ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『迷宮(中村文則)』

中村文則の小説は、主人公や登場人物がのっぴきならない切実な状況にある。
ちゃんとした大人ではなく、社会に根のない、いつ死んでもいい、かりそめの今を生きているようなそんな登場人物たちだ。

幼少期から愛されていない、悪の烙印を押されている、家庭環境や血が地獄を見せてきた。俺は悪意を内面に飼い、もう一人の自分に託して生きてきた。

物語の大構造は、20年前の迷宮事件。
その事件遺児と死ぬように生きてきた同級生の俺。
どうしようもなくその事件に引きつけられる。

彼女とはセックスでつながっていた。
誰にも明かされていない過去を語った二人は夫婦になった。
彼女は嘘を言っているかもしれない、そんな不自然さは残っているが。