか要したがまあそういうことだ。

SFなのだ。

 

実写なら、技術者である主人公に岡田将生、ヒロインに木村佳乃あたりか。

 

政府は初動でこの現象を認めなかった。

 

 

特高警察の拷問見学ツアーなる人の悪い企画が中国の旅行会社によって立ち上げられ

 

 

酒が温まったところで、空襲警報が鳴った。

 

 

 

 

 

『おらおらでひとりいぐも(若竹千佐子)』

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孤独と対話がテーマ。

このように、脳内で何人かの自分が対話している老人は多いと思う。

 

著者は74歳で文藝賞初受賞。

老女の脳内で繰り広げられる対話と追憶。

年の功らしく、作中に太字になりそうな部分は多い。

 

 

桃子さんはさっきから堰を切ったように身内から涌き上がる東北弁丸出しの声を聞きながらひとりお茶を啜っている。ズズ、ズズ。

 

囲っていた悲しみが飛び出した。

 

わたしという言葉を使ったら、自分の住むこの町の空気というか風というが、おらを取り囲む花だの木だの、人だの人のつながりだのを、足蹴にするような裏切りの気分が足首のあだりから、そわそわど立上がってくるようでおぢづかね 

 

若さというのは今思えばほんとうに無知と同義だった

 

結婚と同時に家を離れた直美といつごろからか疎遠になった。きっかけは何であったか思い出せない。仕方ないと思っていた。

 

娘の電話ぐらいで大喜びする自分が照れくさくて無表情を装っていたのが、ここにきて耐え切れなくなっている。 

 

流れる時に容赦はないのだった。桃子さん、自分の老いはさんざ見慣れている。だども娘の老いは見たくない。

 

フリルのいっぱい付いたスカートは、小さいころの桃子さんの夢だったのだ。ーーーーーーーー期せずして桃子さんも娘を自分好みに思い通りに操ろうとしたのだ。

 

「だから、おれおれ詐欺になんか引っかかるのよ」

 →娘からの、破壊力抜群の言葉。これ一つで多くの状況を物語っている。

意識と記憶の混濁...。

 

たいていのことは思い通りにならなかったじゃないか、それでも何とかやって来られたじゃないか、

 

大勢の母親がむざむざと金を差し出すのは、息子の生に密着したあまり、息子の生の空虚を自分の責任と嘆くからだ。それほど母親として生きた。

母親としてしか生きられなかった。

 

自分がやりたいことは自分がやる。簡単な理屈だ。子どもに仮託してはいけない。仮託して、期待という名で縛ってはいけない。

 

 

今の親は自分の老いどころか子の老いまで見届ける。

 

飼いならしたはずの孤独が暴れる。

 

そうやって桃子さんは気付くのである。時間がたてばさみしさなどというものは薄紙をはがすように少しづつ解消するはずなのだ。

 

 

豊かになることがそのままきらきらした目標だった。

 

 

人は独り生きていくのが基本なのだと思う。そこに緩く繋がる人間関係があればいい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『先生の白い嘘』

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『週間SPA」で連載されている『ロマンス暴風域』が、ただならぬリアリティを描いてると思ったので同作者の作品を読むことにした。

 

まさしく一気読みだった。

処女を襲って、以後いいなりにさせる悪魔のような男。ここが物語を駆動する仕掛けの核だ。

 

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そして何より原先生のいじらしさ。

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 あまりに衝撃的なシーンには目を逸らしてしまうほどだ。

 

 

 

 

 

『愛が挟み撃ち(前田司郎)』

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2018年冬、芥川賞候補作。

今回は「勝手に芥川賞選考会(1/15)」の開催を前にアップ。

※本物の選考会は1・16、築地の新喜楽にて。

 

 

前田司郎さんは、五反田団を主宰する劇作家、演出家、作家。

09年には『夏の水の半魚人』で、三島賞を受賞している。

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猿などと違って人は常に発情していると、何かの本で読んだことがあった。ーーーー。

例えば今は発情していない、少なくとも私は。

 

一年くらい避妊しなかったら普通80%くらいの確率で子ども出来るらしいよ

 

この先、子の無い人生を思うと寂しくもあるし、悲しさも一握りある。

でも、じゃあ、この安堵感はなんだろう。

 

きっと俊介は謝りたいのだろう。自分のせいで子どもを諦めないといけないことを。謝る必要も、謝って欲しくもないが、謝りたい気持ちも判る。それで気が晴れて、この面倒な空気も徐々に通常に戻るなら、謝られてあげてもいいかな。

 

「やっぱり欲しいよな」

俊介が言う。京子は黙って続きを聞こうと思った。「欲しい」主体が、俊介なのか京子なのかわからない。もしくは二人ともか。

 

よっぽど、「言いたいことがあるなら早めに言って」と言いたくなかったが、夫の威信を考えて黙って待つと、俊介は鎖骨と鎖骨の間に自らの顎を当ててグリグリと動かした。 

 

最初に少し攻撃的な態度をとって相手をひるませ、一気に距離を詰めるやり方をする奴か、もしくはただの馬鹿だろう。

 

映研内で「顔要因」と呼ばれている女の子たちだった。

 

詳しく聞いてみると、マキちゃんとは寝てもいないらしい。

 

「情報や理屈で誰かを好きになるなんて、景色の美しさを理屈や言葉で解釈するのと同じだぜ。無粋だよ」

 

「気持ち悪いかどうかはあなたの主観じゃないですか?」

「俺の主観はあなたにとっての客観だから」

 

「でも、お前と京子の子なら、俺は自分の子と同じように愛せることが出来る。だから、俺はお前に頼んでる」

 

京子が水口と肌を合わせた。そのことを思えば、下腹部から不快なざわめきが立上がってくる。

 

 

京子の唇は硬く、乾いていた。

 

 

「俊介くんのどこが好きだったの?」

水口は考え「顔かな」と言った。京子は笑う。その答えは好きだった。 

 

 

ふと考えてみる。世の男女が、結婚した理由のリアルとは何か?

 

 

俊介は唖然とした表情で京子を見たまま居る。

そうか、他の何が欲しいんでもない、水口くんの子が欲しいんだ、私は。 

 

この小説の閉じ方。ドライであっけらかんとした結びは、好きだ。

 

 

セックスとは関係性である

というどこかの国の偉人の言葉を、いまさら思い出したのである。

 

 

 

 

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『SCOOP』

福山雅治二階堂ふみ。監督・大根仁

映画館で予告編観ると、見てみたいなと思わせる類いのはっちゃけ方。

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なんでフリーの俺がお前んとこの社員育てなきゃならねーんだよ。

 

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芸能人のケツも作家先生の顔も似たよーなもんでしょ。

 

 

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「じゃあおっきいの行っとく?」

「言うほどデカくないでしょーが」 

と吉田羊に言わせるシーンに、配役と設定の前半クライマックスがある。

 

 

「あの人ね、俺の元奥さんなの」

 

 

吉田羊とのバルコニーでの何度もキスするシーンはよかったな〜

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で、終盤のリリー(チャラ源)の狂気性。

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残りの30分はそういう展開なのか...

 

福山主演映画だけに、福山ファンへのサービスは欠かせないようだ。

福山/二階堂という師弟関係でも、なくてもいいセックスシーンとかあるし。

 

やっぱりどうしたってカッコいい福山。

このまま行くと、キムタクの二の舞ですよ。

 

 

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『美味しんぼ 30(鮭勝負!)』

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✔︎またしても、栗田ゆう子のオブラートに包まない言い方!

 

✔︎団社長、成り上がり、キャビア、とんぶり

 

✔︎キャビアを食べる団社長を「成り上がり」と侮辱するときのニ木さん超嫌な奴さ

 

 

 

✔︎『成り上がり』:団社長がパーティでサーブするキャビアについて相談に乗ってほしいゆう子。面白くない山岡。

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「あいつめ、人の気も知らないで」

 

 

団社長「私はキャヴィアよりもトンブリを大事にしていきた。」

 

 

✔︎『鮭勝負!』:

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✔︎『恥ずかしい料理』:

ソーライスとバター醤油ライスがそれぞれ好きな美男美女。山岡が社内で催す『恥ずかしい食べ物コンテスト』で解決。

 
 
 

「美味しんぼ 5(青竹の香り)」

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◆駅前に出来た田舎味噌の工場、鯉こく

 

◆青竹に入れて鱸(スズキ)を回し焼く

 

◆鯛と塩

 

◆スパイスの秘密、記憶喪失

 

◆牛鍋の味、魯山人風、しゃぶスキー

 

◆サラダと美容、太った女性と婚約破棄

 

 

 

 

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『美味しんぼ 2(幻の魚)』

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◆そばのかえし、屋台でそば屋やってたにーちゃん、神田やぶで修行、若松警部

 

◆周大人、「ほんとの豚バラ煮込みだ」

 

◆包丁

 

◆ドイツ料理、サビーナ、少年院上がり、

 

◆葉山沖のトボけた鯖に雄山怒る、皿送る

 

◆中華麺屋、麺の兄、スープの弟、

 

 

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