『インランド・エンパイア(デヴィッド・リンチ)』
06年作。主演 ローダ・ダーン。
開始15分は話が見えて来ない。意味不明。
ハリウッド女優ニッキーの家にご近所挨拶に訪れた、ばあさん。
半狂な話ばかりは暗示というか呪いの言葉たち。
翌日、エージェントから電話が「役が決まったの!」
イブニング情報のTVの女司会者は、「妙な気は起こさないでね」とぶしつけな絡み。
「彼女はやめておけ。旦那は町の有力者だ」
2人で演技のリハーサルをしているとき、「あれは何だ?セットに何かいる!」
(後半描かれるには、ニッキーがセットのあちら側から観ていることになる)
「実はいわくつきの脚本で、以前撮影を試みようとした主演が二人死んでいる」
劇中と現実との設定を合わせらる。主演の二人の逢い引きは、ギリギリまで予感され、焦らされて、観ているものの前にぶら下げられる。
「何てこと、脚本の台詞と一緒だわ!」
役者に顔アップの緊張感、唐突なシーンの転換、異なるストーリーの不断のアンサンブル(挿入される移民娼婦たちの話、別の話との唐突な接続)。常に何かが起こりそうな緊張感を醸し出すカメラワーク。
やはり、夢か現実かわからない展開というのは、まさにデヴィッド・リンチ的。
ハイカット!と監督カットが入ることで、はいこれまで劇中世界だった」と区切られるかと思いきや、その役者はその世界に取り憑かれてしまっていたりする。