ここがパンチライン!(本とか映画、ときどき新聞)

物語で大事なのはあらすじではない。キャラクターやストーリーテリングでもない。ただ、そこで語られている言葉とそのリアリティこそが重要なんだ!時代の価値観やその人生のリアリティを端緒端緒で表現する言葉たち。そんな言葉に今日も会いたい。

『暗室(吉行淳之介)』

孤独と性愛の調べ。

最小限の、引用に留める。

 

曖昧なものに一応具体的な形を与えておきたかった。

 

ときには際どい冗談を言い合う仲だが

 

津野木との間には、危険なものが沢山ある。

 

「いけないね、人生にたいしてそんなに消極的になってはいけない」そういう分別臭い言葉が、

 

しかし、その後の私の振舞は、演技になった。タエの軀を取り扱ったときの手慣れた自分の手つきを思い出し、それをなぞりながら、すぐに掌をマキの胸に当てた。布片で包まれた乳房を揉みほぐすようにしながら、

 

「電話に出ろ、というの。そして、あたしの上で、わざと強く軀を動かすの」

 

私の電話する相手は夏枝になったり、多加子になったりする。

 

妻に死なれて、愛人2人とかバーで知り合ったレズビアンの女とか、コールガールとか

 

「あたし、どんな顔したの」
「若い娘に化けていた猫だがな、夜中に正体をあらわして、行灯の油をぺろぺろ舐めているのを見つけられたような顔だ」

 

ただし、その奥のこととなると、極めて深いところに「娼婦願望」とでもいうものが潜んでいる女が多い、と私は見ている。

 

 

 

 

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