★東浩紀 偶然の出会い 観光のよさ
今は、世界中の人々が「他者とつきあるのは疲れた」「仲間だけでいい」と叫びはじめている。ナショナリズムの存在感が増しています。
観光客は評判の悪い存在です。余暇の活動なので無責任だし、他者とつながろうと思っているわけではない。そんなこと考えるのは疲れる。つまり観光客であることは、人間というより動物に近い。
ところが人間は下卑た存在なので、観光に行けば自分の頭で作った壁が好奇心や偶然の出会いから崩れ、寛容になれることもある。それは何かの原理にはならないけれど、どんな原理も持つ排除性を壊していく。